ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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駄目な大人ランキング上位常連

 今や愛刀になっている夜鶴と明烏……え? 明烏は要求ばかりして来て愛刀って言えるのかって?

 はっはっはっ! ナンノコトヤラー。

 

「この刀、使えるのかな……」

 

 偶々条件を満たして主に選ばれたのは良いけれど、明烏は“自分を使いたいのならば相応しい敵を用意しろ。されど放置するのも許さない”なんて柄を握った途端に伝わって来たし、幼い僕は不安になった。

 

 夜鶴は夜鶴で大勢の忍者が出て来るのは凄いし、家じゃなくって僕自身の部下が出来るって嬉しかったし、巨大な刀も幼い僕には魅力的に見えたんだけれど、実際に振るってみたら刀身だけで三メートルだ、振るう途中でフラフラ、刃筋なんて合いはしない。

 

 何とかしようとした三日後、僕の心は折れ掛けていたんだ。

 

 だって子供だったんだし、未来を変えたいと願っていても限界があるだろう?

 

「主、ご心配の必要は御座いません。本体は夜鶴めが自ら振るい、忍びとしてお仕え致しますので」

 

 そんな僕に彼女は跪いて大丈夫だと言うけれど、明烏は僕に自分を使わせたいと伝えて来ているし、その相方が違うとは思えない。

 切れ味は抜群、それこそ遮蔽物が遮蔽物にならない位に。

 でも、それは刃がちゃんと振るわれる方向を向いていたらの話、柄が普通なのに刃が異常に長い夜鶴の本体じゃ余程の剣術の腕前がないと無意味だ。

 そんな腕、子供の僕に望む方が無理だと分かっていたのか夜鶴には残念そうな様子すら無くって悔しいのもあった。

 それでも自信が無かった僕が問題を先延ばしにしようとした時だ。

 

 

「貴様は馬鹿者でおじゃるな」

 

 心底呆れた様な声と共に頭に拳骨が落されて、夜鶴がすかさず動いていた。

 短刀を手に僕を殴った相手に飛び掛かり、同時に分体が僕を抱えて退避をしようとして、僕は殴った相手に抱えられて木の上で彼女を見下ろしている状態だ。

 

「貴様!」

 

「主を返して貰うぞ、狼藉者めが!」

 

 真面目な性格なのか、この頃は機械的な感じだったから使命の為なのか出会った僕の為に明らかに格上の相手に挑もうとするんだけれど、捕まっている僕の方は落ち着いていたよね

 そして少し諦めていた。

 

「忠誠は結構、だが扱う為の労力を無駄だと断じる様な態度は如何な物であろうな。マロ、ちょいご立腹でおじゃる」

 

 独特の口調に知った声、そして朝から漂う強烈な酒気と片手の瓢箪、ここ迄くれば顔を見なくても誰かは分かった。

 

 

「夜鶴、大丈夫だよ。知り合いのヒスイさ……誰?」

 

 分かったから顔を見たら似てはいるんだけれど髪の色とか色々違って別人だった。

 え? 本当に曲者!?

 

 僕が知っているヒスイさんはナギ族……いや、ギヌスの民の中で剣の腕前ならトップだという凄い人。

 黄緑色の髪を伸ばして表情が分かり難くし、スラッとした二メートル近い長身に着流しの大きく開けた胸元には背中まで貫通する傷跡。

 何を考えているのか分からない言動。但し半分以上は常に酔っぱらっているからって割と駄目な大人。

 

 けれど僕を抱えているのは茶色っぽい髪を伸ばしてはいるけれど人の良さそうな顔を出したお姉さんで、胸にはサラシを巻いているし、片足が義足だ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 不審者かと思いきや知り合いで大丈夫かと思いきや命の危機だと焦る僕に不審者は怪訝そうに首を傾げ、ふと自分の額に手を当てた。

 

 

「マロとした事がウッカリしてたでおじゃるよ。二日酔いとは怖い怖い。迎え酒迎え酒、二日酔いには迎え酒でおじゃる」

 

 瓢箪の中身を一気に飲み干した途端に酒臭いピンクの霧を吐き出したかと思うと忽ち彼女の全身を包み、不審者の額から鬼族の証である角が生え、髪の色が一気に変わって丸っ切り別人な知人になっていた。

 

 

「あの姿は金目当てに賊をおびき寄せる為の餌でおじゃるよ。マロのお気に入りの酒は高価でおじゃるからな。でも、流石にクヴァイル家の領地じゃ賊なんて見つからないし……久し振りじゃな、金貸してたも」

 

「えっと、もう一度紹介するね? 僕の乳母の従姉妹のヒスイさん。だから警戒しなくても……」

 

「更に言うなら今日からレナスと一緒にロノスを鍛える事になったでおじゃるよ。じゃあ金を……」

 

「え? 僕聞いてない……。そして、僕、貸さない。レナスから絶対に貸すなって言われてるから」

 

「今思いついた! 顔を見に来たら甘えた事を言ってるでおじゃるし、マロの剣術を叩き込んでやるから感謝せよ」

 

「夜鶴、助けて!」

 

 

 レナスだけで地獄だったし助けを求めて当たり前だったけれど、結局はヒスイさん……師匠呼びを強制する人にも鍛えられる事になったんだ……。

 

「所で少しだけで良いから酒代を……」

 

「貸さない」

 

 この時、慣れている僕はヒスイさんこと師匠への評価が割と駄目な大人のままだったけれど、初対面の夜鶴は駄目人間だってなっちゃったらしい。

 

 

 明烏? 斬り合いが楽しそうな面白い女、だって夜鶴から教えて貰ったよ。

 いや、斬られるのって僕だよね?

 

 

 

 まあ、こんな風に何とか使いこなせるようになった夜鶴だけれど、それをコレクター的な興味で他人から見せて欲しいと頼まれたとして、ホイホイ見せられるかって話なんだよね。

 

 

「無理だね。興味があるから見せろと言われて簡単に見せるような仲じゃないだろ、僕と君はさ。妖刀だって分かっているのなら当然じゃないか」

 

 相手は祖国と仲の悪い国のお姫様、共通の友好国に居るし、遭遇したら即座に戦いになる程じゃ無いけれど、少なくても妖刀の能力を教えるのは勿論、武器を渡すってのも論外だ。

 

 さて、これで納得してくれるんだったら助かるんだけれど……。

 

「あっ、そうかい。じゃあ良いや」

 

 助かったよっ!?

 

「おいおい、どうしたんだい? まさか私が鬱陶しい程に頼み込むとでも? はっはっはっ! まさかまさか」

 

 心外だ、とばかりにロザリーは肩を竦めている。

 いや、ネーシャ相手に人前で口説いてたし、パンドラの事も急にあんな事を言い出すし、常識が無いのかと……。

 

「……え? まさか本当に思われていた? 私の評価ってそんな物なのか。酷いな、君」

 

「酷いのは短期間で見せた君の言動じゃないかい?」

 

「そうかい? そうかな……そうかも、そうだな! はっはっはっ! まあ、私はちゃんとしたコレクターだし、他人の物に無理に手を出すのは御法度って分かっているのさ。父さんの物は勝手に持ち出すけどね。……あの人、珍しい武器を集めて後生大事に仕舞い込むんだ。美少女は愛でてこそ、名刀は斬ってこそなのにさ。だから勝手に持ち出してバンバン使ってる!」

 

「親指立てて良い笑顔で言う事?」

 

「言う事じゃなかったら言わないさ。うちの一家って大体そんな感じだから」

 

「変わってるなあ……」

 

 

  分かっていた、分かっていた事だけれど……自由だ。

 これが一国の王女の振る舞いなのかと考えれば王国のマザコン王子の姿が頭に浮かぶ。

 あれ? 寧ろ王族ってこんな感じなのかな?

 

 

「姫様ー!」

 

「ロザリー様ー!」

 

「おや、一人で鍛錬がしたいからと貸して貰った場所を抜け出して剣を振るっていたんだけれど、流石はリュミイエモンとショタナイ。もう見つかりそうだ。君達と話してるのを見付かったら五月蠅いし、此処で失礼させて貰うよ」

 

 言いたい事だけ言った挙げ句にさっさと去ろうとするロザリーだけれど、何かを思い出したように立ち止まって顔だけ向けてきた。

 

 

 

「言っておこう、名誉の為に! うちの家族は長女が天然で次男が卑屈だけれど基本的には真面目だし、唯一ノリで動く私と一緒にしないでくれよ?」

 

「其処は真面目になろうって選択肢は無いのかい?」

 

「私は私らしく生きたいのさ。じゃあ、今度こそさらばだ。まあ、父さんと魔王殿が何やら話をしていたらしいし、近い内にまた会うかもね。……君に嫁がせるとかは絶対に嫌だなあ」

 

「無いんだ、選択肢は……」

 

 そして僕も嫌だよ、そんな風に言いたいのを我慢している間にロザリーはさっさと姿を消したし、僕達も遠目に見つからないようにさっさと大浴場の方に向かうんだけれど、お祖父様がしていたって話が気になるな。

 

 

 

「パンドラ、何か知っているかい?」

 

 僕の問いかけにパンドラは静かに顔を左右に振る。

 側近の彼女にさえ話さないなんて、本当に何を話し合っていたのやら。

 

 

 只、吸血鬼族との関係に歴史的な影響を及ぼす、そんな予感がしていた……。

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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