ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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待ち受ける罰

 ネクロマンサー、死体を操る魔法の使い手として闇属性に分類されると思われて迫害の対象であったし、悍ましい術の使い手だとして闇属性への迫害に繋がったとされている。

 その実、本当は闇属性ではなく水の変異属性である事が発覚したのは最近の事、アリアが生まれる数年前であり、発覚しても彼女への敵意のは一切関わりが無かった。

 

 

「馬鹿…な……。アルフレッド…様……?」

 

 故に兵隊長がスケルトンを引き連れて襲撃して来た男の仮面の下を見て絶句したのは相手が皇帝の弟だったからではない。

 不才さ故の冷遇を目にしており、力さえあれば周囲に復讐をしかねない程の環境であった事は知っていたが、実力主義な帝国で人々の上の立つべき皇族が一山幾らの凡庸な者達にすら大きく劣る出来損ないの陰口を叩かれる彼に兵隊長も救いの手を差し伸べる事は無かった。

 

 だから襲撃者がアルフレッドだったからではなく、それが従えるスケルトンの質と量が彼が知るアルフレッドとは大違いな程に考えられないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 スケルトンの核となるスライムだが、その強さは込められた魔力で決まる。

 重厚な黄金の鎧を着て迅速に動くスケルトンの動きはとても微小な魔力しか持たないアルフレッドでは考えられない。

 

 どの様に動くかは特定の行動をインプットする等をするのだが、それは連携も何もあった物じゃない粗末な動きから見て取れ、それだけならばアルフレッドの仕業であると納得は行ったのだが……。

 

「分かっているのですか! これは反乱と取られても仕方無いですよ!」

 

「……」

 

 境遇への同情からか明らかに敵だという状況の中、それでも彼は問いかける。

 その答えの内容がどうであれ結果は決まっているだろうが、それでも一縷の望みという物も有るのだ、下手でも良いので弁明をして欲しいという願いが籠もる言葉だが、アルフレッドはその言葉に望む反応は示さない。

 

「……」

 

 戦車から落下した衝撃のダメージは凄まじいらしく左腕は本来曲がらない方向に曲がり、額を切ったのか血を流しながらヒューヒューと息を漏らしながらも高笑いをしながらボロボロの指先を城壁に向ける。

 その瞳は感情が籠もらない人形……そうでなければ死体だ。

 生気も意思も感じられない、作り物にさえ見えるそんな目で城壁を見詰め、炎の矢を連射した。

 

 指先から出るのは通常の矢を一回り大きくした程度で色は青、一秒間に十発程の速度で次々に壁の表面を破壊し、最後に命中したのは風にはためく国旗。

 飾られた全ての旗の中心を撃ち抜き、燃え上がらせる。

 

 

「何を……やっているんだ?」

 

 

 指で押しても倒れて起き上がれなくなりそうな状態での発言だという事ではない、それは明らかに皇帝への、帝国そのものへの宣戦布告、国の誇りを踏みにじる行為だ、既にほぼ存在しなかった弁明の余地すら消え去った。

 

「何をやっているのかと聞いている! 最早皇族として死ぬ事すら許されないぞ!」

 

 アルフレッドは留学早々に姿を消し、公的な発表こそ無いものの既に死んだものとして扱われていた相手だ。

 ……実際の所、アザエル学園に共に入学した者達は恥を晒さない為の見張りであり、もしもの時は事故死して貰う役割を持っていた。

 

 その様な事を兵隊長は知らない、知らされる事では無いが、それで死んだとして皇帝の一族として弔われるだろう、死んだ後の話など知った事かとでも言われればそれだけだが、それでも幼い頃から皇族の誇りを学んで来た筈だ。

 

「……もう何を言っても無駄か」

 

 だから感じたのは憤怒、仕える国や皇帝を侮辱されたという怒りだ。

 

 元々の彼は劣等感や焦燥感によって他人の目を気にし続ける気弱であまり喋らない少年であったが、今の彼は別の意味で喋らない……喋れないのだろう。

 怒りに任せて叫んでいたが、よく見ていれば何か異変が起きているのは確か、それによってアルフレッドが帝国を敵に回す行為を増援を合わせて大勢の兵士の前で何者かにやらされた事も。

 

 彼には僅かな同情以外にアルフレッドへの気持ちは存在しないが、それでも怒るのには十分だ。

 

 

「隊長! ……もう」

 

「分かっている。言うな、何も言うな、これ以上……」

 

 語るのは無駄であり、手心を加えて穏便に捕らえる事を望むには町が近過ぎる。

 例え操られていたとしても、それで許される範囲は超えている、此処で許してしまえば威信が揺らいでしまうのだ。

 部下の言葉を最後まで聞かずともそれは彼にも分かっており、彼が武器を構えるに続き、もう会話で集められる情報は無いとばかりにアルフレッドも動き始める。

 

 

 彼と同時に地平線の向こうまで列が続くスケルトンの軍団もまた……。

 

 

 

「総員……突撃せよぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 先頭に立つアルフレッドを気にせずに正面からの突撃を開始し、互いにぶつかり転倒、それに躓いて連鎖的に事故を起こし続けるが、それでも物量は凄まじい。

 自分も援護なのか魔法を放とうとするアルフレッドも背後から武器を振り回しながら迫ったスケルトンの剣の柄頭が眉間に当たり、ふらついた所を横を通り過ぎる骨の馬に接触、跳ね飛ばされた衝撃で他の馬に衝突、転んだ所で真上を他のスケルトンが通過する。

 

 

 高い魔力は手に入れ、本来の属性とは別の属性であるネクロマンサーとしての能力は手に入れた、今までの彼とは大違いであり、皇族として過ごしていた頃の彼ならばさぞや持て囃されただろうが、力の大きさに比べてコントロールはお粗末だ。

 

「……」

 

 そんな状態で半死半生の状態でもアルフレッド立ち上がり、骨が突き出た腕を上げて魔法を使おうとする。

 一度ぶつかったからか今度は彼を避けるように二手に分かれるがそれが更に連鎖的に事故を起こし、大きな隙となって行く。

 

 突進は分厚い盾を構えた部隊によって止められ、矢や石の雨が降り注ぎ、動きが止まった所で爆弾が投げられ、積もった骨の山は後続のスケルトンの動きを阻害していった。

 

 

「なっていませんね。急激にレベルアップした(肉体の質を高めた)者の様だ。魔力のコントロールも全体の指揮も全然駄目、一般指揮官としての及第点すら遙か遠い。ましてや皇族としては……」

 

 

 互いに足を引っ張り合っている事を認識すら出来ず、勝手に追い込まれて行くスケルトンの単純な強さは普段から鍛錬を続け実戦を繰り返して来た兵士達よりも少し上、されど烏合の衆ですら無い者達に祖国を守る為に一気団結している兵士達に敵う筈もなく、戦力になりそうなアルフレッドは集中的に狙われて魔法を放つ事が中々出来ない。

 

「来るぞっ!」

 

 それも狙いが雑で威力ばかりを求めたのか見てから避ける事すら可能、ダメージも大きいのか戦力にギリギリなっている状態だが、操っている筈のスケルトンが足を引っ張り過ぎていた。

 

 

 

 

 

 

「……馬っ鹿みたい」

 

 その様子を遙か上空に浮かぶ小舟の上に座って見下ろすミントは吐き捨てるように呟き、その瞳に宿るのは卑下だ。

 日差しがキツいのかカンテラを持っていない方の手に日傘を持ち、足は氷を浮かべた水に浸けている。

 それでも暑さを完全には防げないのか首にはうっすらと汗が滲んでおり、不機嫌さの何割かは気候による物ではないだろうか。

 

「正体バレてるんじゃないわよ、役立たず。他の国の奴に殺されるか、せめて死んでから正体バレたら面白そうになったのに。……あ~あ、嫌がらせの道具だったけれど要らないわね、あの男。えっと。名前何だったかしら?」

 

 ”まあ、特に興味が無いんだけれど”、そう呟いたミントはアルフレッドと兵士の戦いから視線を外し、タオルで汗を拭くと水を入れた桶から足を出して立ち上がった。

 ミントにとってアルフレッドは足元の小石ですらない、小石なら邪魔になる。

 彼女が向ける視線はゴミ捨てに放り投げた人形、それも一時は自分が遊んだ物ではなく、散歩のついでにと捨てて来るのを頼まれた特に興味を引かれない物。

 

 ボロボロになるまで雑に扱い、壊れる寸前だから最後に全力で荒く扱おうとされる人形に背を向けて立ち去ろうとした時、獣臭さが鼻に届いた。

 

 

「隙有りで御座る!」

 

 背後から迫る巨大な爪に対して船の上で飛び退き空中に放り出されたミントの足元に船は自動でやって来る中、邪魔な日傘を放り捨てながら相手を睨む。

 

「何者かしら? 名乗りなさい」

 

「拙者の名はボタモチ! ナインズ・フルゴール国第二王女女ロザリーが家臣! 貴様の様な者に名乗る名は……名乗っちゃってで御座るなぁ」

 

「うん、名乗っちゃったわねぇ……」

 

「姫に知られたらお仕置きで御座るなぁ。お昼寝の時のベッドにされた後、お手やら伏せをしないとオヤツが貰えないで御座るし、下手すればシャンプーの刑で……およよよよ」

 

「いや、可愛がられてるだけよね?」

 

 垂れた目を下に向け、大きな耳もヘロヘロになるボタモチ、ボサボサに膨らんだ緑の毛も萎れて見える中、その爪に布が引っ掛かっているのが見えた。

 その柄はミントには凄く見覚えがあって……一陣の風でスカートが翻る。

 

「ほへ?」

 

 地肌を砂混じりの熱風が撫でる感触、違和感と共に少し前の事が連想され、目の前の巨大ブサイク犬の爪先を凝視すれば引っ掛かっているのはピンクのレース付きで左右が紐になった見覚えがあり過ぎる……今朝、朝風呂の前にタンスから出したばかりの私物。

 

 

 

 

 

「わ…私のパンツゥウウウウウウウウ!?」

 

 (精神的な年齢は)お年頃なミント・カロン、再びノーパン状態である。

 見られたのが犬であって良かったと安堵する余裕は今の彼女には存在しなかった。

 

 

 

 




感想欲しいなあ

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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