戦記系NTR物エロゲの親友に転生した俺。   作:胡椒こしょこしょ

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戦姫†回想

日ノ本。

『サムライ』、『シノビ』、『陰陽師』と3つの勢力があり、勢力ごとに違う性質を持っていて強力なスキル持ちがいる国家。

そこと同盟を結ぶにはどうするべきか。

それが今自分にとっての最大の課題だった。

 

日ノ本はこのエルアーダから海を隔てた大地に存在する国家だ。

原作であれば特定のフラグを立てることで同盟を結ぶことが出来るのだが、それには国交を結ぶ必要がある。

しかし、今回日ノ本と関係を結びたいと言い出すのは俺だ。

これまでもなんとなく風の噂や伝聞と言った形でエルダードに魅力を伝えてきたが、彼の反応は決まった物だった。

 

『村雨の出身ってそんな国なのか.....、ベゼルは良く知っているな。もしかして村雨から聞いたのか?仲が良さそうで安心したよ。』

 

違う!

そういう言葉が欲しいんじゃない!

村雨が俺に話すわけないだろいい加減にしろっ!

国交を結ぶには使節を出す必要がある。

しかしそれには大前提として王である彼がその国に興味を持たないと始まらない。

日ノ本はその点、エルダードが村雨の生い立ちやこの国に流された経緯を聞くだけでお手軽にフラグを立てることが本来出来るのだ。

 

しかし何がどうなっているのか俺が二人きりになるように取り計らっても一向に話しやしない。

イカれてんのかさっさと喋れや。

日ノ本との国交を築けずに早くも2か月が立っていた。

 

しかしただ無為に過ごしていたわけではない。

取り敢えず色んな方面からフラグを立てることが出来ないか模索していた。

 

例えば日ノ本の宗教の一つであるシントゥーに興味があると公言して、貿易商からシントゥーの教えなどが書かれた関連書物を購入して集めてみたり、シントゥーの良さをエルダードに伝えてみたりした。

ただのアピール、盤外戦術である。

しかし、もしかしたら友人である俺が日ノ本に興味があると言ったらもしかしたら使節を送ってくれるかもしれないと一縷の望みを抱いたのだ。

しかし現実は非情である。

 

エルダードは俺が宗教に嵌っているのを珍しがり、バーダー教の敬虔な信徒であるエルは押し付けはしないものの、急に海を隔てた土地の宗教に嵌る俺を見て心配していた。

かえって良い効果が見込めそうにないのだ。

 

「...浮かない顔しているな。軍師殿。」

 

何故か俺の執務室で報告を済ませた後も居座る村雨。

なんでテメェここに居るんだ、さっさと戻れや。

さっきから頭悩ましてんのはお前のせいなんだよ!!!

そもそも村雨とエルダードがさっさと過去回想イベントが起きる程親しくなればいい話だろ。

なんで二人きりの時間が増えるように裏から手を回しているのに一向にそのイベントが始まらないのかねぇ.....

 

ゆらりと顔を上げて彼女を見る。

すると、彼女がどこかこちらを窺うような仕草をする。

なんだコイツ。

用があるならさっさと喋ってくれよな~頼むよ~。

 

そう思うが、彼女は一向に話を切り出さない。

辛抱しきれなくなった俺は言葉を発する。

 

「....一体何の用ですか?私の目からはどうにも貴方が私に話があるからここに居るように見受けられるのですが。」

 

そう言うと、彼女は意を決したような顔をして口を開いた。

 

「シントゥーの関連書物を集めていると聞いたのだが、軍師殿は.....我が故郷である日ノ本に興味があるのか?」

 

彼女の口からそんな言葉が出るとは思わず、驚く。

しかし考えてみれば関連書物を集める為に口利きしてもらったし、王相手に良さを力説した。

傍から見ても、異国の宗教に傾倒しているように見えるだろう。

そして彼女は猪娘だが仮にも将だ。

そこそこエルダードと近いとも言えるし、その話が入ってきてもおかしくない。

 

とにかく返事しなくては。

俺は頷く。

 

「えぇ。日ノ本には興味があります。それにシントゥーの八百万の神といった思想も興味深い。」

 

俺がそう言うと、彼女はそうかと呟いた直後に更に言葉を続けた。

その表情は暗く見受けられた。

こちらからしてみればそりゃそうかと思うのだが。

 

「....それならば、少し私の過去の話でも聞いてもらいたい。これでも、私は日ノ本の人間だ。軍師殿が知らないことでも教えられるはずだ。」

 

.....ん?

あれ、なんかこの語り口見たことあるぞ。

具体的に言えばゲームプレイしててだが。

 

「....構いませんが。」

 

そう言うと、彼女は口を開いた。

 

「日ノ本は『サムライ』、『シノビ』、『陰陽師』と3つの勢力圏に分かれていることは知っているか?」

 

彼女はそんなことを聞いてくる。

そりゃ俺自身は知っている....が、書物としては現状勢力圏が分かれていることくらいしか載っていなかった。

だからこそ、ここで正しい受け答えは.....

 

「勢力圏が分かれているのは知っていましたが、そのような名前なのですか。」

 

俺が言うと、彼女は頷く。

まっ、知っているんだけどね。

しかしあまり下手なことして不審がられるのもあれだ。

現状自分が知り得る情報の範囲で返答しないとな。

 

「それで私はその中でもサムライの勢力圏で、とある大名の娘、身分的には姫だった。まぁ昔の話だ。今では私は一人の戦士、私自身も望んだことだし、それでいい。...大名というのは鉄血国でいう諸侯のようなものだ。」

 

「なるほど....では地域ごとに小国が集まっている形なのですね。」

 

俺はすっとぼける。

正直コイツの話なんか聞かなくても俺は日ノ本について知っているしね。

てか待って、コイツもしかして過去を話そうとしてないか?

過去を話すとかもしかして今起きているのは.....

 

「ああ。それで、私の家では兄二人と私一人が生まれたんだ。その中で私が一番武の才能があった。だが....シントゥーの思想では女性は穢れの対象として見られていて....」

 

ずっと俺に自分の過去を話し始める。

やっぱこれ見覚えあると思ったけど過去回想イベントじゃん。

これゲームではコイツのロリ時代の立ち絵とか過去の立ち絵とか出て来たけどリアルだとひたすら面倒くさい以外ねぇな。

ずっと喋っているもん。

聞いてる方はつまんねぇもん。

ましてや俺はゲームでコイツの過去を知っているから殊更退屈だ。

確かコイツはシントゥーの思想とサムライの在り方から武芸に秀でていたのに当主にはなれなかったんだよね。

そんで敵の大名との戦闘で負けかけた時に城に立てこもって、無双したけど上の兄に裏切られて捕まってそのまま首を斬られるの待っていたら下の兄に手引きしてもらって流刑にしてもらったらしい?

だからコイツは実は日ノ本は嫌いだけど、下の兄に会いに行きたいらしく、ここで将をやる理由も強い国の将になって下の兄を迎えに行くとかそういうんじゃなかっただろうか?

 

てかなんで俺相手にイベント起きてるの?

俺が必死こいてエルダードと二人きりにした時には話さない癖になんで俺には話すのん?

こっちの都合も考えてよ....。

 

目の前の女の話に適当に相槌を打ちつつ、話を聞き流していると彼女は俺の目を真っ直ぐ見つめて言ってくる。

 

「日ノ本のサムライではこのような身内同士での潰し合いなど常にあること。兵の中では私を身体で成り上がった蛮族の女と陰口を叩く者も居るがむべなるかな。私には血のつながった家族ですら敵に引き渡すような卑劣漢と同じ血が流れている。...今話した通り、日ノ本は決して良い国ではない。もし興味を持っているのなら、それだけは分かってほしかった。」

 

真摯な目線で俺に対して言ってくる彼女。

どうやら彼女からしてみれば日ノ本に対して興味を持っている俺に、自国の闇の部分を伝えたつもりらしい。

まぁ俺は知っているんだけど。

てかこれマジで回想イベントじゃん。

なんで?

確かこの後に選択肢が出てきて、なんか君は兄とは違って高潔な戦士だ的なこと言えばなんか好感度上がったんだよなぁ....。

ならば、俺が取るべき行動は一つ。

 

「なるほど....とても勉強になりました。一つの国を知るには悪い部分にも目を向けるべき、至極真っ当な主張です。ありがとうございます。」

 

普通にただお礼を言う。

敢えて好感度が上がる言葉は言わない。

彼女には原作主人公とくっついて強くなってもらわないと困る。

 

「あぁ、私の過去がこんな形で役に立ったなら私も嬉しい。」

 

彼女もどこか無理しているような笑顔を浮かべて、部屋を出ていく。

彼女としても思い出したくない過去を語ったからだろう。

このイベント、好感度が上がる選択肢を選ぶと「私は....もしかしたら誰かに、あの男とは違うと否定してほしかったのかもしれない」などと言い出すので、彼女としても否定してほしかったのだろう。

まぁそういうのは主人公であるエルダードとやってもろて.....。

 

....いや、てか待てよ。

もしかしたら俺は一応彼女から話を聞いている。

その話をエルダードに話せば一応フラグが立つのではないか?

ここまで何も起きないならやってみる価値はあるかもしれない!

そう考えると、書類仕事にさっさと取り掛かる。

これが終わったらエルダードに会いに行こう。

はやく日ノ本と同盟を結んで戦力を増強しなければ.....。

 

 

 

 

 

エルダーラの宮殿。

一人の妙齢の女性が難しい顔をして、部下の報告を聞いている。

 

「....それでアベヌスはシントゥーに傾倒していると?」

 

「えぇ。そしてしきりに御子息に日ノ本の良さについて吹聴している様子です。」

 

その言葉を聞き、眉根を顰めた。

 

「....確か行政などその他においてもあの子はアベヌスに聞いていると聞きましたが。」

 

女性が言うと、部下は頷く。

 

「はい。ご子息は戦争だけでなく、その他国務においても軍師の判断を仰いでいるのが現状です。」

 

部下のその言葉を聞くと、女性は表情を険しくした。

 

「国務にまで口を出している軍師が他国の宗教を啓蒙しようとしている.....きな臭いわね。」

 

「と、言いますと?」

 

部下が疑問符を浮かべる。

すると彼女は口を開く。

 

「史料にも一度似たような事案があります。そしてその行く末は傀儡国家であると。フォーロライト家の介入がなければ我が国はなかったと言っても過言ではないと。この国を治めているのは私の息子。部下の言葉を聞けるのは良い指導者の素養を持っていると誇らしくは思えど、全ての判断を特定の一人に委ねてしまえば傀儡にされていると言っても過言ではありません。」

 

こめかみを押さえながらそう言うと、傍らで黙って話を聞いていた長い髭を蓄えた男が口を開く。

 

「どうやらあの若輩者の軍師、彼自身が他の国務をやろうと申し出たらしいですぞ。どうやら幼馴染である彼の申し出をエルダード様が受け入れたらしく。」

 

彼がそう言うと、女性は溜息を吐いた。

 

「猶更きな臭い....あの子と親しい仲だからこそ、あの子が王に即位した時に見逃してやったと言うのに....。やはりアベヌスは残しておくべきでなかったか....、軍師の家だからこそ王に近くなってしまう。」

 

歯噛みするかのように呟く女に、老齢の男は同調する。

 

「恐れていたアベヌス家の謀反。その兆候かもしれませんな。野蛮な東国の宗教を啓蒙しようとしていることもそれなら頷ける。確か現在将をしているのはその国の女なのでしょう?ご子息はこのままで大丈夫なのですか?」

 

その言葉に女は言葉を続ける。

 

「女ならば息子が拾っただけだからどうにでもなる。しかしアベヌスは王家に仕えてきた貴族。懸念だけではどうしようもない。しかし、謀反の恐れがある者を放置しておくわけには.....」

 

女が言葉を濁すと、老齢の男は溜息を吐きつつ彼女に歩み寄る。

 

「はぁ...いいですか?始末しようとするから悩むことになるのです。たしかに奴はきな臭いが、戦争などにおいて実績を出していることは事実。排除するのではなく、利用するのです。その上であの若造の影響力を弱める。そう考えるべきでしょう。」

 

そう言うと、女は老齢の男の目を見返す。

 

「と、言うと?」

 

女の目を見ると、老齢の男は笑う。

 

「簡単なこと。そんなにシントゥーなる異教を勉強したければさせてやれば良いのです。奴には使節としてその野蛮な東国に出してしまいましょう。近くに居るからこそご子息が奴に意見を聞くのです。奴を使節に出せば、上手く行けば東国との国交が樹立され、行かなくても失敗したということで奴の影響力は多少なりとも低下するはず。エルダード様は親孝行なお方だ....母であるあなたの進言であれば言う事を聞くでしょう。なんてったってシントゥーの勉強は本人が言ってたこと、名目上はアベヌスの願望を叶えてやる形なのですから。なに、奴が居ない間代わりはこのオズワルドが務めましょう。」

 

彼がそう言うと、彼女は安堵した表情になる。

 

「なるほど...流石オズワルド。ではそのようにしましょう。陽が沈んだらエルダードをこちらに呼びなさい、いいですね?」

 

「はっ!」

 

女がそう言うと、部下は部屋を出ていく。

すると、彼女は言葉を漏らす。

 

「...大丈夫かしら、あの子。優しいあの子だもの、もし良い様に利用されていたとしたら私.....」

 

不安げな表情を浮かべる女性。

そんな彼女を後ろから抱き締めるように距離を縮める。

 

「...私に任せて頂ければ問題ありません。あなたがエルグラン様と婚姻なされたのも私の助言があってのこと.....。」

 

そう言って胸元に手を這わせる。

 

「あっ....オズワルド....貴方のお陰で今の私がある。貴方には感謝しています。ですが...前にも言った通り私はそんなつもりは...ありません。」

 

彼女がそう手を押さえると、男は言葉を出す。

 

「...エルグラン様が病に没して寂しさを抱いているのは知っています。なればこそ、私はその支えになりたいのです。」

 

そう真摯に見える様で女性に言うと、女性は逡巡したような顔をするも、返答した。

 

「気持ちは嬉しいですが.....とにかく、今は....そんなつもりはないのですから.....。」

 

彼女が身体を抱いてそう言うと、男は口を開いた。

 

「貴方がご子息の気持ちを尊重しようと学友である者の家を残した。それがこのように悩みの種になっている。一度でも貴方の判断が良い方向に進んだことがありましたか?今回も、私の意に沿えばあなたの望むようになる....。そうは思いませんか?」

 

「.....」

 

彼は圧をかけるように言うも、女は答えない。

するとその様子を見ると一度溜息を吐いた。

 

「今すぐでなくていい。ただ私のことを心の片隅にでも置いて、このことを考えておいてくださいませ。」

 

そう言うと、彼は愛想のいい笑みを浮かべると部屋を出る。

部屋に残るのは豪華な椅子に座り、夫の居ない寂寥を抱いた女。

そして廊下ではさっきとは打って変わって好色な笑みを浮かべた老齢の男が部屋の前から歩き去っていった。




マッマNTRフラグが立っています。
一応マッマも攻略できるから多少はね?
原作ではマッマが迫られているところを主人公が目撃すればマッマも攻略できるようになります。
その代わり、ちゃんと側近にNTRされる場合もありますねぇ!
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