ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「さて、マナフ教諭、そして勇敢なる生徒諸君。私が此処に来たのは人魚の件について報告を受けた理事のお歴々から諸君を勇士と見込んでの依頼を告げる為だ。……以上、建て前は終了とする!」
突然ログハウスを訪れたジョセフ兄様、どっちのペットが世界一可愛い生き物かという不毛かつ絶対に譲れない事を除いては話が合うし信頼も出来る数少ない味方、その能力は魔法を中心とした戦闘力や別の国の貴族が集まった学園で生徒を纏める統率力や生徒と教師陣の橋渡しとなる政治的能力等々、他の国や自国内でも派閥争いが有るにも関わらず票を集め生徒会長に選ばれるだけの事は有るのだと認められる程。
まあ、彼の任期になった途端に王子や大公、王の従兄弟や闇属性という伝説級の存在まで一学年に集まるって言う政治的な火薬庫状態で心労が溜まる一方だろう。
僕達の前で真面目そうな顔で話をしている彼は精神的に疲れ切っている顔をしていた。
目元には僅かにだけれど隈が僅かにあり、微妙にだけれど痩せた気もするし、今はしていないけれど、馬車から出る時に胃の辺りを抑えてもいたから間違いでは無いと思う。
「理事達の話を纏めるとだな……その前に先程も言ったが建て前は抜きで話をさせて貰おう。支援をするから人魚の件を生徒達に任せたいそうだ。指揮権という名の責任を押し付ける役はマナフ教諭に押し付けてな」
「……えぇっ!? いや、先生、何となくこんな事態になると予想はしていたんですよ、予想はしていたんですが……はぁ」
流石に人魚の件は事後報告には出来やしないとアカー先生が学園に連絡をしたのが昨日の夕方近く、それが夕方が過ぎたばかりの今頃にどうするか指示があるなんて驚きだ。
人魚か居たからと中止にしては逃げ出した事になると即帰宅は命じられないと思っていたけれど、まさか刺激するなとかじゃなくってどうにかしろってあやふやな内容だ。
「失敗したらアカー先生の責任と僕達の実力不足、成功すれば自分達の支援の成果と喧伝して学園内での発言権を、って所だろうね。浅ましい腐敗具合だ。どうせ叔母上様に消されるだけだろうけれど……」
「ああ、全くだ、老害達めっ! 各方面で好き勝手して仕事も杜撰だった連中が王妃でもある現理事長の改革の煽りを受けて飛ばされた先が今の閑職であり、理事と言っても名ばかり。昔の体を成していない書類を見る限りでは成績の操作等が寄付金で行われていたらしいが……いや、此処までにして置こう。どうせ時間の問題だしな」
「ジョセフ兄様、余程鬱憤が溜まってたのね。そう言えば生徒間とかのトラブルの後始末も生徒会の仕事だっけ?」
「……ああ、何処かのゴリラが実技の授業で大いに破壊してくれている備品の修理やグラウンドの整備はロノスが戻してくれているが、それ以外にも派手に動いてくれているみたいだからな。授業中の轟音とか振動とか」
藪蛇って奴だね、これは。
貴族が集まる学園に腐敗が横行したら卒業する生徒も腐ってしまう、そんな考えから理事長に就任、実質的に権限を持たない島流し的な立場の理事達を自らの不在時も手の者に見張らせている叔母上様だけれど、今回は偶然が重なって隙を見せたのか、それとも……。
「ふんっ。ナイア理事長……いや、王妃の事は僕の祖国であるアマーラ共和国にも伝わっている。その理事達がどうかなるのも時間の問題だろう。ならば人魚は放置……とは行かないか」
アンリは理事達について不愉快そうに鼻を鳴らし、末路を浮かべたのか肩を竦める、考えるのも無駄だと思ったんだろうね、僕も同じさ。
「矢っ張り私が暴れた方が良くない?」
「いや、忘れがちだし、従兄弟ながら信じられないがお前は聖女という扱いだからな、信じられないが。私もその手を選びたいとも思ったが……どうせ直ぐに潰せないからと機を狙われていた連中だ、何かすれば面倒だし、理事長に予定が狂ったと怒られるぞ?」
「うっ!? あはは……叔母上様は怖いから止めとくわ」
リアスったら相変わらず猪突猛進、思い切りがあって行動力抜群なのは良いんだけれどジョセフ兄様は苦労してるんだから話はちゃんと聞いて上げなくっちゃ。
首を傾げながら訊ねるリアスにジト目を向けるジョセフ兄様だけれど、叔母上様の名前を出された途端に目を逸らすし語尾が弱々しい、そうだよね、怖いもんね、あの人。
「ううっ、今年の入学生はどうして血の気の多いのが大勢居るんだ? 三日に一度は上級生相手にでも喧嘩を売ったりしているし、そのせいで他の学年もピリピリしているし……」
「胃薬要る? 確か薬箱にあった筈」
「いや、私は家お抱えの薬師に体に合う物を作らせている」
学園の生徒会長って大変なんだよ?
生徒間の諍いって大事になりがちな物なんだけれど、それの仲裁も生徒会の仕事の一つなんだよ。
学園の教師陣も貴族だったり上位の神官だったりで、家同士の争いに関わりそうって事態に発展する可能性がある時点で手を出すのに躊躇いが生じるだろう。
学生の場合は建て前だけだろうけれど”学生は互いを尊重する”って校則がある、建て前だけとは言っても校則は校則、後で家が関わったら”情けない”って顔を潰す噂が流れる物だからね。・
……それでもジョセフ兄様の様子を見る限りじゃ随分と苦労しているみたいだけれど。
「にしても人魚の争いをどうにかしろって、俺様は火属性だから力でってのは役に立てそうにないな」
「命令がアバウトなのよ、閑職に回されるのが良く分かるわね。……出来るなら放置したい所だけれど」
「二人共、未だ力で解決するとは言っていませんよ!? 先生は暴力よりも話し合いの方が助かるのですが……矢張り駄目ですかね?」
何とか同意や励ましの言葉が貰えないか、そんな意思を感じさせる声色と目をアカー先生が向けた先にはアンリの姿、ちょっとだけ躊躇った彼女は静かに首を横に振った。
それは無理だろうと、そう伝わって来た。
「先生、争いを起こしたくないのも、争いに関わりたくもないのも理解するが、ウンディーネ族は助っ人を雇っている。既に部族同士の争いに繋がる一歩は踏み出されていると思った方が良いだろう。ならば僕達がすべきなのは”大海戦争”の二の舞を避ける事だ」
「大海戦争……海に住む強者の恐ろしさを再認識させられた例の悪夢ですわね。私の生まれる前の話ですが、ヴァティ商会の船も随分と被害を受けたと聞いていますわ」
大海戦争、ね。
二十年程前、海底火山の噴火によるシードラゴンの生息域の環境変化が原因で起こった事件だ。
住処を追われたシードラゴンの群れが別の群れの縄張り近くまで移動、周辺の海域を航海する船や、その周辺に住んでいた人魚達、そしてウミボウズ達まで巻き込んで、複数の種族入り乱れる争いだったとか。
「……結局ギヌスの民が出張って鎮圧するまで戦いの余波を食らった船が沈没したり、屈強な船乗りに目を付けた人魚による魅了が多発したり、下手な伝染病より死者が多かったんだっけ?」
そう、結局最後はギヌスの民が解決したせいか、彼等を受け入れたリュボス聖王国の住民からすればそれ程大きな事件扱いはされていない、交易とかは別のルートが多かったから被害も少ないしさ。
「……それにしても学園の理事さん達ってそんなに酷い人達なんですか?」
普通の学生生活を送っているから関わらないし、アリアさんからすれば少し気になった程度だろう。
随分とボロクソに貶されていたしさ。
でも、そんな何気ない問い掛けはアカー先生とジョセフ兄様の変なスイッチを押してしまった。
「実質的には大した権限も無いのに権威を示したいのか毒にも薬にもならない提案をごり押しして来るんですよ。ボーナス査定に多少関わる程度なら可能なので子供にお金を掛けたい先生からすれば本当に邪魔な存在です」
「それだけじゃなく、理事と関わりが深い家の親族や生徒が無茶な要求をして来る事が多くてな。家を潰す程じゃないが悪事は働いているからと、革命が進む間だけの閑職だというのに全く迷惑な」
実際は二人の愚痴はこんな物じゃない、十倍以上出て来たけれど、本当に苦労しているんだって伝わって来たよ。
「取り敢えず話が通じそうなセイレーン族の所には行くとして……」
「ねぇ! セイレーン族の所に行くのなら私も一緒に行くわ!」
「……は?」
うわぁ……ジョセフ兄様、リアスに対して露骨に嫌そうな顔だぁ。
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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