眩しい。ジョゼの部屋の天窓から日光が漏れている。結局あのまま朝まで寝てしまったのか。ふわぁ~と大きく欠伸をして起き上る。するとキッチンの方からいい匂いがしてきた。キッチンに向かい匂いの正体を確かめる。どうやらジョゼが味噌汁を作っている途中だったようだ。
「おはよう、ジョゼ。よく眠れたよ。」
「おはよう、恒夫。もうじき朝ご飯できるから椅子に座って待っとって。」
「いや何か手伝うよ。何から何までやってもらうのは忍びないし。」
「そうか?ほんなら茶碗に白米よそって運んだってや。」
ジョゼから茶碗を二人分受け取り、よそう。
「ジョゼはお米少なめ?それとも多め?」
「あたいのは少な目でええよ。恒夫はいっぱい食べや。」
「了解。腹減ってるから山盛りで食べるわ。」
「でっかい育ちざかりやな。」
「22歳だけどな。どんだけ長い成長期だよw」
「それもそうやなw」
穏やかな朝に俺たちの笑い声が部屋に木霊する。去年の俺は今こんな風に満ち足りた時を過ごしているなんて夢にも思わないだろう。夢に向かってただひたすらに勉強して、バイトして、貯金して、そして生涯添い遂げたい人に出会って、そして大切な仲間たちに支えられた。今横で笑っているジョゼの笑顔も俺一人では守れなかった。皆の想いが、気持ちが、優しさが、数珠繋ぎのようになって俺達を救ってくれた。感謝しかない。約1年という長くも短い期間で繋がりの大切さについて多くを学べたと思う。
「恒夫?」
そんなことを考えていたからか心ここにあらずだったようだ。ジョゼが不思議そうにこちらを見ている。
「ああ、ごめん。ちょっとぼ~としてた。」
「まだ眠気取れとらんのやろ。顔洗ってきたほうがええんとちゃうんか?」
「そうするよ。」
そう一言告げて白米が盛られた2つの茶碗をテーブルに運び、顔を洗いに洗面所に向かった。
ぴしゃぴしゃと適当に顔を洗いフェイスタオルで顔を拭う。心なしか目は洗う前よりしゃっきりしていた。リビングに戻ると美味しそうな朝食が並んでいた。
「ほな食べよか。」
「あぁ。」
手を合わせて
「いただきます。」
「いただきます。」
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美味しい朝食を食べ終わりかたずけも終わるとジョゼは遺影の前へ足を運ぶ。
ジョゼのおばあさん、チヅさんのものだ。
ジョゼに習い俺も横に座り手を合わせる。
チヅさんとの出会いもジョゼと初対面した時だった。中々変わったおばあさんだったけどジョゼのことを誰よりも大切にしていた。少しずつ変わっていくジョゼを見て自分事のように嬉しそうにしてくれていた。俺もジョゼもチヅさんが大好きだった。だからこそ急に亡くなった時は信じられなかった。90歳とは思えないほど生き生きしていたのに。あの時のジョゼは俺の前だからか涙は見せなかった。でも今すぐにでも泣いてしまいたいような顔をして俯いたままのジョゼに俺は何も言葉をかけることができなかった。直ぐに心の支えになってあげられなかった。だからこそこれからは俺がジョゼを支えます。安心して見ていてください。そう心の中で遺影に映るチヅさんに向けて誓った。