ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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ブクマ増えたし、ギリギリ未だ無反応じゃない! と言い聞かせてます


余計なお世話

「いや、朝っぱらから複数人との惚気話を聞かされる俺様の身にもなれやっ!? てか、明らかに何か起きてるだろ、その二人!」

 

 登校後、フリートに愚痴混じりにパンドラとレキアの事を相談した所、開口一番がその言葉だった。

 如何にも”呆れてます。付き合ってられるか”って感じの態度で、とても友達である僕への思い遣りが感じられないや!

 

「ちょっと酷くないかい? それに二人が自爆するのは元からだし、何か起きてるって決まった訳じゃないよ」

 

「テメェの二人への認識が酷い件に物申したいんだが? てか、マナフの野郎を襲ったって連中もそうだが……周りを見て見ろよ。明らかに妙だろ」

 

「周り……?」

 

 抗議にも呆れられて傷付く僕だけれど言われるがままに周囲に目を向ける。

 

 

 

「お、おい。ちょっと大胆過ぎる……」

 

「やだ。もっとダーリンとくっ付く」

 

 

「な、何をしているんだっ!?」

 

「アンダイン様を誘惑?」

 

「そーそー」

 

 

 カップルがイチャイチャ……いや、女子生徒の方が一方的に人目を憚らずに迫ったり、眼鏡が本体の男がファンに迫られたり、こうして見ると確かに妙だ。

 

「そうだね。僕の場合は普段の延長線上だけれど、学園内でこれはおかしい」

 

「どんだけ羨ましい生活送ってんだ、テメェはよ。でも妙だろ? 使用人の目なら居ないものとして扱う連中は居るけどよ。……同じ貴族が周囲に居るってのにこれは妙だ」

 

 フリートの言葉の通り、平民の目なんて気にしないってスタンスの貴族は多いし、これが自分の屋敷とか街中なら大胆程度で済ます僕だけれど、朝の見知らぬ女子生徒達と同じでタガが外れた感じがするな。

 

「だとしたら二人も何かの理由で……」

 

 レナ? 彼女は平常運転だから。

 

 ちょっと考え、思い当たるのは例の花。

 パンドラとのデート中、甘い香りが漂っていたし、レキアには直接根っこ付きのを手渡した。

 でも、大胆になった後で我に返った時間には差があったし、何か理由があったとすれば……何だろう?

 

 妖精とヒューマンの違いかな? じゃあ、エルフとか鬼とか獣人でも何らかの違いが?

 

 僕じゃ詳しくは分からないし、未だ花が原因とは限らないんだけどね。寧ろ目を向けさせる罠とか?

 

 それはそうとして……。

 

 

「チェルシーには効果が無かったみたいだね。敢えて触れなかったけど、今度の喧嘩の理由は何?」

 

「……何かあるって思ってたから期待して尻触ったらビンタ食らって、謝っても無視しやがる」

 

 フリートの頬には未だに残る真っ赤な手の平の跡。うん、彼女がフリートと会う時間からしてそうだって思ったけれど、君も朝っぱらから学園で何をしてるのさ……。

 

 

「おい、テメェにだけはドン引きする資格は無いぞ? 大体、あの女だって……ん? あのルメス家の嬢ちゃんはどうした?」

 

「さあ? 来ていないんだけど病気かな? 後で同じ寮の子に訊いてみるよ」

 

 何時もなら徐々に仮面じゃなく本物になって来た笑顔を向けながら駆け寄って来る彼女の姿が見えないのは少し寂しい。

 好きだって気持ちを伝えられて、返事をしないまま一緒に居るけど、何か今の関係が心地良いんだよね。

 

 それにしても心配だよ……。

 

 

「あ、あの。クヴァイル様。魔じ……ルメスさんからお手紙を預かって居まして……」

 

 ”魔女”、闇属性であるアリアさんを侮辱する呼び方をしようとした同級生に思わず不機嫌を隠さなかったけれど、机の下でフリートに蹴られて慌てて隠す。

 時既に遅しって感じですっかり怯えた様子だけれど、ちゃんと手紙は受け取った。

 

「やあ、有り難う。アリアさん、お休みなのかい?」

 

「は、はい! 昨日の夜に急に実家に戻る必要が出来たらしくって。それで、あの、明日の舞踏会のパートナーですけれど、彼女が間に合わなかったら……」

 

 ああ、成る程ね。

 

 闇属性って事で忌み嫌われて関わりになりたくないって人が多いアリアさんの手紙を何でわざわざ受け取ってくれたのかと思ったけれど、それを口実に僕に近付こうって魂胆か。

 

 ついでに言えば彼女って身体を使って僕に取り入ってるって噂が立ってるし、だから慌てて呼び方を変えたな、この子。

 

「……まあ、考えておくよ。ちょっと手紙に集中したいから向こうに行ってくれるかな?」

 

「はい!」

 

 随分と上機嫌な様子で離れていく彼女だけれど、手応えがあったと思ったんだろうね。

 

 封筒を開いて手紙に目を向ければ、手紙で済ませる謝罪から始まった。それから急に実家に向かった理由へと続き、明日の晩の舞踏会までには帰れる様に頑張るそうだ。

 

「あの女、どうして来てないんだって?」

 

「どうも決闘については湾曲した話が伝わってるらしくって、戦う力があるのなら領地の山で暴れている厄介なモンスターを退治しろって言われたんだってさ。従わなかったら学園を辞めさせて連れ戻すって脅し付きで。……舞踏会のパートナーが僕だって実家に知らせておけば良かったのに」

 

「テメェとの関係にあれこれ口出しされるのが嫌だったんだろ。だいぶ執着されてるしな。……んで、流石に聖王国の名門であるクヴァイル家が王国の末端貴族のルメス家の問題事に手出しはしたら駄目だろ。まあ、少しは強くなったし、大丈夫じゃねぇの? 信じて待ってやれよ」

 

「……そうするよ。まあ、ルメス家の問題には手出ししないよ、ルメス家の問題にはさ」

 

 手紙に書かれた山の名前に視線を向けながらフリートの忠告に賛同する

 流石に王妃の甥っ子だろうが他国の領地の問題に首を突っ込むのは賢い選択じゃないし、この問題はアリアさんを信じるしかないんだ。

 

 実の祖父母にも嫌われているみたいだし、クヴァイル家の領地が栄えた影響で逆に貧しくなったルメス家じゃどれだけの支援が可能なのかってはなしだけどさ。

 

「……んで、さっきの嬢ちゃんと踊るのか?」

 

「さあ? 先約が有るから先延ばしにしたけれど、彼女とは確約してないし、僕じゃなくても余った人は先生が相手してくれるんだ。急用が入ればそっちを優先するさ」

 

「ま、当然だわな。それより今日は俺に付き合え。チェルシーが不機嫌で相手してくれねぇし、露出の多い服の綺麗な女が給仕してくれる店があるんだよ」

 

「いや、其処は素直に謝って許して貰ったら? ……悪いけれど僕も仕事だ。国境沿いの山にアラクネの群れが住み着いたらしくってさ。まあ、運命だとでも思って諦めてよ」

 

「大袈裟な奴。……まあ、余計に怒らせて週末のデートが無くなるのも嫌だし、ちょいと謝って来る。つーか、俺様はテメェが童貞どころかキスすらしてないのが驚きだぜ」

 

「行ってらっしゃーい。……タイミングとか有るんだよ、タイミングとかさ」

 

「そんな受け身だから未だなんだよ。ガッと迫ってバッと行けや、さっさとよ。待たせるのは悪いだろ」

 

「うっさい。君こそさっさと行け。そして余計に怒らせて反対側にも食らって来い」

 

 もう直ぐ授業開始の鐘が鳴るけれど、憎まれ口を叩きながらもフリートとチェルシーなら大丈夫だろうと手を振って見送る。

 実はちょっとだけ両側にビンタされるのを期待してたんだけどね。

 

 それにしてもチェルシーに影響が出なかったのは何故だろう? 

 影響の原因が発生した場所なのか、それとも……。

 

 

 

「属性……かな?」

 

 少し思い当たる所があって呟く。それならパンドラと二人の差だって説明が出来るけれど‥…仕事から帰ったら文献を漁ろうか。

 

「このままじゃ身も心も持ちそうにないからね……」

 

 今はあの程度で済んでいるけれど、進行すれば耐えられるか微妙だ。何かの外的要因に流されて……なんて嫌だしさ。

 

 その辺はちゃんと向き合いたいよ。

 

 

「そ、それでは授業を始めます」

 

 (残念な事に)フリートが上機嫌で戻って来た直ぐ後、今朝の一件が尾を引いているのか少し怯えた様子のマナフ先生が姿を見せ、何時も通りの時間が過ぎていった。

 

 

 

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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