ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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今年でマオ・ニュさんじゅっさい になる

 受けた恩も、抱いた怨みも、描いた夢も忘れない…‥そんな私は他人の目にはどの様に映るのでしょうか?

 でも、見た目は幼い……いえ、小柄で童顔な私でも御館様のお供としてパーティーに参加する時には場に準じた服装と態度になるのですよ?

 宰相配下として恥じない美貌だと噂されていますし?

 

 だから戦いの場で敵であるなら子供であっても殺しますが、間違ってはいない筈です。

 ええ、死神だなんて物騒な異名で呼ばれるのがショックだったので、お仕事中も私的な時間も、当然ですが相手を殺す時も…‥きっと自分が死ぬ時もニコニコと笑っているのです。

 

 だって、どんな時も笑っていられるだなんて素敵な事ですもの……。

 何故かどんな時も笑い出してから恐れる目を向けられる事が増えたのは武神とか称されて暴れ回っているレナスが相棒なせいですね。

 じゃないと野蛮で獰猛な笑みを浮かべる彼女の方が恐れられるべきじゃないですか、普通。

 

 

 

 

「レナちゃんったら余計な事を言うんですから悪い子ですね。もー! 未熟者じゃあるまいし、こんなミスをするなんて減給物ですよ」

 

 帝国の街の一つ”ドラール”、首都である”ガンダーラ”へ聖王国から向かうには立ち寄る事の多い場所ですが、ちょーっとおイタ(・・・)をしようとしたお馬鹿さん達が出ちゃって困り物ですよ。

 地面にゴミが落ちている、そんな不愉快な出来事が御館様達に無縁な様にするのも私の仕事なのですが、何処の誰の何なのかを詳しく聞いた後、こんなミスをするだなんて……。

 

「何とか馬車が到着する前に掃除しないと……」

 

 私が深い溜め息を吐く場所はクヴァイル家が買い取った土地に建てた一軒家の庭、他の誰かを巻き込んではならないのと、其処に居るイコール敵だと即座即決する利点が有るのですよ、ふふん。

 まあ、私なら第三者が居ても何ら問題は無いのですけれど?

 

 ……さて、現実逃避はこの辺で、今は飛び散ってしまった一滴の血、それがドアの木目に入り込んでしまったのを拭いている最中、。

 

「生き物と違って汚れを掃除するのは苦手なんですが……ああっ!」

 

 遠目に見えた接近中の馬車、私の声が聞こえたのかアレキサンダーちゃん達は町中だからと落としていた速度を更に僅かに落としてくれましたが、流石は御館様の愛馬達、まだまだお子様なポチちゃんじゃ出来ない気遣いですね、うんうん。

 

「さて、どうすれば……ああ、そうでした」

 

 そっと指先で地面に触れれば手に収まったのは金ヤスリ、私の父はルルネード家の縁者らしく、こうやって金属製の道具を作り出せるのです。

 魔法を使わずパワーとテクニックだけで戦うレナスとは違うのですよ、レナスとは!

 

 

「さて、削りますか」

 

 ヤスリを片手にドアの前で気合いを入れる。

 皆が見る前に一切の違和感を排除しなくては!

 

 

 

 

 

「掃除ご苦労。大儀であった」

 

「はっ! 有り難きお言葉」

 

 御館様の言葉に膝を折って頭を垂れながら応える。

 何とか染み込んだ血の痕を感じさせない細工は流々、削った時に出た粉は先程出たばかりの生ゴミと一緒に鉄の箱に入れて地中に埋めて、後は箱を土に戻せば肥料になるでしょう。

 

「御館様、用意したばかりの家だからか庭が殺風景ですし、何か植えては?」

 

「ああ、そうだな。ロノス、手配しておけ」

 

 よーく土が肥えましたし、クヴァイル家所有の庭にしては地味でしたので、刺客を送った(ゴミを投げ入れた)連中にもその辺は感謝しましょう。

 

「あっ、ロノス君。ちょっとお礼がしたい方々が居ますので、後で教えますね。ええ、本当は私がたぁ~っぷりお礼をしたい所ですが、これはロノス君のお仕事ですから」

 

 後でメモを渡すとして、ロノス君も御館様の後継者なのに裏のお仕事までしていて偉いです。

 お姉さんも名付け親として鼻が高いですし、これで小さい頃なら撫で撫でしてあげるのですけれど、もう微妙な年齢ですからね。

 

 十六歳、今のロノス君と同じ年齢の時の私って何をしてましたっけ?

 国の敵を抹殺する以外には……礼儀作法とか貴族の社交界で恥を掻かない為の習い事以外には……思い出した。

 

 パンドラちゃんを見ていた私はお仕事以外でやっていた趣味について思い起こす。

 お料理とか掃除とか炊事とか編み物とか、花嫁修行もしていたんでした……只今絶賛未婚ですけれど。

 

「これも理想の殿方が居ないのが原因。……せめて短剣一つでシードラゴンの群れと水中戦して無傷で勝つ位でないと選考外なのですが……」

 

 知り合いで可能なのは一部の既婚男性と、他は同性等々ばかり、ロノス君は可能でしょうが、名付け親なもんで我が子と変わりませんし、何処かに手頃な殿方は居ないものでしょうか?

 実際の所、クヴァイル家とのコネクション狙いだったり私を引き込む狙いだったり、自分で言うのもアレですが実年齢の半分より更に若く見える私に求婚する殿方は多い、多いだけで私の望む条件を満たせる方が居ないのですが。

 

 理想が高過ぎると行き遅れそうですし、少々条件のハードルをさげるべきでしょうか?

 でも、散々理想を求めるあまり、御館様の勧める相手であってもお見合いの席に出向き、デート(モンスター狩りやサバイバルキャンプ)をしただけで結婚には至らなかったり、時には相手が御館様に頭を下げて話を無かった事にしたり。

 

 

「御館様、私の結婚の条件ですが、シードラゴンの群れ相手の海中戦で無傷から腕の一本……いえ、指の三本迄は失っても構わないって変更した方が良いですか?」

 

 あー、でも御館様の話を断ってまで貫いた条件ですし、最後まで貫くべきな気もして来ましたよ、どうしましょう……。

 

 

 あれ? 御館様ったら聞こえなかったのでしょうか?

 何も言わずに家に入って行きますし、一瞬ですが溜め息を吐き出しているように見えましたけれども……。

 

 

 

「では若様、行きましょうか」

 

「ちょっとレナさん。若様にくっつき過ぎでは?」

 

 おやおや、レナちゃんったらロノス君に無理矢理腕を組んで胸を押し当てているし、パンドラちゃんは負けずと対抗して反対側からくっつこうとしていますけれど、物凄いウブなんだから真っ赤になって密着したり離れたりして、それでも完全に離れられない。

 可愛いですね、あの年頃の子の恋愛って。

 

 

 思わずホッコリとした気分になりつつも、パンドラちゃんはロノス君の趣味で……うん、あの子の趣味なんでしょうがショーツを穿いていませんし、御館様ったら急に出掛けるのを伝えたものですから途中で終わっちゃったけれど、そうでなかったら二人は……はわわっ!?

 

 

「ロノス君。ハメを外し過ぎちゃ駄目ですからね?」

 

 最初は動揺したけれども別段慌てて告げる事では無いでしょう。

 帝国でのパーティー……ハニートラップとかあれば中途半端で取り上げられてムラムラしてる状態でそんなのに遭遇しても問題ですから忠告にだけ留めておきます。

 

「……うぁ」

 

 あっ、パンドラちゃんには少しだけ刺激が強かったみたいですね。

 ロノス君に完全密着して顔すら隠してますし意地悪だったでしょうか?

 

 

「……さて」

 

 三人が家に入ったのを確認した私は一度の跳躍で三階建ての屋根の上に飛び移る。

 敷地内全体を見渡せる場所……それ自体に意味は無い。

 私の感知能力ならば何処に居ようが変わらないけれど、今から使う魔法は此処が一番効率が良いのです。

 

 

「デ……”レッドカーペット”」

 

 一本だけ立てた指に糸が絡み付き敷地内に張り巡らす。

 五感優れる獣人でも視認不能な程に細く、触れても気が付かない程に軽く柔らかく……されど剛腕の剣士による全身全霊の連撃でさえも切れはせず、私の意思一つで鋼鉄さえも切り刻む刃と化す。

 

「思い出すますね。あれは十年前、この魔法を開発して戦場で使用すれば半径一キロに渡って大地を真っ赤に染め上げましたっけ。……そのせいで周りが勝手に”デス・レッドカーペット”という名前で呼んだり、”死神”と呼ばれるようになったり散々でしたけれど」

 

 お陰で十五年前から素敵な出会いが無いですし、ちょっと腹が立って来ましたね。

 

 

 

「まあ、既に有り得ない未来でロノス君達を死に追いやった逆ハー娘や二人を利用しておいて姉として接する女神……そして根本の原因で一度……いえ、二度も二人を死に追いやった癖に何食わぬ顔で接する糞女の方が腹が立ちますが」

 

 奥歯をギリッと噛み締め、続いて背後に視線を向けた先に居た相手に問い掛ける。

 

 

 

 

「貴方の主は何と言うでしょうね、弟子」

 

「……」

 

 黒子姿の少年は律儀にも主の言いつけを守って沈黙を通し、代わりにスケッチブックに書かれた返答を私に見せ……中身を知らなかったのか慌てている。

 

 

「”計算が合わないし、婚期が遅れたのは別の理由じゃないのかな? byアンノウン”。……ちょっと八つ当たりをしても構いませんね」

 

 構いませんね? ではなく、構いませんね。

 これ、重要です。

 




あと1 あと1でブクマ千六百

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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