ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「……私、幼い頃から思っていたんです。私はこんな物要らないって」
ロノス様に少しだけ悪戯をした後で始めたドレスの試着の最中、アリアが急に静かな声で呟きました。
鏡の前、私が体に当てているのは魔法の力によって帝国の温暖という言葉が生温い気候や強烈な日差しからも守ってくれる薄い生地のドレス。
あの方の前では扇情的な物を選ぶと囁きましたが私が……いえ、私とアリアがなろうとするのは情婦ではなくて貴族の妻、それなりの気品を考えませんとね。
「それは貴女の持つ……」
「ええ、私の細い手足では到底持ち続けられない、その様な物です」
彼女は同盟相手、私がクヴァイル家での地位、とロノス様の愛を得たいのと同様、アリアは彼の隣で愛されるという立場と場所が欲しい。
だから互いに本音で話せるように人払いをし、普段の明るい少女の仮面をはぎ取った状態での突然の告白の話題が何を示しているのか、ハッキリと口にする必要は有りませんでしたわ。
……その撓わに実ったお胸の話では有りませんわよね?
静かに呟いた時に俯いたら揺れた双丘に視線を送り、直ぐに自分の胸元に戻す。
「……気にせずにいましょう」
そう、私は貧乳ではない。着痩せするタイプであって脱げば平均は多分超している私ですが、アリア以外にも多い大きな胸の持ち主達。
私、キュッと締まった小振りなお尻の形には自信が有りましてよ?
この様に実家の経済力の差に反比例する
「闇属性、裏切りの魔女に与えていた力。実の母親以外は祖父母でさえも忌み嫌ったこの力は本当に重くのし掛かる物でした。どうやって扱って良いのかも分からず、誰も教えてはくれませんでしたから」
「……変異属性で氷を使うだけの私でさえ指導者を探すのは大変でしたし、数百年単位で使い手が現れないのなら当然でしょうね」
手元の一着を当てた姿を鏡に映しながら呟くアリアの心境を考えますが、孤独やら絶望、世界への憎悪という感情が頭に真っ先に浮かぶ。
顧客の心理を読んでこその商人ですが、深く人々の心理に刻まれた闇属性への敵意を属性が判明した日から受け続ける事を考えれば感情が抜け落ちた状態の本性にも納得が行きました。
「だから私の力を凄いって誉めて貰えた時には、それでも私自身を見て貰えた時には本当に嬉しくて……ロノスさんに心を奪われました」
「あら、そうですの。結構単純な理由でしてね」
「貴女はどうなのですか? ネーシャ」
おや、少し本当に拗ねてしまいました?
それか同盟相手であっても油断せずにいるのか探りを入れて来たのでしょうかとも思いますが……。
「私と貴女の同盟締結時の条件には含まれないので黙秘させて貰いましょう」
「ちょっとケチですね」
「節制と使うべき時の見極めは叩き込まれましたので」
「……じゃあ、良いです。命の危機を救って貰ったとか、そういうのだと勝手に思いますので」
「どうぞご自由に」
拗ねた表情での呟きに私は余裕綽々で、この程度では崩れません。
表面は……。
……ぐっ! どうして分かりましたの!?
偶然? 偶然……ですわよね?
打算込みとは見抜かれていませんし、軽口の類でしょう。
アリアが珍しい本心からした会話を受け流し、時に冷や汗を流しそうになりながらも会話は続く。
私の方も過去を少し、そして重要な部分を省きながらアリアの心理を読み解くに必要な材料を得ていますが予想以上に重いですわね。
「……所で真面目な話の途中から体に当てているその……”スリングショット”? はどうかと思いますわよ? 会話中の絵面を考えても……」
過激な物を着ると見せかけて清楚なのを見せ、試練を受ける為の道中の夜中に過激なのを見せて迫る予定でしたが……インパクトに全部持って行かれますわね。
小柄で細いくせに胸だけはご立派なアリアでは少し大きめのかパツンパツンの状態の小さいサイズを選ぶしかないというか、それを狙っての選択でしょうが、それを着た姿を想像した所、同盟を破棄して叩き潰すという選択肢さえ浮かんで……。
「私も新作の”童貞殺し”とやらを試して……」
外から僅かに聞こえる鐘の音、叩く感覚と回数から飛行するモンスターや特別危険視される種類は含まれていないようですが……。
「ロノス様からの伝言の件も有りますし、ちょっと警戒していましょうか? 余計な用心しても精神以外に損しませんしね」
そもそもモンスターの相手は兵士達のお仕事、横から勝手に手を出しては面目やら色々と……。
それにしても顔見知りが迷子だったから案内するらしいですが、ちょっと遅いですわね。
何かトラブルでも起きているのでしょうか?
「何だと貴様! 確かに奴は食費削って贅沢した上で腹を下し、結局……どうなったかは知らんのじゃ! 私様は便所に急いで向かっていたラビアが急に落ち着いたとか知らんし、変な臭いも感じておらんのじゃ!」
「う、うん。そうなんだ……。その人は漏ら……うん」
記憶を失った自分に親切にしてくれたからか、自分を創造した女神の信者だからか、本当のシスターではないとも取れる呟きにサマエルは僕の後ろから飛び出す勢いだ。
誰かの為に怒れる、これは悪い事じゃないけれど、流石に不味い。
慌てて腰に手を回して後ろから抱っこするけれど危ない所だった、こんな見た目でも素手で人を指先で殺せる存在だ。
……預けて即座にお別れしなくて良かったよ。
って、力強っ!? 動かす腕が当たるだけで凄く痛い!
端から見ればジタバタ暴れる女の子を抱き上げているだけに見えるだろうけれど、実際はかなり必死だ。
今まで色々な相手と戦ったり訓練をして来たから分かる、並の金属鎧ならベッコベコに凹ませる威力が有るだろう。
「ほらほら、落ち着いてサマエルちゃ……さん。そうだ! さっきのリンゴ味の飴が未だ有るよ。ほら、食べて食べて」
「そうだよ。さっきの言葉も教会なんて存在しないって言ったんじゃなく、在るかどうか記憶が不確かだってだけじゃないか」
「むぐっ」
僕は必死だったけれど端から見れば癇癪を起こした女の子を押さえつけているだけだし、苦笑しながら口に棒付きの飴を差し出せば急に手足の動きが止まって舐め始めた。
「……」
少しの沈黙、怒り心頭だったサマエルの顔が綻んで鼻歌まで始まっているし、本当に子供の癇癪を鎮めただけに思えて来たよ。
「この飴、最高じゃの。リンゴ味だというのが素晴らしい。リンゴこそ果物の王じゃと思うぞ」
本当に先程までの怒りは何処に消えたのか大人しくなったサマエルを椅子に降ろせば足をブラブラ動かしながら頬に手を当てている。
……そう言えば”サマエル”って聖書では知恵の実であるリンゴをアダムとイブに食べさせた蛇だっけ?
目の前では口の中で飴玉を転がし、危うく落としそうになって慌てるアホの姿。
これがアダムとイブに知恵の実を食べさせる時、何と言うのだろうかちょっと想像してみよう。
『にょほほほほ! その実は凄く甘くて美味しいのじゃ! 食べたら楽園を追い出され……ごふんごふん、私様も目障りな貴様達が追放されれば……と、兎に角食べるのじゃ!』
うん、絶対こんな感じだ。
リアスでも騙されないだろうね……多分。
そんな知恵の実ことリンゴが大好きなのか、この子は。
知恵の実……。
知…恵…?
「むふふ~」
うーん、リンゴが知恵の実とか納得行かない。
きっと間違いだな!
「それにしても……」
兵士の記憶違いなら良いけれど、本当に教会が無かった場合、あの偽乳シスターは偽シスターでもあったって事だ。
あの醜態からして三流の詐欺師か……何かを企んでの演技だって事だけれど。
僕が少しいぶかしんだ時、鐘の音が鳴り響く。
先程より多く速く、緊急事態を告げるかの様に……。
「見つけた」
次の瞬間、僕達が居る詰所が爪によって引き裂かれた。
感想、欲しいです
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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