旅人「刻晴さんがなんでも一つ言うことを聞いてくれる!?」 作:瑠川Abel
――――璃月:玉衝執務室。
旅人「こっくせーさーんっ! デートしましょうデート!」ドアバターン
刻晴「ごめんね蛍。今日の仕事がまだ終わってないの」カキカキカキカキ
旅人「まだ終わってなかったんですか!?」
刻晴「ええ。少しばかし手を焼く案件が多くてね。千岩軍も人手不足だし、こればっかりは時間をかけるしかないわ」
旅人「むー……」ムスー
刻晴「そんな不満げな顔をしないで。しっかりと埋め合わせはするから」カキカキカキカキ
旅人「むー……」
甘雨「お話は聞かせて貰いました」シュバ
旅人「!?」
刻晴「どこから入ってきたのよ!?」
甘雨「仙人ですので秘密です」ドヤ
刻晴(ハーフじゃないの)
刻晴「……それで、何か用かしら甘雨。追加の仕事かしら」
甘雨「いえ、刻晴様が抱えている案件を代わりに処理しに来ました」
刻晴「え? でもあなたも仕事がたんまりと溜まっているはずよね?」
甘雨「最近は百識をはじめ皆が頑張ってくれてますので、比較的手が空くようになりました。ですので――」
甘雨「――ここは私に任せて先に行ってください」キリッ
+
旅人「あれ言いたかっただけですよねー」アシブラブラ
旅人「はぁ。『一時間ほど待って』って言われたので待ってますけど、刻晴さんまだかなー」アシブラブラ
旅人「まあ引き継ぎとかもあるでしょうし、仕方ないことですよねー」
刻晴「蛍、お待たせ」
旅人「あ、刻晴さ――――!?」
刻晴「どうしたのよ。似合ってないかしら?」
玉衝としての衣装ではなく着物を着込んだ刻晴が立っていた。下ろされた髪が普段とは真逆の落ち着いた印象を与えてくる。
普段であれば凜々しく見える刻晴も、今日ばかりは違った魅力に溢れている。着物の紫色は彼女のイメージカラーであり、それがまた旅人の心臓を脈打たせる。
旅人「」パクパクパク
刻晴「ちょっと、何かいいなさいよ。君とデートなんだから、私だってそれなりに気合いをいれるわよ」カオマッカ
旅人「いえ、あの、その、その……み、魅力的すぎて直視できないんです!」
刻晴「……~~~っ。何を言ってるのよっ。さ、行きましょ!」手ギュ
旅人「あ……は、はいっ!」
刻晴「璃月港を案内してあげるわ。璃月の夜市には手芸品や小物を売る屋台があってね。オススメのお店がたくさんあるの。歩くだけでも面白いんだから」
旅人「それに刻晴さんも一緒だから百倍楽しくなりますね!」
刻晴「百倍なんかじゃ済まさないわよ。君と二人きりで楽しみたいのだから」
旅人「は、はい……~~~っ」マッカー
刻晴「あら、顔が真っ赤よ?」
旅人「刻晴さんだって真っ赤だったじゃないですかー!」
刻晴「うっ……ほら、行くわよ」グイ
旅人「誤魔化しましたね!」エヘヘ
刻晴「……何で笑顔なのよ」
旅人「刻晴さんが、私にメロメロって考えるとすっっっっごく嬉しいからです!」
刻晴「……~~~っ。ああもう、蛍はずるいわね」
旅人「えへへーっ」
<万民堂>
刻晴「注文は、っと。そうね、蛍が選んで」
旅人「いいんですか? 刻晴さんが好きな食べ物は――」
刻晴「よっぽど変な味付けを変えた物以外なら大丈夫よ」
旅人「好きな食べ物とかないんですか?」
刻晴「……あまり執着しない方なんだけど、海老のポテト包み揚げは格別ね」
旅人「そうなんですか? まだ食べたことないんですよねー」
刻晴「ならぜっっったい食べるべきよ! 一つ食べただけで、口の中が幸せで満たされるの。溜まりに溜まったストレスが一気に吹っ飛ぶわ!」
旅人「は、はい。じゃあエビのポテト包み揚げを二人前と、あれとそれと――」
刻晴「」ソワソワ
旅人「……刻晴さん、おもいっきし執着してるじゃないですか」
刻晴「……してないわよ?」
旅人「……へぇ」ジトー
店員「お待たせしましたー」
刻晴「っ!」ソワソワ
旅人「あ、こっちに二人前置いてくださーい」
刻晴「ちょっと蛍!?」
旅人「えへへ。刻晴さん、食べたいですか?」
刻晴「意地悪をしないで。その為に二人前頼んだんでしょ?」
旅人「そうですけど。……はい、あーんっ」
刻晴「なぁ!?」
旅人「あ~ん」ニヤニヤ
刻晴「蛍……!」
旅人「冷めちゃいますよ~?」イヒヒ
刻晴「……~~。あ、あーん……っ。あふっ、あふっ」
旅人「あ、熱かったですよね! すいませんお水です――」
刻晴「ん――っ」グイ
旅人「ん――!?」クチウツシー
刻晴「ん、ちゅ……ふぅ。どう、美味しいでしょ?」
旅人「あ、わわわわわわ」マッカマッカマッカッカー
刻晴「お返し、よ」ニッコリ
旅人「べ、別の意味で口の中が幸せすぎるんですけど?!?!?!?!?」
前後編です。後編はそのうち~。