ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
更新の度に五十一の時は48 四十八の時は五十一になるんですよ、最近ずっと
聖王国のとある小さな教会、孤児院の類は数多く有るが教会にも併設されている。
国の支援がされていて外部から通う職員も居るが、大部分は教会所属の神父やシスター、その内の一人である神父は外に仕事に出る事が多いが今日は珍しくミサの後で子供達の相手をしていた。
「ほら、本を読んでやるから静かにする事だな」
「神父様ー。今日はどんなご本を読んでくれるの~?」
子供達に囲まれて座る神父が持つのは古びた絵本であり、タイトルは異国の文字で書かれている。
表紙の絵は鳥かごに入れられた蛇とその前で跪く王、一人と一匹がいる部屋は掃除すらされていないのか蜘蛛の巣が張られるなど見窄らしいが、分厚い門を挟んだ部屋には山盛りの財宝が描かれていた。
「ククク、遠い遠い大陸に存在していた大国の話だ。『万知無能の蛇』、女神に仕える多くの知識を持っていた蛇、その物語だが……昔々」
それは聖女が世界を救った時代よりも前、モンスターの被害や国同士民族同士の争いが絶えず、弱き者が虐げられ続ける日々。
その様な暗い時代の暗い世界とは無縁の地、神々が住まう世界にとある蛇が居た。
花が咲き乱れ黄金色の日光が降り注ぐ神殿にて水辺や花畑で昼寝をし、女神とのお喋りをして過ごす日々。
ある日、聞こえてしまったのだ、助けを求める声が、怨み呪う声を。
綺麗で幸福な物しか知らない蛇にはショックであり、義憤を感じた、自分に何が出来るのだろうかと思ったのだ。
明るく幸せな世界しか知らなかったその蛇が人の住まう世界の事を知ったのは偶然、誰かが悪意を持って知らせた訳でも、知っておくべきだと親切心で教えた訳でもない、本当に蛇が一匹で居た時に人の世界に続く切れ目を覗き込んで多くの不幸を目にしてしまった。
蛇は多くを知っている、蛇を可愛がる、それこそ我が子同然に愛情を注ぐ女神が蛇を創り出した時に与え、お喋りの時にも多くの知識を与えられた蛇は思う。
あの優しい女神に多くを与えて貰ったのだから、それを使って自分も大勢に優しくしたい、と。
だから昼寝をしている女神に黙って人の世界に降り立って一人の男に出会った……出会ってしまった。
「やあ、賢い蛇さん。私と一緒に大勢を救わないかい?」
最初は少人数の集落に姿を見せ、モンスターと間違われ石を投げられ当時の粗末な武器を向けられて何度も追われ、それでも困っているからそんな事をするのだと蛇は憎まず怒らず、少しずつ少しずつ信頼を勝ち取って来た頃、その男は現れた。
「モンスターと戦うには強い武器が要るんだ。製法を教えてくれ」
確かに最初はモンスター相手、やがて人間同士の争いの際に双方に蛇から教わった製法で生み出した強い武器を流していた。
「厄介な雑草が茂っていて作物が育たないんだ。枯らす方法と作物を実らせる方法を教えてくれるかい?」
男は蛇に習った方法を使い、安く雇った労働者に畑仕事を任せ、枯らす方法を他者の作物を枯らす方法を使って作物の値段をつり上げた。
「川の氾濫を何とかしたくてね。上手くせき止める方法を教えて欲しい」
結果、敵視している者達の水源である川が枯れた。
蛇が誰も彼もを救うために広めようとした知識はそれを独占する男によって他者を虐げ自らのみ贅を貪る為に使われた。
「蛇さんは悪者に狙われているからね。窮屈だろうけれど我慢してくれ」
そう言って蛇を鳥かごに閉じ込めた男は知識を自分の物として人々を支配し、やがて王とまで呼ばれる様になった男は多くの財を積み上げ、蛇を閉じこめた鳥かごを置いた部屋は粗末で奴隷の部屋を思わせる程。
蛇は男を疑わず、自分の知識が広まって大勢が救われていると信じて幸せだった。
女神に会えない今は寂しいけれど、それでも大勢の笑顔を思い浮かべるだけで幸せだった。
現実は残酷で、真実は大勢が苦境に立たされたままだが、蛇はそれを知る事は無い。
「……あら?」
ある日、人間には長く神にとっては短い時間の昼寝から目覚めた女神は可愛い蛇が居ない事に気が付いて、慌てて行方を探す。
何故居なくなったのかを知って優しさに笑顔を浮かべ、今の状況に、蛇を利用している男の事を知ってしまい……空から降り注ぐ光が男の城を跡形もなく消し去った時、蛇は女神の腕の中に抱かれていた。
綺麗な鱗はボロボロになり、些か痩せて全体的に薄汚れていた蛇だけれど、女神の顔を見た途端に嬉しそうに何があったかを話し始めた。
女神は知っている、蛇が男に教えた知識で何が起き、何人が死んでしまったのかを。
「ええ、とても凄いと思うわ。本当に貴女は可愛くって優しい自慢の娘よ。じゃあ、後は人間に任せましょう。私達神やその眷属が関わり過ぎたら人間の世界に悪影響が出るもの。後は自分の足で歩んで貰いましょう」
誇らしげな蛇に女神は何も教えず、優しく頭を撫でて囁く。
笑顔は何時もの物、その心の中に黒い怒りを隠しながら……。
「さて、物語は此処までだ」
静まり返った部屋の中、本を閉じた神父が時計を見れば勉強の時間が迫っていた。
もう少しギリギリまで引き伸ばして慌てさせても楽しいが自分まで小言を言われるのも面倒だと思いとどまる。
……被害が及ばないなら思いとどまる事は当然無い。
「神父様、蛇さんはその後どうなったの? ちゃんと女神様と幸せに暮らせた?」
蛇のその後を本気で心配する言葉を口にしたのは気弱な少年だが、他の子供達も同じ反応だ。
その不安を取り払う為にか頭に手が置かれ、神父の穏やかな笑みが向けられる。
「ああ、勿論だとも。女神様に助けて貰ったんだ。幸福な夢を見ながら暖かいベッドで眠ったさ」
「そっかぁ。良かったぁ……」
「それはそうとして勉強の時間がせまっているぞ。急ぎなさい」
「あっ、ヤバい! じゃあ、次は楽しい話を呼んでね……キレース神父!」
勉強を教えてくれる怖~いシスターの顔を思い浮かべながら子供達が走り去った後、神父は並びが乱れた椅子を直し、先程読み聞かせた本を棚に戻し……笑った。
「ククク、ハハハ、クハハハハ! 子供とは実に単純だとは思わないかね? 主よ。確かに蛇は女神の元に戻って安らかに眠ったさ……永遠にな。無意識の内に周囲へ自分の力が影響を及ぼすのを抑え続けた結果だろう。その事で命を落とし、女神が人を滅ぼすべきという他の神に賛同する事に、そして新たに創り出された他の同朋と共に人を滅ぼす為の存在として生まれ変わるのだから皮肉な話だ。破滅への道は善意で舗装されている……だったか?」
神父は肩を震わせながら嗤い、閉じていた扉を開ければ向こうには全く別の景色が広がっている。
そのまま彼が足を踏み入れれば、その姿はハシビロコウのキグルミとなっていた。
「愚かさとは、純粋さとは時に罪となるという事だな。そうだろう? サマエルよ。クククク……実に愉快な事だ…な……」
何か巨大な物があると思って見上げればアンノウンが巨大化していて思わず絶句するキレースであった。
「ジャイアントパンダになってみ……」
「そうか、良かったな主よ」
「キレーちゃんが冷たいっ!?」
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アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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