どうも残念な話、検査で使用されたIS以外のコアとは話が合わないらしい。
起動はできないし、武士道精神の欠片も感じられない。
なので例の打鉄を専用機として頂戴した。
(これから武人二人、頑張ろうではないか。無論姫娘を守る為にな……)
打鉄には姫娘の為に花道を掲げると言う事について既に合意を得ている。
元より私と共に武人道を歩む所存だったらしいが。
こいつの待機状態……だったか?待機状態は鎧兜だった。
コア曰く武士ならこれしかない……だそうだ。
その気になれば変えることもできるらしいが、これが一番しっくりくるらしい。
流石に普段から鎧兜着けている訳にもいかないので、無理言って普段は鎧着兜の一部、脛当てのみにしてもらった。
(己の士気を高める為に戦の前には完全な鎧兜だがね……)
教師達は有り得ないだの何だの言ってきたが、そんなの知ったことではない。
教師と試合をする試験なんてのもあったが、あれは遊びか何かだったのか……
ひと睨みしただけで動揺して弾を全て外した挙げ句、あっさりと撃沈した。
妹はどうだったのだろうか……
はぁ、今日もお兄様は素敵ね……
静かに物思いに更けるお兄様の後ろ姿……何を考えてるのかしら?
私の事だったら……キャー!!!
あいえす?とお兄様はお話しができるらしいけど……あんまりあいえすにはお兄様を取らないで欲しいな……
うちがねさん……だっけ?
お兄様と秘密の会話だなんて……良いなぁ……
私はお兄様とないしょのお話しなんてしたことないのに……
それにしても……試験試合のお兄様、凛々しくて格好良かったな……
先生の撃ち出す弾丸を動かずに全て避けて、ぐわっと近づいて、武器を使わずにどーん!!!って先生を吹き飛ばしちゃって……
私?私は……負けちゃった。
あと一歩の所でね……本当よ?
やっぱり最初に舞を舞いながら攻撃を避けてたのが悪かったのかな……
何よ、やってみたかったのよ……空中で踊るってやつ。
攻撃全部避けたけど、無駄に動いたからえねるぎーが消費されちゃったのかな?
お兄様と一緒に居たいから入学したけど……難しいな……
自己紹介……何処から何処までがまともな自己紹介と定義できるのか私は分からない。
流石に名前言ってはい、終わり。では非常識すぎる。
かの有名な織田信長も非常識、阿呆、うつけと言われたが、それは全て結果を結ぶ為の布石であり、私がここで非常識的な行動をしたところで、特に何か益があるか?
そう考えると、ここでは割とまともに自己紹介をするべきだろう。
さて、ではここで話を戻しておこう。
何処から何処までが自己紹介の域なのか……
自分の家系やらを話すのはやり過ぎ、これはまぁ、そうだろう。
…………打鉄にでも聞いてみるか。
世間的な常識をわきまえているだろうからな。
(自己紹介、どうすれば良いだろうか)
“あ”行の最後辺りで流れが止まってしまっているので、まだまだ余裕はあるだろう。
(名前と適当な意気込みだけで別に良いって、それで大丈夫なのか?)
おっと……“か”行に移った……
(疑うのか?ってそうじゃない、お前は私の相棒だ、疑う訳ないだろ?)
私はキタノウミだからな……“き”の中盤だろう。
(疑っていない証拠にそれで自己紹介しよう、順番が来た)
先ずは他の生徒と同様席を立ち、当たり障りなく自分の名前を名乗る。
まぁ……私の名前は、名乗らなくても私を知っている人間は多いだろうが。
「北海 義鷹、日本人」
さて、ここからが正念場と言った所か……
慣れない注目の海の中、覚悟を決める
「ほっといてくれ……静かに生きていたいんだ……」
私としてはこれが一番。静かにしていてほしい。
変なのに絡まれたら妹を守ってやれなくなるからな。
「北海 姫娘です、お兄様共々よろしくお願いしますね……オニィサマハワタシマセンョ……」
さすが姫娘、私と違って迷いのない自己紹介だ。
最後の方のはどういう意味だろうか?
例え友人ができたとしてもお前を蔑ろにしたりはしないぞ。
逆に友人にお前を守る事を協力させるかもしれんしな。
その後滞りなく話は進み、授業は始まった。
自己紹介は問題なく終わったと、つまりそう言うことだ。
(相棒の言う通りにして良かったよ……ありがとさん……流石相棒だ)
いや、別に実行する直前まで疑っていた訳じゃない
(だから太刀のビジョンを見せるのはやめてくれ……)
流石に末恐ろしいぞ……
主人公は戦闘直前は必ず鎧兜とにかく鎧兜……
日常では脛当て、とにかく脛当て……
主人公と専用機打鉄が本当に会話できているのか、念話できてるのかはご想像にお任せします。