ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
僕やリアスは勿論、周囲の人達はそれなりに
こんなモンスターだの魔法だの魔剣だのが存在する世界なんだし、力を得るのは必須なんだ。
……戦いは専門職に任せて貴族とか文官は自分の仕事に集中出来るのが一番なんだけれど、見た目じゃ強さが分かり辛い上に高いレベルになれば武装した低レベルの戦闘職に素手で立ち向かえるし、文武両道が推奨されるのはやむを得ないって事だ。
まあ、リアス位突き抜けていれば武だけで問題無いし、あの子はちゃんと聖女の仕事はやれている。
さて、レベルを上げるのは必要な事だけれど、上がったら上がったらで問題が発生するんだよ。
「……ふぅ。漸く疲れて来たか。体力が有り余るってのも考え物だね」
「仕事をする上では助かるのですが、限られた時間で鍛える際には問題ですよね」
早朝、未だ暗い時間帯から始まった朝の鍛錬は模擬戦をぶっ続けで行い、今朝日が大地を照らし始めている頃合いだ。
僕とパンドラは漸く滲み始めた汗を手で拭い、ラストスパートを掛けるべく全身に力を込める。
頭の良い人が難しい問題を楽に解く様に、力自慢が重い荷物を楽々持ち上げるみたいに、質の上がった肉体は並大抵の負荷じゃ堪えない、要するに準備運動にすらならないんだ。
幾ら鈍りにくさも上がるとはいえ、軽い運動しかしないんじゃ強くはなれない。
だから兎に角全力で動き続ける、限られた時間を有効活用すべく動き続けて肉体に何とか悲鳴を上げさせる。
どうも戦いで強くなった肉体は戦いが一番効果的に鍛えられるらしく、こうして模擬戦をするんだけれど……。
「何ともまあ、随分と派手にやったものだ。将軍、平兵共の訓練で訓練場が此処まで破壊された事はあったか?」
「いえ、私の記憶の中では……」
「で、あろうな。要するに我が軍の兵はこの二人に劣るという事だ。今後は更に重き訓練を課すように」
兵士達の朝の訓練の視察のついでに僕達に貸し出した訓練場を訪れたカーリー皇帝は破壊の限りを尽くされた訓練場を眺め、冷酷な目をしょうぐんにむけていた。
「これは土属性の魔法による物か。魔法によって頑丈に作られた石床が割られ砕かれた貫かれ、見るも無惨な姿になっている。流石は魔王の片腕と呼ばれるパンドラ殿であるな。我が国に引き抜きたい所だ」
カーリー皇帝は砕かれた床の破片をつまみ上げて眺める。
仮にもモンスターの相手をする兵士達が日々訓練を行う場所の一つだ、並大抵の事では壊れはしないはずなのに、指の中で破片は脆く砕け散って床に落ちていった。
まるで大災害の後で放置された場所が更に年月の経過で崩壊したような惨状の中、称賛を浴びたパンドラは恭しく頭を下げるけれど、カーリー皇帝は本気で言っているみたいだな。
「お褒めに与り恐縮で御座います。この身が宿す力は全て見出し鍛え上げて下さったクヴァイル家あってこそ。それにまだまだ未熟な身であると自覚しております」
「謙遜も過ぎれば嫌味となろう。しかし、見事な物だな。会場でも余興で一部の力を披露して貰ったが……これが時の力か」
カーリー皇帝の指の中から砂のように砕けて落ちた破片、割れたり隆起した岩に貫かれたり、完全に砕けて砂地が見えている石床、崩れた壁に折れた柱、その全てが元に戻って行く光景を目にし将軍は驚きで大口を開き、カーリー皇帝は感心した様子で僕を見詰めていた。
「お主の家が今のように絶大な力を持つ大家でなければパティの婿として帝国に迎え入れたい所であるな。どうだ? 実質的な皇帝になってみないか?」
「ご冗談を。私はネーシャと婚姻を結びましたし、祖国を愛しています。それに陛下が此方側なら国を捨てるなど許さないでしょう?」
あー、面倒だ。
冗談だって建て前で言っている癖に目は本気だもんな、この皇帝。
僕の家も人材発掘や育成に力を入れているけれど、目の前の相手は有能な人材はダメ元で勧誘するタイプらしいし、今後も付き合いがあるだろうけれど、もしかしたら育成の手間暇とお金を掛けた人材を情報ごと持って行かれそうになるかもね。
その場合はマオ・ニュや僕が任されるような裏の仕事専門部隊の出番で、スカウトに乗った人は事故死や病死扱いになるんだろうな……。
「さて、長話をしていては公務に差し支える。私は他の訓練場へと向かうがロノス殿は朝餉の前に汗を流すと良い。風呂の用意はしてあるぞ」
「お心遣い痛み入ります、陛下」
「ではな。義理とはいえネーシャは娘だ。可愛がって欲しいと願う」
また身内に厄介な……いや、お嫁さんの義理の(建前上)母親だけれど異国の皇帝じゃ身内扱いは出来ないか。
もう家内で争っている親族の方がマシだって位に面倒な相手だからなあ。
今後は義理の母として干渉して来る口実を得た相手の背中を眺めていると溜め息が込み上げて来る気分だ。
あの冷酷な感じから一変して娘の婚約者を気遣う柔和な笑み、顔の使い分けをよーく心得ている厄介さ。
結局、その背中が見えなくなるまで見送っていた。
「流石は皇帝って所か……」
「ええ、強敵と評価して良いでしょう」
背後から聞こえるパンドラの声は静かな物。
悔しい話だけれど僕がネーシャと結婚してカーリー皇帝の干渉が始まった場合、一番先に対処して貰うのは彼女にだ。
だから僕は背を向けたまま尋ねる。
「勝てる?」
「″勝て”と若様がご命じになるのならば。……いえ、命じられずとも勝ってご覧に見せましょう」
最初から最後まで彼女の声は冷静で、そして自信に満ちている。
分かっていたけれど、頼もしい言葉をちゃんと聞いたら安心するな。
安心した結果、朝ご飯の時間が近い事を空腹をもって体が訴える、気付けば周囲はだいぶ明るいし、朝の鍛錬は終わる頃だ。
「そう。パンドラならそう言うと思っていたよ。じゃあ汗を流しに行こうか。汗臭いままじゃ朝食の席には座れないからね」
「ええ、屋敷ならばメイド長に叱られる所です。下手をすれば神罰を与えて来る……おっと、これでは彼女が神のようですね」
「女神ってよりは……うん、これ以上は止めておこう。何故か伝わる気がするから」
尚、僕は敢えて言わなかったけれど、パンドラのメイド長を神扱いするみたいなジョークは正直面白くないと思っていた。
外交の場では談笑とか出来ているのに、身内ネタになると途端にユーモアのセンスがなくなるのは何故なんだろう?
それもメイド長限定で……。
「此処が帝国でなければお背中を流しますのに……。ええ、その際に不手際があってお仕置きされるのも……はっ!?」
「部屋にも小さなお風呂があるけれど、あの口振りじゃ大浴場の方だろうし、男女別だろうね。ほら、妄想を口に出していないで行くよ」
自然と並んで歩き、自然と指を絡めて歩く。
横目で顔を見れば愛しく思える彼女の顔があって心が弾んだんだけれど、背後から声が掛けられて動きを止める。
「ふーん。ネーシャみたいに野心たっぷりの腹黒いのに奉仕タイプのネーシャや表面上は天然で明るいけれど中身は冷めてる薄幸そうな巨乳の……アリアだっけ? あの二人も良いけれど、長身スレンダーの知的眼鏡美女も良いじゃないか。羨ましい!」
振り向けば僕達と同様に朝の鍛錬でもしていたのか汗ばんだ様子のロザリーが大小の刀を携えてパンドラを眺め、力強く拳を握る。
……うわぁ。
「え? 何? パンドラを口説きに来たの?」
朝も早くから……吸血鬼族って朝に弱かった筈、眠いのを堪えて鍛錬に励むのは分かるんだけれど……。
「いやいや、流石にそれは……」
まあ、それもそうか。
肩を竦めてゆっくりと首を横に振る彼女の姿に早合点かと安心、流石にそんな風に思うのは失礼だったね。
そんな訳が……。
「ちゃんと身嗜みを整え、場を用意してダメ元で口説くに決まっているじゃないか! 私は
「……あったかぁ」
「おっと、父さんみたいな反応は止してくれ。地味に傷付くじゃないか。私は繊細な乙女……は有り得ないな、うん。自分で言って有り得ない」
「それで何用かな? もう風呂に行きたいんだけれど……」
「ああ、いけないいけない。欲望を優先しちゃうのは私の悪癖だと兄にも何度も叱られてね。……私の用件はそれさ」
いい加減立ち去りたい気分の中、ロザリーは僕が携えた夜鶴を指差し、興味深そうな視線を向けていた。
「その規格外に長い刃、どう考えても普通の刀じゃないだろう? 普通は使い物にならないのに、君の強さは耳に届いている。なら、考えられるのは君の刀は間違い無く妖刀だ。その手の武器のコレクターとして興味が湧いてね。ちょっとだけ見せてくれないかい?」
さて、どうやって断ろうか。
そして早口だった、語りたいタイプのオタクか、彼女。
感想くだせぇ
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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ポチ
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レキア
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夜鶴
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ネーシャ
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ハティ
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レナ
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パンドラ
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サマエル
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シロノ
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アリア