ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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十章!

パンドラは前分けにした赤紫の髪を腰まで伸ばした知的な眼鏡さんです

ぶっちゃけライダーさんが参考


十章
仕事明けはテンションが変になりがちである


 カリカリとペンを無心で動かして目の前の書類の山を片して行けば、隣の机にも山盛りに盛られていた書類も残り一枚。

 

「訓練に耐え切れず逃げ出した新兵如きが好き勝手出来るとでも? 舐められたものですね」

 

 豊かなクウ゛ァイル領を狙って隣国よりやって来たのは軍人崩れ賊共。

 帝国に送った密偵の情報によれば商科家の三男坊やら家は立派だが跡継ぎにはなれずに軍に入ったような連中。

 訓練の過酷さに音を上げ、支給された武器を持って逃走の挙げ句に盗賊行為。

 軍に居たせいで巡回の予定を調べて小さな村を襲い、直ぐに露見して仲間を見捨てて再び逃げ出した根性無し。

 

 そんな連中の処分に関する書類に確認の判を押せば取り合えず溜まっていた仕事は一段落しました。

 

 うふふ、真面目に働かず他人から奪って楽に生きようとする考えがどれだけ短絡的だったのか、報いを受ける事で知りなさい。

 まあ、帝国で随分と好き勝手したらしいですし、クウ゛ァイル領で村を襲おうとした直後に捕まったのだから被害は出ていませんが、情報を絞った後は帝国へ引き渡されて縛り首ですから学びは活かせませんね。

 

「ええ、帝国に貸しを作れたのは良いのですけれども・・・・・・」

 

 別段帝国自体には特に恨みも親しみも有りませんけれどね、王国ならば別ですが。

 

 それでも複雑な気分となるのは皇女と若様の縁談話が持ち上がり、血の繋がりは有るけれど血の繋がらない有力な家から選ばれた婚約者候補の一人……と言いつつも扱いが別格であるし選ぶのが決定しているネーシャ・ヴァティ……いえ、元第一皇女ネーシャ・アマーラの存在。

 お見合いの場所やスケジュール、警備云々と非常に面倒で表向きの体裁を整えるという大切ではあるものの実質的には無駄な仕事を増やされたのは別に良いのですが私とて嫉妬を覚える事はある。

 公人……クヴァイル家家臣にて若様の側室が決定した身であり御館様の命によってクヴァイル家の政務を取り仕切る身からすれば帝国が干渉してくる口実よりも繋がりによるメリットの方が大きい。

 

 ええ、あの冷血皇帝が血の繋がりで甘い顔をするとは全く期待していませんが、婚約による友好関係って物は無視できませんから。

 まあ、それが分かっていても個人として……幼き頃より続けた文通で想いを募らせて来た身としましてはね……。

 

 

 

「肌艶、髪質、共に問題無し。……念の為に一眠りしておきましょう」

 

 未だ仕事が残ってはいなかったか確認した私は鏡の前に立って自らの姿を確認、自意識過剰と笑われるかも知れませんが、知的な美女の姿が其処にありました。

 あの色気を振りまけば良いと思っている色ボケ淫乱メイドとは違うのですよ、全くね。

 

「もう直ぐ若様と過ごす時間を頂ける。お話をして、一緒に出掛けたりもして、それから……」

 

 あの色ボケ淫乱メイド……レナさん程では無いにしろ私だって性欲は有りますし、仕事で疲れれば発散する時間もなく寝入ってしまいます。

 若様とてお年頃、約束を破ってレナさんが私より先に関係を持とうと若様を襲ってしまう危険も考えれば私だって……。

 

 不敬とは思いつつも私が溜まった物を発散させる時は若様の姿をお借りし、本来ならされない事をしていただいています。

 

「ご褒美を……いえ、その様な事を考えている愚か者にお仕置きをして頂きませんと」

 

 昨日、私は頭の中で若様に不敬を詫び、罰を受けました。

 まるで獣同然だ、そんな風に嗤いながら私の首に犬の首輪とリードを付け、犬には服は要らないと裸にされてお散歩に行ったり、少し騒げば気付かれる物陰で犯されたり、縛られたり、幼子のようにお尻を叩かれたり……捗ったのは否定しません、何がとは言えませんが。

 

「さ、流石に若様の名誉に関わる内容を実際には……え、ええ、色々な方法を知っておくのは若様の経験に役立つでしょうけれど……」

 

 ……いえ、レキア様みたいになるのも嫌ですし、正直に認めましょう。

 

 好意丸出しなのにも関わらず自らを騙す方の姿を思い浮かべた私は誤魔化すのを止める事にしました。

 自分の性癖と向き合う事にしたのです。

 

 私は大好きな方に辱めを受ける事に興奮する性癖の持ち主です。

 当然ですが他の男には若様が望んでも肌を許しもしなければ必要以上に肌を見せるのも嫌悪しか覚えません。

 あくまでも好きな方に精神と肉体を屈服させられたいだけ、それだけで良いのですよ。

 

「若様の前だけ下着無しで? 寝室で縛られたり、鏡で自分の姿を……」

 

 まあ、若様に押し付ける気は有りませんから行き過ぎ注意、取り敢えず裏道に大人の玩具屋が在るそうですし、何方かに頼んで……お願いするのは恥ずかしいですね。

 だから今は若様とのお楽しみの時間を想像し、頭の中で予行演習をしておきましょう。

 今は睡眠を取りますが、その前に溜まった物を解消しなければ良質な睡眠は取れないでしょうし、若様に見られながらの状況を想定しながら……あら?

 

 書斎の横の部屋には仮眠用のベッド、仕事とは全く無関係なプライベートルームとまでは行かなくとも一人でゆっくり出来る場所……なのですが、ベッドの上には見慣れぬ紙包みとメモ。

 

 

「”購入を頼むも受け取る時に大勢の前で落として中身を見られる姿を予知しましたので、お昼ご飯を買いに行くついでに買って来ました”? この下手くそな似顔絵はプルートですね」

 

 腕の良い占い師だと耳にし、腕が良すぎるので何か種があるのかと調べてみれば、占いではなく予知能力を持つ闇属性の使い手。

 ……スカウトに行ったら必要な物を全部用意していたり、突然予知が来て変なポーズを取ったり、今回みたいに予め行動したり、助かると言えば助かるのですが。

 

 紙袋の中を見れば購入予定の商品、一つを手に取ってマジマジと見詰めた後でそのままベッドに寝ころんで毛布を頭から被る。

 

 

「……うぁ。見られていると、そう思うだけで恥ずかし過ぎて……捗りますね」

 

 今の自分がどの様な表情をしているのか、それは鏡を見るまでも無いでしょう。

 才女だの魔王の片腕等と私を称える呼び名は有りますが、今の顔からは結び付かないのだと確信を持って言える程に……。

 

 

 

 

 

 ああ、若様がお年頃という事は、学園卒業後に機を見てご結婚をなさって頂きませんと。

 私やネーシャ様は側室で決定しているとして、問題はクヴァイル家もといリュボス聖王国と深い関わりを持つ妖精族とギヌスの民、そのどちらを優先するかという問題。

 

「……所で流石にレキア様とシロノ様のどちらを正妻として迎えるのかは若様にお任せして構いませんよね?」

 

 私、どれだけ優秀だろうと元は王国の難民ですからね?

 今はナミ族の族長であるイナバ様もシロノ様自身も強く正妻の座を望んでいませんが、それでも将来の板挟みの可能性が見えているのなら避けたい限りです。

 

 

 ってな訳で頑張って下さいね、若様。

 私も全力でお支え致しますので大船に乗ったつもりで……。

 

 

 

「乗ると言えば私を椅子にして頂くのも悪い気は……」

 

 プルートの予知は一定範囲の事以外は勝手に受信するだけという事ですが、何処までならば若様が引かないのか分からないでしょうか?

 どうせ苛めて頂くのなら二人で楽しみたいですし……。

 

 

 

 

 さて、お会いする時を心待ちに致しましょうか。

 

 

 

 

 

 

「……ネペンテス商会の動きが止まっている、か。動かないなら動かないで厄介な相手だね。何を企んで何処で暗躍しているのやら」

 

 聖王国の実家に戻る馬車の中、ポチと離れ離れの寂しさに耐え……耐え、耐えられないけれど仕事に集中していたんだ。

 ポチと離れ離れになって半日、あの子だって寂しくて泣いているんだろうさ。

 

 手にした報告書を握る手に力が入る。

 神獣将が一人シアバーンが率いる集団で、幸福な世界に繋がる門に案内するっていう胡散臭い物から領地同士の争いに使うモンスターの販売等々、人の心に漬け込んで混乱をもたらしているんだけれど、派手に動いている癖にいざ対応すべく動けば煙のように姿を消す。

 

 モンスターを大量に操っている事から初代聖女に討伐された”魔獣王”の再来だと不安に思う人も少なからず居るそうで、そんな奴の動きが止まって姿が消えれば警戒するなって方が間違っているだろうさ。

 

 

「……レキアも一度は依頼したけれど、何か情報は喋ったかい?」

 

「いや、急に現れたが神の関係者だとは気配で分かったので信用してな。領域内部に淀みから発生するモンスターの一掃を依頼はしたが特に情報は得ておらぬ。……役に立てなくてすまぬ」

 

 僕が乗っているのは向かい合わせに座っても足を伸ばすのに十分な広さを持つ大きめの馬車で、同乗しているレキアは僕の肩や頭の上じゃなく、向かいにクッションを浮かべて目線を合わせて座っているんだけれど、シアバーンと関わった時に特に情報を得ていないのを気にしているのか溜め息を吐く。

 

 これは不甲斐無いから自分が許せないとか考えているのかな?

 

「別に謝る必要は無いんじゃないかな? 僕としては君が変に害されていない事が嬉しいよ。……それにしても君が側に居るのに乗っていないって変な感じだ。頭の上や肩に居るのが当然になっているからかな?」

 

 実際、直ぐ前にいるのに寂しさすら感じているよ。

 いや、女の子に乗られるのが趣味って訳じゃないけれどさ。

 

 それを伝えたらレキアは照れてはいるけれど嬉しそうで、落ち込んだ顔が変わってくれたのが嬉しかった。

 

「……むっ、そうか」

 

「うん、そうだよ。それにしても……君は笑っている時が一番魅力的だよね」

 

「……恥ずかしい奴め。よく平気でその様な事を言えるな」

 

「本気でしかないんだけれどね」

 

 心外だとばかりに肩を竦めればレキアも真似をした後でクッションから僕の肩に乗り移る。

 

 

「矢張り君は其処じゃないとね」

 

「ああ、妾は此処でないとな。もっとも信頼し慕う男……友人の肩の上が落ち着く」

 

 僕達は同時に笑い、そして瞬きのタイミングが偶然重なったから、ほんの一瞬だけ、そう、ほんの一瞬だけ目の前のソファーから目を離したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロノス君もレキアちゃんもお久しぶり。二人とも前に会った時よりも仲良しさんで安心しました」

 

 その一瞬の間に聖王国最凶(マオ・ニュ)が最初から居たかのように現れていたんだ。

 

 




そろそろ感想こなくなって3ヶ月以上 感想下さい!

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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