ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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尚、祖父はスルーしている

 貴族にとってパーティーは戦場、ドレスやタキシードは己の身と誇りを守る鎧。

 何時もは背中側に垂らしている髪を結い、前髪もティアラで整える。

 身に纏うのは髪と同じ赤紫色のドレスで、少し恥ずかしいですが胸元とロングスカートのスリットは深め。

 

 

「これ、少し肌を見せ過ぎではないでしょうか……」

 

 スリットから覗く足(一応をストッキングは履いていて生足ではない)を鏡で目にし、少し屈んだ程度では下着が覗かない様に胸元を調整するのですが、普段からスーツを着ている事が多い身とすればどうも落ち着かない。

 

 だって私、若様の婚約者であり御館様の片腕とまで呼ばれる程度には権限を持っていますけれど、貴族の位は持っていない一臣下、多少の宴には参加しても今回みたいに華やかなドレスで着飾る機会は少なかったですから。

 

「今回は若様のパートナーとして参加するのですし、多少の恥ずかしさは飲み込んで堂々として下さい、パンドラさん」

 

「レナさん……」

 

 普段は客人の前だけ冷静で仕事が出来るメイドを演じていながら、裏では若様にセクハラを連発する脳味噌ピンク一色、三大欲求に割く力の九割九分九厘が性欲に注がれるレナさんですが、今は私の着替えを手伝う敏腕メイド、髪だって彼女が整えてくれましたし、若様の護衛に選ばれたのが気心が知れているだけではないと認識させられます。

 

 

「まあ、若様の隠していた本からしてドレスで着飾るより、仕事が出来る知的な女性という感じの方が性的な好みに近いのですが。それと胸が大きい方が好きなのは確実で……」

 

「私の胸の大きさに文句でも? 人並み以上には有ると自負していますけれど?」

 

「ええ、人並みには有りますね、人並みには」

 

 意味深な言い方で露骨に私の胸に視線をやり、体を揺すってご自慢らしい大きな胸を揺らす。

 姫様が居たならば確実に不機嫌になる所ですね。

 

 ……折角見直したのに、この人は本当に……本当に。

 

 

「……とまあ、メイドとして来た以上は若様と踊る事は勿論、着飾った姿を見ていただく事すら不可能な負け犬の戯れ言ですね。なのでパンドラさんは最高の笑顔で若様を魅了していて下さいな」

 

「レナさん……」

 

 

 

 

「パーティーの給仕は帝国のメイドがするので暇ですし、私は若様が出した着替えた後の服を嗅いで気持ち良くなっていますので。ええ、私の匂いが染み込む程に使わせて貰います:

 

 本当にっ! この人は本当にっ!!

 

 

 

 レナさんが待機中に何をしでかす気なのか……ナニかは分かるのですが、ちょっと不安になりつつも部屋を出れば既にマオ・ニュ様はパーティー用の普段よりは装飾品の多い燕尾服に着替えていました。

 角にも金細工を飾り付け、これでちゃんと女性用の服装をすればどれ程綺麗なのでしょうかと惜しく思います。

 

「おや、パンドラちゃん、ドレスが……いえ、最初の誉め言葉は私じゃない方が良いですね。それはロノス君のお仕事です」

 

「マオ・ニュ様、その格好、素敵ですね。凄い美少女に……あっ、いえ、申し訳有りません」

 

「いえいえ、構いませんよ? 私も今年で三十路に……二十代も最後ですが、若く見られるのは嬉しいですし、ちょっと照れちゃいますけれど。そうですか、十代に見えちゃいますか」

 

 本来の年齢の半分以下に見えるから美少女と言ってしまいましたが、これは美女というより喜んで貰えたらしいですね。

 口元に手を当てて少し照れた様子で微笑む姿には微笑ましい物を感じてしまいます。

 

 ……この姿で、この笑顔を浮かべながらも必要なら顔見知りすら容赦無く消す事が出来るのだから普通に怖い人よりも怖いのですけれど。

 

「むぅ。今、私を怖いって思いませんでした?」

 

「そ、その様な事は……申し訳有りません」

 

「……ちゃんと隠して下さいね? ほら、ロノス君が来ましたよ。気を抜かないでお出迎えしましょう」

 

 そう、今から向かうは他国のパーティー会場、つまりは敵地……まあ、自国で自陣営だらけであっても気を抜いてはならないのですが。

 

 

「パンドラ、凄く似合っているよ。綺麗だ……月並みな誉め言葉しか出ないのが情けないなあ」

 

 

 

 私とは違ってパーティーへの参加には慣れているからなのか若様はタキシードを着こなして落ち着いた様子、思わず見取れてしまいマオ・ニュ様の時とは違ってちゃんとした言葉が出て来ない。

 

 ……誉められたからなのか胸がドキドキと高鳴り顔が熱い、これが惚れた弱みなのでしょうね。

 それにしてもダンスパーティーと聞いていますが、私も若様のパートナーとして参加した以上は……。

 

 恐らくはメインとしてお相手をなされるのはネーシャ様なのでしょう、養女ですが若様との婚約が決まった皇女様なのですから当然でしょうが、この時の私はちょっとだけ悔しい気も感じていた。

 

 自分の立場は分かっている、何処まで行っても所詮は王国より流れて来た難民。

 

 それが才能を見出して頂き、責任が伴う仕事を任せて貰える役職にまで取り立てて頂いた上に次期当主との結婚まで与えられ、今日の食事にも困っていた幼き日の私なら絶対に信じず鼻で笑うのでしょうね。

 次の瞬間には目が覚めて全て都合の良い夢だったとしても不思議じゃない幸福な人生ですが……お慕いする方とは他の誰よりも側に居たいと思っても良いのではと表情に出さずに考えていた時、御館様もやって来て、待機していた案内役に導かれて会場へと向かうのですが……。

 

 

「パンドラ、腕を組んで行こうか。ほら、君の今後の仕事を考えたら僕と仲が良いと見せびらかした方が良いしさ。それに、君みたいな美女と一緒に入場とか気分が良さそうだ」

 

「つ、謹んでお受けいたしましゅ……こほんっ! お受けいたします、若様」

 

 そう、私の出自は知られるでしょうし、一種の政略結婚だから不仲だろうと思われるよりは鬱陶しい切り崩し工作に対処する手間を減らせるでしょうし、つまりその様な口実が有るのですから若様と腕を組んでも問題は有りません。

 

 表情や動きがぎこちなくなっていないか、ドレスが乱れていないか……兎に角、共に入って注目を浴びる事になる若様に恥を掻かせる状態になってなどいないか、それを気にしつつ若様と腕を組めば服の上からでも分かる鍛えられた肉体の感触が伝わった。

 

 若様、細く見えても実はガッシリとした肉体の持ち主ですからね。

 その肉体で私を押さえつけて散々ベッドの上で……あぅぅ。

 

 あの夜の事を思い出すと、どうしても今後の事も妄想……想像してしまいます。

 真面目だった人程遊びを知れば熱中しがちと誰かから聞き、個人差があると思っていましたが、どうやら私は当てはまるタイプだった様で……。

 

 思い浮かぶのはパーティー会場、大勢がダンスや料理を楽しむ中で私は若様にカーテンの陰に連れ込まれてスリットから手を入れられ、必死に声を押し殺すけれど手を無理に引き離されたから音楽でかき消される様に小さな声で済ませようと……わっ!?

 

「……大丈夫かい?」

 

 妄想の世界に入り込んでいたせいか躓きそうになって我に戻った私の顔を心配そうに若様が覗き込む。

 顔が、顔が近いです、若様……。

 

「申し訳有りません。少し考え事をしていました」

 

「そう。パンドラの事だからお仕事の事だろうね。うん、君は本当に頼りになるな。でもさ、これも外交の一部とはいえ、それはそれで楽しもう」

 

 ……申し訳有りません、確かに子を産むのも側室の仕事ですし、仕事の事と言っても嘘にはなりませんが若様が想像されている事とは別の妄想です。

 

「そうですね。はい、若様が仰るとおりパーティーを楽しませて頂きましょう」

 

 慣れない場ですが若様が心配した上で私が楽しむ事をお望みならば楽しみましょう。

 妄想した内容みたいな"お楽しみ”の方は妄想しなくても若様にお願いすれば良いですし……。

 

 

 さて、会場へ続く扉が見えて来ましたし気合いを入れて姿勢を整えるべき時間です。

 若様のパートナーとして恥ずかしくない振る舞いを、それを大切にしながら楽しませて貰いましょう。

 

 

 

 それにしても好きな方とダンスパーティーに参加するだなんて幼い頃に夢物語で聞いて憧れた状況ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、私はなんて幸福なのでしょう。若様と出会えて幸福だと心の底から思います」

 

「うん、僕も君と出会えて幸せだと思っているよ」

 

 ……今の声に出していました!?

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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