後頭部に熱を感じる。暖かい。それにふわふわでいい匂いがする。まるで極上の枕の様だ。とても居心地が良いが体制が横になっていることに気づき重い瞼を開く。
眼の前には愛らしい顔のジョゼが眼をつむってうたたねしていた。
すうすうと息を立てて眠るジョゼはまるで子猫の様で可愛かった。
そして居心地の良さの正体が何だったのかを理解した。
膝枕だ。確かにこれは極上の枕に違いないと思った。
あまりの居心地の良さに二度寝してしまおうかとも思ったが流石にずっとこの体制ではジョゼが可哀想なので声をかけて起こすことにする。
「お~いジョゼ、ジョゼさ~ん。」
手の平で軽く帆を擦るとパチリッと目が開く。
「やっと起きたんか。寝坊助。」
そう言われたので腕時計に目を見やると時刻はすでに深夜の1時を過ぎていた。
「ごめん、すっかり寝っちゃってたみたいだ。膝枕ありがとな。」
「かまへん、その、恒夫とくっ付いていたかったし何より寝顔が拝めたからな!あたいからしたら寧ろ得や!」
そう言ってニコッと笑みを浮かべる。寝顔を拝めたのは俺もなんだけどね。
「そっか、なら良かった。」
微笑み返すとそれにつられてジョゼも笑う。何気ない一時がこんなに幸せに感じる喜びを俺たちは言葉にせずとも共有出来ている。そう感じずにはいられない。
そんな気持ちが心の中を暖かくしてくれている間にジョゼが俺の頭を優しく撫でてくれた。
「ありがとうな。」
「何をだ?」
急にお礼を言われたので何のことかと尋ねるとジョゼは包み込むような笑顔で話してくれた。
「あたいのために他の事すっぽかして会いに来てくれたこと。バレてへんやろと思ってたやろ?しっかりわっかとるからな。」
ギクッと顔が硬直する。実はその通りで夕べののホテルの予約のことも勿論そうなのだが、バイトしていたダイビングショップに春休み期間だけまた働く連絡を直接店長にしに行くのと大学の教授にスペインで行ったダイビングの成果や研究結果の詳細などを本来今日話に行く予定だったのだが、無理を言って日にちを変更してもらっていたのだ。まさかバレているとは、、。
「はぁ、ばれてたのか。そうだよ、ジョゼに真っ先に会いたくて後回しにしてきたんだよ。でも仕方ないだろ?我慢できなかったんだから。」
「ふふふ、そないあたいのこと想っててくれたんやな。」
「当たり前だろ。」
「あたいは幸せ者やなぁ。」
撫でる手はもっと優しいものになっていく。慈愛に満ちたその笑顔と撫でに俺も頬が緩む。こんな風にしてもらったのは昔母さんにして貰った以来だ。
母さんにしてもらった時も愛情を間地かで感じられる喜びがあったのを覚えている。
あぁ、落ち着くなぁ。
「ジョゼはいいお嫁さんになるよ。」
「ふふ、そうか?」
いつもなら照れ隠しであたふたするのだが、今はお母さんモードなのかそれもなく素直に答えてくれる。
「あぁ、期待してるよ。ママ。」
「///、それは、まだ少し早いやろ//」
「少し?」
「///、うっさい///黙って撫でられとれ!///」
結局顔が真っ赤になってしまった。ちょっと攻めすぎたな。
そのまましばらくジョゼに頭を撫でられいつの間にかまた二人とも寝てしまい、朝を迎えていた。
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