ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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閑話 神懸かったメイドのお仕事

 

 おや、随分とお久しぶりな気が致しますね。

 私、クヴァイル家に仕えております名称及び年齢不詳のメイド長で御座いまして、私の名前を知る方はクヴァイル家関係者でも極僅か、年齢に関しては誰にも教えてはいません。

 

 

 尚、既に私の本名にお気付きの方もいらっしゃるのでしょうが見て見ぬ振りをしていただけますよう、心からお願い致します。

 まあ、作者は感想が来れば喜ぶのですし、ヒントは数多くありますが、本当に内緒でお願いしますよ?

 

 

 では、本日は私の一日の業務の一部をご紹介いたしましょう。

 私の神メイドっぷりをお楽しみ下さいませ。

 

 

 

 

 

「皆様、お早う御座います。本日も我らメイド一同、主たるクヴァイル家の為に粉骨砕身の心掛けで働きましょう」

 

 昨夜遅くまで仕事があったり休日の者を除き、我らメイドの朝は早い。

 日が昇るよりも前に集合し、本日の仕事の振り分けを致しますが、寝坊したりアクビをかみ殺す不届き者など居るはずもなく、今日もシャキッとした姿を見せてくれる彼女達には賞賛を送りたい所ですね。

 

 自慢になりますがクヴァイル家は使用人への福利厚生は充実しており、各種手当てに加え、支給される物も一級品。

 並の貴族よりも上質な寝具は疲れが体内に残る事を決して許さず、短時間の睡眠でもこの通り。

 お肌だって……おっと、話が逸れました。

 

「一斑は外壁の掃除、二班は窓、三班は廊下で、四班は私と共に害虫退治をお願いします。どうも帝国の方から目障りな虫が流れて来たらしいので」

 

 若様とヴァティ商会令嬢とのお見合い……実質的には婚約が決定しているのですが、その婚約によって利益を得る者が居るならば反対に損害を被る者ものも。

 

 特に本日は若様が一旦戻って来る日、実力でその情報を手に入れたと思っている害虫が国境を越えてやって来るのですから早めに潰しておきませんと。

 

 

「それでは参りましょう」

 

「「「はっ!」」」

 

 先程申しました通りにクヴァイル家は使用人への扱いが他家よりも優遇されています。

 なので使用人には優遇に値する優秀さを求めるのは当然の帰結、この場に居るのは誰もが素晴らしい人材……いえ、人財なのですよ。

 

 掃除洗濯炊事に接客、そして刺客への対応。

 勿論働きに応じて手当も増えますよ、功を焦って周囲の足を引っ張るのならば私がメイド長としてお仕置きを致しますがね。

 

 

 

 

「それでメイド長、此度の害虫の情報は?」

 

 私達はメイド、家のあれこれをするのが本来の役目、故にターゲットは害虫扱いとし、台所に出た黒いアレを退治するかの様な会話が美学。

 

「元帝国軍人、但し一兵卒から中々先に進めず、雑用を免除される地位の者が数名。まあ、実力主義の帝国ないではついて行けない者の末路などくすぶりながら生きて行くか……人様に迷惑を掛ける生き方を選ぶか、その程度でしょう」

 

 メイドの一人の問いかけに国境を越えた直後から入手していた情報を話す。

 所で事前に説明があったのですが、聞いている振りをしていましたね?

 

「ぐっ、くくぅ……たかがメイドの分際でぇ……」

 

 尚、そんな彼女でも朝日が完全に大地を照らすよりも前に刺客を無傷で捕縛したメンバーの一人です。

 傷一つ汚れ一つ無く、息も切らさない。

 

「そのメイドに土埃の汚れすら付けずに捕まったのは何処の何方でしょう? ねぇ、クズッスさん?」

 

 この程度の相手にそのくらい出来ずしてクヴァイル家のメイドは務まりません。

 

「!?」

 

 名を呼ばれた事に大いに反応しましたが、雇い主がヴァティ商会を敵視する商人の集まりだの、既に証拠を揃えて捕縛されているだのを知ればどんな反応を示すのやら。

 若様を狙った辺り、身近なヴァティ商会と皇帝を敵に回す方を恐れたのでしょうが、依頼者共々存分に後悔させて差し上げましょう。

 

 

「さて、皆様。朝食の準備の前に害虫退治を終わらせる事が出来て大変喜ばしい事です。引き渡しは私が行い、その後に執務室の掃除もしておきますので各自振り分けられた仕事に戻って下さい。お疲れ様でした」

 

「まあ、朝飯前の運動にはなったかな?」

 

「アンタ、最近賄いをお代わりし過ぎで太ったもんね。運動しなくちゃ」

 

「賄いといえば今晩はタンシチューだって!」

 

「ダイエットは明日から、ダイエットは明日から、ダイエットは明日から」

 

 無邪気というか罪がないというか、一仕事終えた後のメイド達の姿は微笑ましく、足下で転がる罪人共に掠り傷でも付けられず終わった事に安堵しました。

 

 

「いえ、私が言えた義理では無いのですが。罪人などとは……」

 

 誰にも聞こえぬ声で呟き、罪人共を引き渡した後は食事の後執務室へと向かう。

 表面上は普段通りの、内心では自虐的な笑みを浮かべながら……。

 

 

 

 私には決して許されない罪がある。

 例え世界中の人が、一名を除いて全ての神がそれは罪でないと言ってくれたとしても私は私を許さない。

 

「若様が到着なさりましたか。私も出迎えに行きませんと」

 

 執務室の掃除の途中、窓の外から馬車が到着したらしい音を聞いた私は資料整理の手を止める。

 時計を見れば到着時刻は予定よりも多少早いですが、それでも誤差の範囲内なのですし、出迎えの準備をしておくべきでしたね。

 

 部屋を出る時、壁に掛けた鏡を見れば自慢の金髪が揺れている。

 ただ、この髪の色を見る度に思い出しますね、私が罪を償う為に更に犯してしまった罪、そのせいで一人見知らぬ場所に放り出された幼子の姿を思い出してしまうのです。

 もし今の彼女の部分が存在していなければ心が壊れていたであろうと考えただけで胸が締め付けられる思いがしますが、それも私への罰なのでしょう……罰にすらならないとも思いますが。

 

 

「さて、行きませんと」

 

 私がすべき事は誠心誠意お仕えする事だけ、今の私にはそれだけしか出来ないのですから。

 

「それにしても似合うとは思うのですが……」

 

 メイド服のスカートを摘まんでその場で軽くクルッと回ってみれば、色気と気品を併せ持った美神の姿、人に仕えるなど少し前までの私ならば考えもしなかったでしょうが、よくよく考えれば六十年以上は……六十年ですよね?

 それだけ仕えているのですし、人から言わせれば、とは思いますけれどね。

 

 

「若様もそろそろ違和感を覚えている頃、ノクスが神の力を与えなければ誤魔化せたのでしょうが……」

 

 所でチラッと見えたのですが、レナさんが若様に堂々と抱き付いているのは気のせいですよね?

 私も何度も、マオ・ニュ様だって流石にそろそろ釘を刺しておくと言っていましたのに……。

 

 

 性欲旺盛な鬼族、恐るべし……。

 

 

 

「メイド長、若様が到着なさいました」

 

「ええ、分かっています。走らぬ程度に急いで出迎えに向かいましょう」

 

 おっと、無駄な時間を過ごしてしまいました。

 どうも時間感覚が人と違うのが私の欠点ですね、罪に関わる部分と其処以外は完全無欠の神メイドなのですが……。

 

 

 

 

 

 

「若様、お帰りなさいませ。使用人一同、心よりお待ちしておりました」

 

 私の気配を感じたのだろう、直前にレナさんが若様より離れますが既に見ています。

 まあ、後で小言と罰仕事でも与えるとして……。

 

 

 

 

「パンドラ様がお待ちです。お疲れとは思いますが、どうぞ此方へ」

 

 今は協力者である彼女のお手伝いをば……。




3月からマジで感想来てないのさ

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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