ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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失態の連続

 敵対する国の指導者同士の遭遇、戦場ではなくて互いに友好的な国の王城での其れは戦いには発展させてはならない物だ、

「部下が無礼を働いた。謝罪しよう」

 

「ラヴンズ様、謝罪などお止め下さい!?」

 

そんな場で敵意を隠そうともしないショタナイの態度は忠義が暴走した物だろうが、居るんだよね、主の敵なら存在すら許せずに場を弁えすに逆に迷惑を掛けるのがさ。

今も主の言葉に慌ててしまい、ひと睨みで黙らさて落ち込んでいる。

 

 

「ロノス君、侮らないように。普段は文武管として優秀な人ですからね」

 

 その言葉は一連の流れでショタナイを侮り始めていた僕への忠告だと気が付かされる。

 ああ、そうだ、未だ学生の身で政務は手習い程度しか任せて貰っていない分際で相手を甘く見るとは何様の積もりだ、僕。

 

 ”吸血王”、今までラヴンズ・フルゴールの名を継承した吸血鬼族は何人も居たけれど、吸血鬼族の王が名乗るその名を受け継いだ上で今代の王に与えられた呼び名だ。

 それ程の相手が宰相に任命し、自分絡みではポンコツになると分かっていても連れ歩く程の存在、それを侮っていれば将来手玉に取られるだけだったろう。

 

 流石に叱られたばかりなのかしおらしい態度で控えているショタナイに対し、ラヴンズ王は一瞥だけするとお祖父さ様と再び視線を交わらせ、何か起きるのではと間に挟まれた形のメイドがハラハラしている。

 

 彼女は彼女で大変だな、そんな風に思っている中、重苦しい沈黙を先に破ったのはお祖父様、体を斜めにし、僕と僕の隣のパンドラに手を向ける。

 

「既に知っているだろうが紹介しておこう。我が孫のロノスと、その婚約者の一人であり私の側近の一人であるパンドラだ」

 

「ほほぅ。”聖騎士”と”魔王の右腕”とは一度会って見たかったが、思ったより早く叶った訳だ。先程は馬鹿娘の愚行を止めるのに夢中になって意識を向けられなかったからな。……ふぅ。能力だけなら長男と彼奴で我が子達の中でもツートップなのだが、どうも趣味に走る傾向があってな」

 

「ラヴンズ様、何を仰いますか! 偉大なる王家の正式な血統である四人、それが己の欲を優先して何が悪いと……」

 

 ……あーあ、こうして頭に血が昇ってやらかす光景って他人のを見せられるだけでも自分への戒めになってくれるな、本当に。

 

 お祖父様との会話の途中で弱みを見せるような発言と溜め息をした主に忠誠心が振り切れているショタナイは我慢出来ずに言葉を挟むけれど、部下の抑制も出来ないと見せつけるのは悪手……。

 

 

「ショタナイ、今は私とゼース殿の会話中であり、お前に発言権を与えた覚えはないが、私が耄碌したのか? ああ、確かに既に孫娘が長男の所で生まれたが、其処まで年を取ったとは思わないのだがな」

 

 当然、それは主の怒りを買う。

 お祖父様に背を向け、高身長体を折り曲げてショタナイの顔をのぞき込む時、彼の表情は穏やかであり、口調だって気になった事を尋ねる時の物。

 此処だけならば一見する限り規律には厳しいが基本的に好々爺に見えただろうけれど、あれは違う、叱られた時でさえ恍惚の色を浮かべていた彼女が本気で拙いと思っているのが見て取れる。

 

「も、申し訳有りません、ラヴンズ様……」

 

 直接怒気を向けられていない僕でも分かる程に強烈なプレッシャーは空気をピリピリと震わせて、メイドは余波だけで顔面蒼白、呼吸困難に陥る一歩手前って状態だ。

 ならば直接向けられているショタナイだったら相手が異常なまでに忠誠を誓う主なんだから途轍もないんだろう。

 こんな場所で怒りを露わにさせてしまった事による自信への失望も有りそうだ。

 

 この状況、指導者としては恥であり、正直言って二人揃っての醜態だけれども、それでも怒りを抑えられない程の地雷が今の言葉に……うん? 確か情報ではラヴンズ王の子供って娘三人息子二人の筈なのに、ショタナイは四人って……。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「潮時ですね。……流石に放置は出来ません」

 

 プレッシャーに耐えきれなくなったメイドの息が荒くなった所でマオ・ニュが僕とお祖父様の横を通り過ぎ、メイドの横に立つと背中をさすりながら耳元で落ち着くように静かに囁いた。

 

「大丈夫ですよ、大丈夫。ほら、ゆっくりと呼吸をして……そう、もう安心ですから」

 

 死神とまで呼ばれた彼女は何処へ行ったのやら、穏やかな語りかけにメイドが落ち着きを取り戻す中、ラヴンズ王も遣り取りに気が付いたのか少し慌てた様子でショタナイから離れ、咳払いをした。

 

「この様な場所で醜態を見せてしまったな。この場の一同に謝罪しよう」

 

「ああ、分かった。その謝罪を持って今の遣り取りは忘れるとする」

 

「ラヴンズ様!? 何も謝罪など……申し訳御座いません」

 

 一国の王が軽くとはいえ頭を下げ、慌てたショタナイが止めようとするけれど一瞥で止められる。

 彼女も学習しないな、それでも手腕は恐ろしいのがマオ・ニュの警告からは伝わって来ているけれど。

 

 

 これでこの場は手打ちとなり、互いに相手が見えないような態度ですれ違って先に進む。

 

「此処がロノス様のお部屋で御座います。では、何かありましたらお呼び下さい」

 

 メイドが僕を部屋に通してから去った後にパンドラも同じ部屋に居たんだけれど、ショタナイの失態を目にしたからか今度に活かす方法をパンドラがしていた時に、僕は少し気になる事を訊く事にした。

 

 

「ねぇ、パンド……」

 

「あの発言の事ですね、ロノス君。パンドラちゃんは考え事の途中ですし、私が教えましょう」

 

 パンドラの思考の邪魔をするなって事だね……まあ、それはそうだ。

 そしてマオ・ニュ、何時の間に入って来たの?

 

「今のラヴンズ・フルゴール……吸血王ですが、幼い頃に一度遭難して遠くの国に流れ着いた事があるんですよ。秘密にはされているんですけれどね。あっ、何故知っているのかなんて言わなくても分かりますよね?」

 

「まあ、何となくは」

 

 それからマオ・ニュが話し始めたのは吸血王の過去、彼が未だラヴンズではなかった頃の話。

 

 

 ある日、幼い彼を乗せた船が向かっていたのは少し離れた海域で船を襲いだした海賊の討伐。

 と言っても彼は未だ幼い身だ、指揮したという実績を作る為に送り出されただけと、彼はそう思っていた。

 

 幼いながらも身に宿す魔力は凄まじく、腹違いの姉や兄をも上回る知略を見せる事もあった吸血王の弱点は身内への甘さ、策謀渦巻く権力争いの場で家族なのだからと信頼しきっていた彼と共に航海に出たのは母とは違う王の側室の手の者。

 裏切られたと知り、毒を飲まされて自由に動けない体で樽に逃げ込んだものの見抜かれていて、そのまま荒れ始めた海に投げ込まれた。

 

 

 

「それから彼がどの様な経緯を辿って何処にたどり着いたのかは知りませんが、漂着した先で助けてくれたヒューマンと年の離れた友になったそうです。ですが彼も彼の息子夫婦も死に、残った女の子を養子にした吸血王は祖国に舞い戻って他の候補者を蹴落とし、王になったそうです」

 

「腹違いの兄弟達を蹴落としたって辺りは知っているよ。確か王になった後、全員が母親共々何らかの理由で死んでいるっていうのもさ」

 

「恩人である友人一族が死んだのも、まあ、そういう事だったのでしょう。本人か友人の周囲にいた人なら知っているのでしょうが」

 

 この話を聞き、僕はラヴンズ王への警戒の度合いを高める。

 彼は僕と同じ部類、大切な存在に手を出す相手には一切の容赦をせず、そんな存在の為ならば自分の心に反する事さえ行えるのだと。

 

 

「どうやら話して正解だったみたいですね。じゃあ、パンドラちゃんは一旦部屋から出ましょうか。パーティーまで少し時間がありますからシャワーを浴びて綺麗になっておきましょう。……ロノス君と一緒に浴びるとかは駄目ですよ?」

 

「ほへ? い、いえ、ましゃか、若様と一緒にシャワーを浴びて、ついでに壁に押しつけられながら強引に犯されたいとかは別に……」

 

「パンドラちゃん、精神修行を一から頑張りましょう。幾ら何でも口を滑らしすぎですから」

 

「え? マオ・ニュ様の精神修行ってキツい事で有名な……冗談、ではないですよね、当然ながら」

 

 パンドラが助けを求める目をするけれど、さっきのは擁護できない、レナに影響されているから。

 だから助けないし、それに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マオ・ニュ、僕も……」

 

「其処の御仁、宜しいで御座ろうか?」

 

「一緒に……うん?」

 

 窓の方から聞こえた子供っぽい声、何というか前世で観たアニメで動物キャラに使われそうなそれに反応して顔を向ければ巨大で不細工な緑色の犬と視線が重なった。

 

 

 ……何だろ、この珍獣。

 

 

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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