ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
ネーシャの妹がネーシャの振りをしているかと思ったら本物が現れて、本物のネーシャが現れたかと思ったらアリアさんが現れた。
……よしよしよしよし、よーし! 落ち着くんだ、僕!
此処は帝国、僕のホームじゃないし、周囲には別の国の貴族、当然僕は動揺なんて表には出す筈も無い、当然だよね。
鼓動の高鳴りも相手には見せず、今の僕がすべきなのは学内の友人と国外で会った事への態度だけ。
「アリアさん、どうして此処に……」
「こんの……馬鹿娘がぁああああああっ!!」
「うおっ!?」
背後から聞こえた怒鳴り声と拳骨を叩き込んだみたいな音、思わず驚き声が出てしまったけれど、咳払いで誤魔化す。
ちょっと気になるけれど、ネーシャも周囲の従者も僕の背後の光景から目を逸らしているし、僕も見ない方が良いんだろう。
「アリアさんと会うだなんて意外だったな。ちょっと驚いてしまったよ」
プチ修羅場の予感とか背後から聞こえた遣り取りは知らない事にし、今すべきである平静を装う事を優先する。
ああ、当然だけれど次期皇帝とその周囲やら幾ら結婚相手でもネーシャの周囲の人間とか様子を伺っている連中やら、敵対している吸血鬼族にプチ修羅場であたふたする姿を見られるなんて……何よりもお祖父様の前でそんな無様な姿をさらす訳には行かない!
帝国に公務で来るのがこれが初めてというのもあり、それならば悔いの残る内容は避けたいとも思っていた僕は、注目をされている間は普通にやり過ごしてこの場を切り抜けようとする。
「さて、色々とお話はしたい所ですが、一旦城に参りましょうか」
「ロノスさん、私はネーシャさんにパートナーとして招待されて来ましたから、お話は後でゆっくりと」
幸い、二人はもう行くらしいし、僕も行かないと。
所で何時の間にか背後からロザリーの姿が消えているんだけれど、あの短い時間で何処に行ったんだろ?
城までの道に何故か引き摺った様な跡が残っているけれど、アレってもしかして……。
「無様だな。もう少し気を引き締めよ。此処は身内のじゃれ合いが許される自陣では無い」
「……はい。申し訳有りません」
因みにお祖父様からは横を通り過ぎながら叱責の言葉を受けました……ああ、自分でも無様だと思うよ。
城に入って直ぐに通された謁見の間、お祖父様に付き従って入った先に居た皇帝カーリー・アマーラだけれど、ネーシャに顔付きは似ているって印象を受けた。
「ようこそいらした、クヴァイル家の御一行。此度は此方の勝手に付き合わせて申し訳無い」
だけれど表情が違うし、何よりも皇帝としての威風を感じた。
今回の件、それは残っていたお見合いが中止になった件、どうせネーシャになるのは決まっていた事だけれど、複数の名家の娘を養女にして全員とお見合いの後に誰にするか此方が決める……そんな建て前だったけれどさ。
臨海学校でネーシャと良い雰囲気になった結果、僕と他の誰かがお見合いするのは嫌だからって後のは無しになったんだよね。
本様によく許したよ、どう見てもお祖父様の同類なのに。
「いや、気にしなくて結構。我が孫と其方のご息女との婚姻が両国に利益をもたらす事を願おう」
握手を交わすお祖父様とカーリー皇帝の姿からして互いに無駄が省けた程度の考えなのだろう、実際にお見合いをするはずだった日にばっちり仕事を入れられていたし。
……しかし、こうやって見ている限りでは彼女もお祖父様と同じタイプだな。
国の為、大の為ならば小を切り捨てられる、例えその中に自分の身内が入っていたとしても。
こんな人相手にネーシャはどうやって残りのお見合いを中止させたんだか。
複数用意するから全員と会ってから選べ、なんて言い出したのは帝国側で、其れを中断すると言い出したのも帝国。
僕達だけでなく、中断して会わなかった他の養女の家にだって借りを作る以上のメリットを提示したとして、その内容は?
「ああ、其れとロノス殿、血は繋がらないとはいえ、アレは私の娘なのは変わりない。少し損得勘定で動く所もあるが仲良くしてやってくれ」
「ええ、そのつもりです、陛下」
彼女と次期皇帝のパティが双子だなんて此方が分かっているのを知っているだろうに白々しい……けれど、お祖父様とは全く同じタイプって訳じゃないんだな。
母性って言うのかな? さっきの言葉は上辺だけじゃなく、ちゃんと子供の幸せを願う母親の顔を見せていた。
もしかして、母親として娘の願いを叶えてやりたくって情で動いたのか?
「そうか、それは安心だ。あの娘とはヴァティ商会を通じてそれなりに親交があった」
……あれ? もしかして……。
「私との繋がりと実家であるヴァティ商会、この繋がりの力が弱まるであろう聖王国で不安に過ごさぬように頼んだぞ?」
「はい、お任せを」
これまた顔を合わせた直後の厳格な顔と違って柔らかな笑顔……但し、こっちは表面だけの物。
情を持っているのは確かだけれど、この人は其れを利用するタイプの人だったか。
帝国から聖王国に移り住んだ程度で繋がりが弱まる? 冗談にも程がある。
皇帝にお願いを聞いて貰える位に強い繋がりを持っているって示す為の物だったんだ。
最初からの予定だったのか、それとも途中で変えたのかまでは分からないけれども、ネーシャの母親ってよーく分かったよ。
「それと……存分に可愛がってやってくれ。色々とな。必要な物が有れば本人が用意しよう」
そして手を出しているのを分かっているって感じの含みを持たせた言葉が僕個人のみに向けられた初会合での最後の言葉。
後は形式だけの言葉を交わし、用意された部屋でパーティーが始まるまで準備と待機をするだけ。
もう直ぐ客室に到着するといった頃、城に使えるメイドに案内されて進む僕達の前から二人の吸血鬼族がやって来た。
一人は純白のドレスを身に纏い、額をティアラで飾った青寄りの紺色の髪の女性。
そして十分に背が高い彼女でさえ小柄に見える大柄の初老の男性だった。
お祖父様と同じ白髪頭だけれど、お祖父様が逞しい肉体を維持|させている《・・・・・〉のに対して彼は骨と皮だけのようで、顔の下半分を骸骨の仮面で隠し、服装は装飾品で彩られた高価そうなローブ、しかも魔法の力を感じる。
何よりも威圧感はお祖父様に匹敵するだろう。
そしてこれが初対面だけれど吸血鬼族だと即座に判断出来た真っ赤な瞳、その眼光が凄まじい。
「あっ……」
互いに立ち止まる中、会わしてはならない関係性だと聞いていたのか露骨に困った顔をしてしまった彼女は慌てて普通の表情に戻して向こうに一礼、このまま何事も無く互いに素知らぬ振りでやり過ごすのを望んで居たんだろうけれど、向こう側の女性の方はそうする気は無いらしく、敵意を見せたまま一歩前に進み出ようとし、マオ・ニュの視線が剣呑な色を帯びながら細められる。
「止すのだ、ショタナイ」
「止まれ、マオ・ニュ」
それを止めたのは互いの主。
向こうは女性の肩に手を置き、お祖父様は静かな声で諫める。
只それだけで二人は静かに控え、お祖父様と彼は一歩ずつ前に踏み出す。
「……これはゼース殿。先程は挨拶が出来ずに申し訳無い。馬鹿娘の醜態を止めるのに必死でな」
「此方も未熟な孫が無様を晒すのに呆れ、声を掛けられ無かった。気に病む必要は無い、ラヴンズ陛下」
握手が可能な距離だけれど二人揃って会釈すらせず、身内への駄目出しを口にするだけ。
……はい、本当に無様でした。
それにしてもラヴンズ陛下、か。
つまりこの人が吸血鬼族の王であるラヴンズ・フルゴールの名を継いだ男で、あの少し敵意を隠せていなかったのは側近だと名が広まっている二人の片割れ、宰相”ショタナイ”か。
「うへへへ、陛下に触れて頂けるなんて。しかも後で絶対叱責されるでしょうし……」
そして変人確定、もう一人に期待しよう。
怪しくニヤニヤ笑いながら呟くショタナイの姿にドン引きする僕だけれど、レナとか似た感じだな、うん。
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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ポチ
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レキア
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夜鶴
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ネーシャ
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ハティ
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レナ
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パンドラ
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サマエル
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シロノ
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アリア