ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「おや、珍しい。マオ・ニュ様が殺気を放つとは」
家に入って直ぐ、レナが天井を見上げて呟いたんだけれど、僕も一瞬感じた寒気に身を竦ませた。
お祖父様は感じた上で平然としているけれどパンドラは感じなかったのか平然としている。
あの人は誰かを殺す時には殺気なんて放たない、その必要が無いからだ。
だって掃除をする時に汚れに殺気を向けないだろう?
……掃除直後に汚されたら殺気は向けそうな気がするけれどね。
まあ、掃除はやって貰うのが貴族の生活なんだけれど。
「ふふふ、大丈夫ですよ。私は戦闘種族、若様がお気になさる必要は無いのですよ? でも、気になるのなら私の体を使って憂さ晴らしをしますか?」
僕は一瞬ビクってなったのにレナは平然とするなんて、これがヒューマンと鬼族の差なのだろうかと微妙な気持ちになった時、レナは僕の耳元で囁いた。
レナによる誘惑は日常茶飯事、性欲のままに突き進む彼女が誘惑して来ない方が不自然だし、慣れたと思っていたんだけれど……。
お祖父様のお供とはいえ旅先という普段とは違った状況、ちょっとした背徳感が僕の心を揺らす。
普段ならスルーして終わりだったのに、最近他の子には手を出しちゃったし、それがレナの誘惑を魅力的に見せて来たんだ。
それがどれだけ楽しい事かを知ってしまう、真面目一辺倒だったのが悪い遊びに嵌まってしまうかのように、僕はレナの誘惑を受け入れそうになっていた、なのに……。
「……とまあ、若様へのセクハラはこの辺にして、私はメイドの仕事に戻りましょう」
餌を前にしてお預けを言い渡された犬の気分、普段受け流している誘惑に心が傾いた所でレナは僕から離れ、夕食の準備をすると奥の方に向かって行った。
取り残されて呆然とする中、不意に腕を抓ってくるパンドラ。
あっ、ヤバい……。
「若様の馬鹿……」
普段は冷静な彼女が文句を言って頬を膨らませる姿は新鮮で、思わず膨らませた頬を指先で突っついてみれば押し戻そうと抵抗している。
これは嫉妬かな?
自分が近くに居るのにレナの誘惑に目を奪われて…‥いや、違うな。
もうちょっと根本的な話だ。
「ごめんよ、パンドラ。君が先……だったよね?」
「……はい」
僕を置き去りにして勝手に二人が結んだ約束、僕が抱くのはパンドラの方が先って奴(の割にはレナの誘惑は収まってなかったけれど)。
「約束……ですので。ど、どうか、私の純潔をですね、その……先に」
元々仲が険悪ではないけれど良い方ではなかった二人、それがどうやって順番を納得したのかは分からないけれど、きっと二人には重要なんだろう。
絞り出した声を出すパンドラは限界が近いし、此処で言葉責めにすれば気絶しちゃいそうで面白……いや、何でもない。
別にレナを優先させるだけの理由が無いから文句は言ってなかったけれど、却下しなかったからこそ今こうやって拗ねたり指摘されて照れたりしているパンドラを見れるんだから良かったな。
お祖父様はさっさと三階の部屋に向かっていて、僕達は二階らしい。
でも、マオ・ニュだったら何が起きているのか把握するよね?
壁と床天井の時間を止める……いや、中で何をしているのか張り紙で報せるみたいな感じになっちゃう。
「今から僕の部屋に来るかい? 何が起きているのか分かっちゃうだろうけれど。ああ、パンドラはそれも興奮するんだっけ?」
「さ、流石に他の方に見られながらは無理です。なので、私を抱く時は私だけを見て頂ければ。知られるだけなら恥ずかしいで終わるので…‥」
「興奮する?」
「……」
もう言葉も発せないのか無言で頷き、顔も見せてくれそうにない。
なんか勢いで今からスる感じになっちゃったけれど、もしかしてパンドラの策略かな?
だったらちょっと仕返しをすべきだ。
「じゃあ、行こうか」
「きゃっ!?」
肩を抱き寄せると見せ掛け、時間停止で作り出した鎖でパンドラを縛り上げ、少し雑に持ち上げる。
縛り方は手首を前で一つに縛り、肉体の方はうろ覚えのヒシワナ……ヒシナワ? まあ、そんな感じで。丸くしているし力も軽いけれど僅かだけでも締め付けられる感触があるだろうに、僕に俵担ぎにされた彼女は慌てながらも何処か嬉しそうだ。
……縛っているから凹凸がハッキリするし、これをレナの時にも……あっ、察したのか睨まれた。
「若様、無粋です。びゃ、罰として……私に沢山お仕置きして下しゃ……さい」
そんな台詞を何処で覚えて来たのか、これは聞き出す必要が有りそうだね。
時間はあるし、じっくり聞き出そうか…‥。
「ふんふん、ちゃんと鏡はクローゼットに有るけれど、大きさはこれで良いのかな?」
行為の様子を鏡に映すなんて趣味は僕にはないから希望した本人に聞いてはみたけれど、答えられる筈がないか。
だって目隠しに猿轡をしているんだからさ。
この部屋に入るまでは鎖で縛っていただけだったけれど、部屋に入って鍵を閉めてからは鎖を消し、ベッドに寝かせた後で前で拘束していた腕を頭の上で交差させてベッドと鎖で繋ぎ、布で口と目を塞いでいる。
……僕の趣味じゃないよ?
そうして欲しいっておねだりしたのはパンドラだし、僕はそれに従い、ついでにお仕置きして欲しいって話だったのに要望を出したからって下だけ肌寒い状態。
つまり今のパンドラは目隠しをされ何も喋れない状態でベッドに拘束されながら下半身をスースーさせている、詳細は黙秘で!
「悪くはないと思っちゃっている僕が居る。……意外だな」
ちょっと変な趣味に目覚めそうで焦りを覚える中、部屋に入ったら既に用意されていた水差しとお薬(まあ、色々な奴)に視線を向けるけれど、誰が用意したのかは考えないでおこうか。
「……それにしてもプルートの仕業だな、こっちは」
今回急に決まった旅、だけれど姿を消している間にマオ・ニュが準備したのか荷造りは完璧、夜鶴だって入っていた。
明烏が無いのは帝国には知られたくないからとして、パンドラの鞄の隠しポケットに”部屋に到着したら中身を見ずに出して下さい”ってメモと共に入っていた袋……の中身。
「これ、どうやって使うんだろう? レナなら知っていそうだけれど……」
あっ、いや、この妙な感じの道具はパンドラの私物だろうし、使い方を聞き出すのも趣味の一つなのかな?
どうするか迷いつつも僕はパンドラに近付き、猿轡をそっと取る。
「暫く放置されたい? どうするか考えたいし…‥」
確か放置するのもそういった趣味の一つな筈……だったと思う。
だから目が見えない状態で放置されたら喜ぶと思ったけれど、口元からしてちょっと違うらしい。
「いえ、羞恥心を刺激するのは好きですが、放置プレイは趣味ではないので。全くゾクゾクとしませんので拒否します」
真面目なトーンで、なのにとんでもない内容で拒否された。
そ、そう、他人の趣味ってよく分からないな……。
「じゃあ、何をされたいのか、何をして欲しいか言ってご覧」
「……その、キスをお願いします」
縛ったり拘束したり放置したりと準備で変わった事をしているのに、キスから始めるだなんて逆に驚きながらも僕はそっとパンドラと唇を重ねた。
……盗み聞きされている事には気が付いていないみたいだし、今は言わない方が良いのかな?
「それからムチャクチャにされたいです! 私が泣いて許しを求めても容赦なく貪って下さい!」
これは伝えない方が良い奴だ。
パンドラ、はっちゃけたなあ……。
とりあえず僕は教えないよ……僕は。
盗み聞きしている駄メイドには後で言い聞かせはするけれど、この手の事で信用できないって言う逆に信頼感があるから、レナって。
「知らぬが何とやら、か……」
感想待ってます
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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