ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

76 / 393
ブクマ増えてるし感想無くても無反応じゃない! そう思えばモチベーションだって


嬉しくない兄妹一緒

「助けて下さい! 散歩中に出会った生徒に犯される!」

 

「えぇ……」

 

 朝の散歩の帰り道、服が乱れて涙目の教師、マナフ・アカーと出会った僕はドン引きしていた。

 

 じゃあ、マナフ・アカーという人物について振り返ってみようと思う。

 

 職業・アザエル学園教師 一学年の主任教師

 

 容姿・十歳程度の美少年 但し妻子持ちの三十路後半

 

 性格・少々気弱だけれど温厚で優しい

 

 種族・ハーフエルフ

 

 まあ、土属性の使い手としては凄腕だし、授業も分かりやすいので生徒からの人望も既にそこそこで、ファンクラブまで存在する程だ。

 ……その会員から”一緒にされたくない”って入会を断られる程に異様なファンも女子生徒の極々一部に存在もするけれど、僕は記憶から抹消したからさっぱり分からない。だって関わりたくないし、関わらなくって構わない相手だから。

 

 現実逃避って良いよね!

 

 

「何よこの壁はー!?」

 

「先生! マナフ先生!」

 

「こっちにおいでー!」

 

 うん、だから担任を追い掛けていた同じ年頃の女の子達が見覚えがある相手だってのも気のせいだし、普段は獲物を見る目を向けたり妄想を口にする程度だったのに今日は妙に積極的だって思うのも錯覚に違いない。だって僕は何も知らないから!

 

「……ふぅ。助かりました。有り難う御座います。下手に抵抗して生徒に怪我をさせたら大変ですからね」

 

 時間を止めた空気の壁の向こう側、光をも通さず真っ黒なその向こうで騒いでる声に少し怯えた様子の先生だけれど、乱れた衣服を直して何とか一安心した様子だ。

 

「へー。彼女達も学園の生徒なんですね。二年生ですか?」

 

 相手は教師だから一応敬語をつかわないとね。

 

「え? 彼女達は君のクラスメイトですよ?」

 

「それとも三年生ですか?」

 

「……あっ」

 

 最初は不思議そうだった先生も、話を聞かずに繰り返せば察してくれたらしくて何よりだ。

 

「じゃあ、僕は此処で」

 

 先生に一礼し、遠くに離れてから魔法を解除する。

 

「それにしても上級生にあんな変人達が居るなんて世も末だなあ」

 

 現実逃避? そうだけれど何か?

 

 

 

 

 

 

「……何だこの花は?」

 

「お土産に摘んで来たんだけれど気に入らなかったかい? 綺麗なレキアの亜麻色の髪に似合うと思ったんだけどなぁ」

 

 お土産に渡したピンクの花をレキアに渡した所、開口一番に投げ掛けられたのはあからさまに不満って感じの言葉だったんだけれど、声色と表情は嬉しそうだ。

 

 ……この子、昔から僕と話す時はこんな感じの態度だったけれど、こうやって素直になれてないだけって知った後じゃ丸分かりだよね。

 

「……所で”綺麗”というのは妾にか? それとも妾の髪だけか?」

 

 今だって何を期待してるのか伝わって来たよ。

 

「両方……かな? でも僕はレキアは可愛い系だと思うよ? 大きさ関係無く君は可愛いって」

 

「ふんっ! 当然だな。貴様もそれなりの審美眼を身に付けたという訳か。誉めてやろう」

 

 こんな態度も前までなら面倒臭く感じただろうけれど、今となっては可愛いと思ってしまう。

 矢っ張り友達になりたいって思っていた相手が自分の事を実は友達だって思っているって知ったのは嬉しいからね。

 

 レキアは胸を張って尊大な態度だけれど口元は喜びを隠せていないし、飛び方だってテンションが上がったのか変則的な動きで落ち着きが無い。

 

「しかし、妙な花だな。微量ながら魔力を感じるぞ」

 

 そのまま花を抱えていたレキアだったけれども、急に動きを止め、怪訝そうな態度で呟いて、僕もビックリして立ち止まる。

 綺麗な花だから名前を知りたくて詳しそうなレキアへのお土産にしたけれど、流石は妖精のお姫様だ。僕じゃ察知出来なかったのにこんなに早く気が付くだなんて。

 

 言われてから集中してみれば本当に微弱で何か切っ掛けがなければ気が付かない程に僅かな魔力が花から漂う。

 今にも気のせいだったと思う程に微弱で、この程度なら直ぐに消耗して終わりだろうね。

 

「じゃあ異様に繁殖してたのはそのせいかな?」

 

 魔力を持つ植物は貴重だけれど存在しない訳じゃない。植物系のモンスターだって高い魔力によって自ら栄養源を確保する為に動いた草木だし、屋敷の庭にだって時間帯で植わっている場所を移動する木がある。自分から選定しやすい場所に枝を持って来るし、それらに比べたら微量で話にならない。

 

「まあ、繁殖力や成長速度の上昇が関の山だろう。作物に必要な栄養まで吸い取っては問題だが、それは畑の持ち主や王国の役人が考える事。妾や貴様には無関係だ」

 

「相変わらず王国は嫌いなみたいだね。僕も賛同はするし、フリートにそれとなく伝えたり、聖王国の方で繁殖しない様にサンプルと一緒に手紙を送っておくよ。……サンプルから花粉が広がっても困るし何か入れ物を用意すべきかな」

 

「その程度で良かろう。妾には花が原因で人がどうなろうと興味が無いが、友である貴様が困るのは見過ごせん。ああ、そうだ。友には礼をせねば」

 

 思ったよりも面倒な事態になったと朝から疲れた僕だけれど、そんな苦労なんてお構いなしって感じのレキアは飛ぶのが面倒になったのか僕の肩に乗る。これは何時もの事だし、嫌われてるって思ってた時は疑問だけれど、友達だったらじゃれついてるのと変わらないね。

 

「お礼? わっ!?」

 

 頬に手を当てられ、何をするのかと思ったら柔らかい物が押し当てられる。……多分唇だ。

 

「どうだ? 光栄であろう? 妖精の姫のキスだ。身に余る光栄にむせび泣いても構わん」

 

「あっ! 前にヘッドバッドをほっぺに食らったけれど、あの時もキスだったんだね。唐突だったから不思議だったんだ」

 

 何で急にって思ったけれど、照れ隠しだったなら納得だ。

 変に誤解はしていないって伝えないとね。

 

 やれやれ、素直じゃない子は困るよ。リアスは凄く素直で可愛い妹なのにさ。

 今のままのレキアも可愛いけれど、もう少し素直に……あれぇ?

 

 何故かレキアは呆れ顔で僕の肩から飛び出した。

 

「僕、変な事は言っていないよね? 寧ろ気遣いをしたのにどうして?」

 

「……野暮な奴め。こんな時は……うん? おい、妾はどうしてこの様な真似を……忘れろっ!」

 

「ええっ!?」

 

 パンドラもだけれど、自分からしておいて恥ずかしくなったらしいレキアが渡した花をハンマーに変え、振り回して襲い掛かって来た。

 

「理不尽! 理不尽過ぎる!」

 

 当然回避、絶対痛い。

 

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ! 黙れぇえええれえっ!」

 

 僕の抗議も虚しく、火が出そうな位に顔を真っ赤にしたレキアは体長の倍以上のハンマーを僕の頭に向かって振り下ろし、当てられまいと慌てて逃げる。

 何でどうしてこうなるの!?

 

「僕にキスして来たのはそっちじゃないかっ! そんな酷い事してたら可愛いのが台無しだよ!」

 

「キスとか誤解を招く言い方は止せ! 妾はヘッドバッドをしただけだ、ヘッドバッドを!」

 

「バレバレの嘘だからねっ!? 自分で礼って言ったじゃないか!」

 

「う、五月蠅い五月蠅い! 黙れ黙れ!」

 

 下手な防ぎ方で怪我させたら悪いし、だけど受ける気も全然無いし、このまま逃げるしか無いのかな?

 

「あーもー! 皆、何処か変だって! 寝ぼけてるんじゃないの!? 皆ー! レキアが僕のほっぺにキスをした後で照れ隠しに暴れてるから気を付けてー!」

 

 取りあえず巻き込まない為に警告を……。

 

 

「ええっ!? レキア様が若様にキスをしたっ!?」

 

「おい、レキア様が若様に舌をねじ込んだってよっ!」

 

「レキア様が若様を誘惑したらしいぞっ!」

 

「レキア様が若様の子を宿したってっ!?」

 

 

「き、貴様ぁー!!」

 

 ……あれぇ? 伝言ゲームの妙な事になって、レキアが余計に……。

 

 

 この後、レキアを落ち着かせて皆の誤解を解くのに時間を費やしたせいでゆっくりご飯が食べられなかった……。

 

 

 

「寝過ごしたっ!」

 

 因みにリアスも寝坊して朝ご飯はゆっくり食べられていない。

 兄妹お揃いだけれど、これは流石に嬉しくないなあ……。

 

 

 

 

 

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

  • ポチ
  • レキア
  • 夜鶴
  • ネーシャ
  • ハティ
  • レナ
  • パンドラ
  • サマエル
  • シロノ
  • アリア

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。