チヅさんの遺影に挨拶を済ますとジョゼが今日の予定を聞いてきた。
「それで今日はどうするんや?」
「今日は昨日話したバイト先への復職願いと教授への報告だけかな。後は特にないぞ。」
流石に済ませないといけない二件の予定をこれ以上先延ばしにはできない。
「そうか、因みにそれは午前中に終わるんか?」
「あぁ、どっちもそんなに時間かからないと思うし午前中には終わると思うよ。」
出かける準備をしながらそう返答すると返答の返しに一つの提案をしてくれた。
「ほんならお昼一緒にどっか食べに行かんか?ええとこ見つけたから恒夫が帰ってきたら一緒に行こなと思うとったねん。」
「おおマジか!行くよ!じゃあどこ集合にしようか。」
俺と一緒に行きたいと思ってくれたのが凄く嬉しい。ほんと可愛いな。
「ほんなら天下茶屋駅に1時に集合しよか。あたいは今日なんも予定ないから家で昼までのんびりしとるわ。」
本を手に取りころんと横になる。
「分かった。じゃあとりあえず俺は用事済ませてくるよ。」
顔だけこちらに向け手をヒラヒラさせて見送ってくれた。
「ああ、気を付けて行ってきいや。」
「カギはちゃんと閉めろよ。」
「ん、ちゃんと閉める。」
戸を閉める前ににっこり微笑んでくれたジョゼの顔を見て暖かな気持ちになった。
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久々に顔を合わせた店長や隼人、舞に挨拶を済ませ店を後にする。会ってすぐジョゼと昨日何してたのかをしつこく聞いてきた隼人には少し困ったが。
次は教授に報告だ。自分の夢がついに叶ったことと、メキシコの教授に現地で研究した成果がかなり絶賛され期待を持たれていることを話すととても喜んでくれた。
良い教授に巡り合えて良かった。
全ての用事を済ませジョゼの待つ天下茶屋駅に向かう。
あそこはジョゼと初めて海に向かうとき使用した駅だ。今でこそだがあの時、何故一人でも海に向かおうとしていたジョゼが途中で引き返そうとしていたか分かる。
一人で遠くの地へ赴くことができなかったため、世間の心無い言葉や態度を示す人々が堪らなく怖かったんだ。ジョゼからすれば”虎”と形容していたのは的を射ていただろう。でも今は以前よりも成長しているし、何より俺が居る。
俺がジョゼを間近で支えられる。朝、遺影のチヅさんのに誓ったことをもう一度心の中で思い返した。暫く歩いていたら天下茶屋駅が見えてきた。息を飲んだ。そこには髪を紅葉が鮮やかな日に散歩した時に一度だけしてくれたあの可愛らしい髪型をして控えめなフリルの付いた可愛らしいワンピースを着たジョゼが居た。どこかのお嬢様なんじゃないかと思うくらい彼女は周りの景色に映え、周囲の人々からチラチラとあの子可愛い、綺麗、だとかの黄色い声が飛び交っていた。ジョゼはその視線や声は聞こえているか分からないがあまり居心地は良さそうでは無かった。
まっすぐ彼女のもとに歩みを進めると俺を見つけでぱっと花が咲いたような笑顔で手を振っている。やべぇ、、。可愛すぎて死にそう。ドキドキ止まらねぇ。
「お~い!恒夫!」
「ごめん、待ったか?」
「いや、あたいもほんの数分前に来たとこや。時間ぴったしやな!」
普段も物凄く可愛いが今のジョゼはちょっとレベルが段違いに可愛い。
もっとちゃんとした服装にしてこれば良かったなぁ。と少し後悔した。
さて、この可愛いお嬢様との楽しい午後の始まりだ。