「義鷹は居るか!!!」
「何で御座るか親父殿……」
北海[キタノウミ]家は今日も(主に親が)騒がしい……
「今日は姫娘の誕生15回目の誕生日だ!!!」
「はい、拙者の誕生日でもあります……」
2/14日……その日は北海家の子供たち、北海義鷹[ノリタカ]と北海姫娘[ヒメコ]の誕生日……
二人の兄妹は双子で、物静かだが妹想いの良き兄と、お淑やかで可愛らしい妹……
「だが、わかっているな?」
「はい、私は姫娘の誕生日を全力で祝う所存で……」
代々武人の家系である北海家……兄は何者よりも、一番その血を受け継いでいた。
「そうか、では頼んだぞ!!!」
あるときは闇夜に紛れる忍、またあるときは浪人……そしてあるときは主君のために戦いそして敗れた落武者……
全ての血を濃く受け継ぐ兄は、武人としては何者よりも超越していた!!!!
まあ、とりあえず凄い兄なのだ。
本当に自慢のお兄様……「何をしているんだ、姫娘……」……!?
「な、ななな……何もしていませんよ!?」
…………そうよ、私の名前は北海姫娘……何よ、自分の事ちょっと自賛したって良いじゃない……
私がナレーターしちゃ悪いの!?
「そうか……」
「そ、そう!」
「…………私は用事がある、一人で遊んでなさい……」
「はい……」
お兄様の前でいい子ぶってる?
そ、そんなことない……そんなことないわよ?
「さて、あの子一人寂しい思いをさせてしまっている……準備を手早く済ませなければ……」
ここで受け継いだ忍者の血が役に立つ……
例えばビルや家々の屋上や屋根を走れば面倒な信号待ちを回避できる。
私の家から目的の店まで約23km……5分もあれば楽勝だ。
「英殿はいるか……」
目的の店に到着し今時の店には珍しい手動扉を開けると、カランカランと、ベルが鳴る……
「はいはい、ノリ君だね……親父なら生憎出掛けているが、約束の品なら預かっているよ」
そう言って出てきたのはこの店の老店主、英[フサ]殿の親族と思える青年が出てきた。
「そうか、では品を戴こう……」
「はい、どうぞ……」
ささっと品を頂戴し、家路を急ぐ。
頂戴した品は勿論妹、姫娘への誕生日プレゼント。
最近欲しいと言っていた品で、無理言って収集屋の英殿に手に入れてもらった。
喜ぶアイツの顔が目に浮かぶ……
「可愛い妹の為ならえんやこ~ら……っと……」
そうこうしている間に自宅の瓦屋根が見えてくる……
これ以上あの子に一人ぼっちで寂しい思いをさせるわけにはいかない……
過保護と言われようが、たった一人の親族だ……
「親父殿、戻って参りました……」
『うむ、ではこれからは兄妹二人で強く生きるのだ!!!』
親父は私に5年分の指導録音を遺した……私が話しかけ親父が答えているようにも見えるが、親父は全て計算して録音したのだ。別に返答している訳じゃない。
そして全ての録音テープは今日、この時間にて再生し終えた。
隠れた天才だった親父が大丈夫だと判断した、つまりそれは私が妹を守っていけるということを示している。
私が天才的な武人なら、親父は天才的な策士。
そう私達を知る者は言う。
さ、妹のもとへと急ごう。
姫娘はきっと、居間にいる筈だ……テレビでも見ているだろう。そう言えば妹の好きな番組をやっている時間だ。
「姫娘……帰ってきたよ……」
「あ、お兄様、お帰りなさい……」
案の定、姫娘はテレビのある居間に居た。
しかし、見ている番組は妹の好きな番組ではなかった。
「聞いてくださいお兄様、臨時にゅーすだとかで私の好きな番組が中断されてしまったのです……」
随分ションボリとした顔でそう言う姫娘と、その元凶であるテレビを見る。
何々……ISに乗れる男性が発見されたとな……それも日本……へぇ……
「残念だったな、姫娘……それはさておき今日は何の日だい?」
「今日?えぇとですねぇ……」
一本ピンっと跳ねた髪の毛をユラユラと動かし(どうやっているのだろう……)、姫娘は今日この日について考察し始めた。
さりげなく、カレンダーを見せる。
カレンダーにはデカデカと、姫娘とお兄様の誕生日と姫娘の字で書かれていた。
「あ、私とお兄様の誕生日……」
「正解……さ、お誕生日オメデトウ、姫娘……産まれてきてくれてありがとう……」
プレゼントを手渡す
「ありがとうございます、お兄様……えぇと、私も用意したので、待っててください……」
トテトテと可愛らしい音をたてて妹は自分の部屋へと向かった。
「…………しかし、何か嫌な予感がする……コレ絡みでなければ良いのだがな……」
妹からのプレゼントは妹がデザインしたらしい懐中時計だった。
私からの姫娘へのプレゼントの内容?
ああ、姫娘は私の使っている太刀と同じ刀鍛冶の鍛えた小太刀が欲しいと言っていたからな。
英殿に無理を言って取り寄せてもらった。
勿論、喜んでもらえたよ。
「…………検査ですか?」
「そうだ、お前も来い」
ある朝、こんな山奥の平屋に珍しく客が訪れてきた。
とてつもなく失礼な客人だったが。
何でも、ISを動かせる男性が他にもいるかもしれないから世界中で検査をしているそうで……正直税金の無駄遣いだな。
しかし行かなければ何をされるか分かったものじゃないので仕方なく山を降り、検査場である市の学校の体育館へと向かった。
とりあえず姫娘には遅くなるようだったら先に夕御飯を食べておくようにと伝えておいた。
一人寂しい思いをさせてしまうのは心苦しいが、これが終わったら遊園地にでも連れて行ってやろう。
到着した検査場には、不骨なISが様々な機械に繋がれている状態で置かれていた。
知っている、こいつは確か……そう、打鉄と言うやつだ。
覚えているぞ、一度テレビでその勇姿を見た。
これぞ武士の鏡であると言える立ち振る舞い、輝ける太刀と鈍い鉛色の鎧……
結局負けていたが、それは多分乗っていた人間が太刀と言う得物について何も分かっていないからだ。
「それでは機体に触れてください」
言われた通りに打鉄と言う名の武士に触れる。
分かる……コイツも私と同じ武人だ。
コイツの経験が手に取るように見えてくる……中々良い太刀筋じゃないか……分かるぞ、お前は度々操縦士の操縦に補正を掛けているのか。
ほう、太刀の軌道に熱を入れているのか……?
しかし身のこなしに注意することも忘れてはいけない。
…………中々話がわかると見える。
できるなら、お前と共に世界を目指してみたいモノだ……おっと、妹が待っている。私を認めてしまうのはやめてくれないか。
それは無理?何、どう言う意味だ?
「ぐっ……引き寄せられっ……!?」
経験だけでなく、思想や情報が流れ込んでくる……成程、根っからの武人のようだ。
面白い……面白い!!!
わかった、私もお前を受け入れよう!!!
私は恐らく先日の男のような扱いを受けIS学園なる場所に入れられてしまうだろうが、ヤケクソだ、妹も入れなければ切腹すると世界を脅せば良い!!!
妹への兄妹愛が歪んでいると思うか?
これが私だ!!!!
何?構わない?知っていた?
最初っからお見通しと言う訳か……面白い……
「お前も私に近しい存在の様だな……」
武士の様な力強さを見せたと思いきや浪人の様に柔軟さを見せ、忍の様に相手を見透かす……
「二人……目!?」
「連絡を急げ!!!」
「お前も武人だな……」
こうして私と専用機となる打鉄はなんとも奇妙なファーストコンタクトを遂げてしまった。
無論、私はIS学園に叩き込まれてしまったが、妹も共に学園に入学と言う形で入った。