アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦III『ライチ』 ライチCIC
潜水艦は少しずつではあるが本艦に接近しつつある。こちらは速力を下げて潜水艦からの魚雷攻撃に備えていた
あまり速力を出しているとソナーでの探知の邪魔になる音が混じってしまうからだ
できるだけクリアな音を聞き取るには多少の速力ダウンは仕方がないことである
こちらへの攻撃があればすぐに対潜攻撃をする準備はできている。
「なぜこちらばかり狙ってくるのだろうな」
こちらには敵対するつもりはないのにあちらから好き勝手攻撃を仕掛けてくる
専守防衛を俺は基本としている。攻撃されない限りは敵対行動は行わない
それをすでに海上安全整備局には伝わっているはずだ
にもかかわらず攻撃を仕掛けてくるということは何か別の意図があるのかもしれない
それが最大の疑問点である
「艦長。本艦はいつでも攻撃準備はできています」
「そのままの状態を維持して待機だ。攻撃を仕掛けてきたら即座に反撃を開始する」
その時、あるところから通信が入ってきた
通信担当の精霊さんはすぐに報告してくれた
「横須賀海洋女子学校から無線連絡です」
「回線をこちらに回してくれ」
俺は通信用ヘッドセットを着用して通信を開始した
「こちらライチです。何かありましたか?」
『海上安全整備局が合同演習をしたいとの希望を出してきました』
判断はあなた方に委ねますのでできれば早めの回答をお願いしますとのことだ
怪しい事この上ない。
「わかりました。こちらで話し合いをしてから回答します」
そう言うと通信は終了した。その時ソナー担当の精霊さんから別の報告が入ってきた
「艦長、潜水艦が急速潜航している模様です。深度50を突破。さらに潜航中」
「どういうことだ。急速潜航して何の意味がある?まさか魚雷攻撃か?」
今さら急速潜航してもメリットなど何もない。
それにスクリュー音は常に観測されているので問題はない
逃すことはない
「いえ、ソナーに潜水艦の推進音以外は確認されません。魚雷攻撃の可能性は考えられません」
急速潜航をしたということはもしかしたら低速魚雷の発射を仕掛けてきたのかもしれないが
その線も少ないということになるとますます意味が分からない行動をしていることになる
「だがもしもに備えてこちらからの照準は外すな」
「了解」
潜水艦の行動はわからない。海の中でどんな行動をするのかはソナーでしかわからないのだから特にだ
ソナーを担当してくれている精霊さんたちの活躍に期待するしかない
彼女たちの耳がこの艦の安全を守ることになるのだから
「ソナーに何か感があればすぐに分析して」
必要であれば速力をさらに落としても良いからなと伝えた
今は速力は10ノットで航行している
この艦の最大速力は35ノットとされている
最大速力をすると当然ではあるが燃料も爆食いするので簡単には出さない
「今は冷静な判断が必要だな」