アニメ・ギフター   作:サソリス

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悪夢の始まり

 朝、朝日が昇りながら地を照らし、空を真っ黒な一色から明るく真っ蒼な色に染め上げる時間帯。それぞれの人は朝日と共に起床し身支度を整えある者は職場へ、ある者は学校へと各々の目的地へと向かい始める。そんな時間帯、ある者も事前にセットしてあった目覚まし時計の音が鳴り響き目を覚ました。

 

「……寒ッムイ」

 

 ノロノロと掛布団から起き上がり何とか寝床を出て、いつも道理顔を洗うために……っとその前に。

 

「喉……乾いた」

 

 洗面台へと向かう道の途中にある冷蔵庫へと寄道、中からいつも常備している麦茶を取り出して一口。

 

「美味いな」

 

 喉を適度に潤しつつ洗面台へと向かう。そしてバシャバシャと顔を水で濡らして目を覚ましタオルで水気をふき取りそして……鏡を見た。

 

「……え?」

 

 そこに映っていたのはいつもの自分ではなく別の人物だった。青く長い髪に青い瞳の綺麗な女性、顔は整った容姿をしていてこちらを見ている……首にはいつの間にか身に着けていた見覚えのあるペンダント。そして何より……

 

「CV水〇奈々……だと……!?」

 

俺の好きな声優さんの声をしていた。

 

※※※

 

 悲報、俺氏風鳴翼二変身ス。

 

って、ふざけている場合じゃね! (っと、ふざけている場合ではない!)

 

 俺は洗面台から急いでリビングへと移動する。幸い両親は共に海外に出張中って言うエロゲ染みた状況になっているので今の姿を見られる心配はない。再び冷蔵庫から麦茶を取り出しながら椅子へと座る。とりあえず今、俺の置かれた状況を整理しよう。

 俺の名前は風下(かざしも) (つばさ)、17歳。近所の高校に通う何処にでもいるエンジョイオタクだ。

 それが何故朝起きたら、まだ3期までしか見終わってない戦姫絶唱シンフォギアのキャラの一人であり俺の大好きな声優さんが担当している風鳴翼になっているのか……意味が分からないよ。それにオレの息子だって使用する機会もなく消失してるし……残念過ぎる。

 

「|ホンっと意味わからん、どういうこっちゃこれは《一体どういう事なのだ‥‥まるで意味が分からないぞ》」

 

 

 昨日何か変わった事があるかと言えばネットの友達(フレンド)からリリカル☆なのはシリーズを進められ、その後すぐに第一期をぶっとうしで見終わった以外無いし……なんでこんな二次創作の作品でもあんまり見ない状況になっているんだ?冷たく冷えた麦茶を乾いた口に含み飲み込む。

 とりあえず冷静になろうそうしよう。まずこの状況が俺だけかそれとも複数確認されてるかの確認だ。確認されているとしたら軽いどころではない騒ぎになっているはずだし……確認する必要はあるだろう。

 俺は手前にあったテレビのリモコンでテレビを点ける。その時の番組は丁度子供向けのアニメを放送しているようで丁度黒い細菌をアンパンみたいなヒーローがワンパンでぶっ倒しているシーン……普通アレだけ飛ぶモノなのか? そんな疑問を残しながらもャンネルをこの時間、ニュースを放送しているチャンネルへと合わせるのだが……

 

【速報です。日本全土で姿が変わり変異、人によっては特殊な能力に目覚めるという超常現象が確認されました】

「」

 

マージカ。思っていた以上に大ごとになってやがる。

 

【政府はこれに対し緊急事態を発表。変異、または特殊な能力に目覚めた人は即刻政府発行の番号へとご連絡をお願いします。政府の者が伺い危険などが無いか検査などを行います。番号は……】

 

 

麻痺した頭でも何とか俺はテレビの電源を落とした。その後、リモコンを近くのクッションへとほいやり頭を抱える。

 拝啓、海外に出張中のお父さんお母さん。俺は今、どうやらヤバイ現象に巻き込まれてしまったみたいだ。そんな事を考えながら頭を抱え、洗面台から聞こえる水のぽつぽつと落ちる音を聞いていたのであった。……水道代が勿体ないのですぐに絞めたが。

 

 

 

 

 

 それから一時間ぐらい経った頃だろうか。

 

俺は・正気に・戻った(私は・正気へと・戻った)

 

 何とか今の状況を受け入れ、俺は立ち直る。ってか受け入れて立ち直るしか道がねぇ。だって現状戻る手段が不明なんだから。それにさっきトイレ行ったけどヤバかった、俺が女になった事を嫌でも通関させられたよ……ちくせう。

 その後自分のベッドに飛び込み近くに置いて来た携帯を手に取った。

 

「む」

 

 しかし何時ものように指紋によるロック解除を行おうとしたが行えずパスワードで解除。ってか指紋まで変わってるとか本当に体が変化もしくは変わってるだなぁ。

そんな非現実的な現実を感じながら画面に映る沢山のアプリの中からSNSアプリを開いた。最初はと、同じくSNSをやっている者達がトレンドとして注目している話題などを抽選して見てみる事にする。

 

「なるほど……」

 

 そしてざっとそこに書いてある投稿を見ながら考えて情報を整理しているとあることが分かって来た。

 まず、俺の様にアニメキャラに変化した人は結構いるらしい。しかし村に居そうなモブキャラや序盤で死ぬ雑魚キャラ。鬼滅のサイコロステーキ先輩やプリコネの仲間を石へと変える人、マイクラの村人などなど……そんな人によっては印象がかなり強かったキャラクターが多く、何と言うか俺の様な主人公級のキャラはあんまり見かけはしなかった。そして俺の様な性転換した人も……

 逆に能力は主人公級のモノが多く出現してるらしいのだが。その能力も色々と問題のある物だった。とある魔術に登場するイマジン・ブレイカーと同じ能力なんだけど全部が全部消せるわけじゃない言ってしまえば能力の劣化版や、マリオのアイスの能力の機能制限版みたいな何かと制約が多いらしく、SNSの投稿によるとカービーの吸い込む能力に関しては掃除機並みの吸引力しかないらしい……そしてコピーは不可能と。なんだか色々と残念な能力しかないらしい。でも、一番驚いたのが……

 

ドラゴンはあかんでしょ、ドラゴンは(ドラゴン……何と面妖な変化なんだ)

 

 姿を変える変化ってのは何でも人間、アニメキャラだけではないらしくドラゴンのようなファンタジーな生物にも変化するらしい……シンプルにヤバイな。

 そしてそんな非常な事態に政府は迅速に行動。変化、もしくは変異、超常な力を得た人を確認して回っているみたいだ。ニュースでも言っていた通りの番号で連絡で色々と確認しているみたいだけど何分数が多すぎてコールセンターはパンク寸前って情報が載ってなァ。

 

俺は……どうすっかなぁ(私は……一体どうしたら……)

 

 今連絡してもパンク寸前で繋がるかは不明だし、ラノベとかでの展開はそうやって把握した情報を使っての人材の誘拐からの人体実験とか非道な事をされるってのがお決まりだし……これはまだ様子見かなぁ……ってか学校どうしよう。

 携帯を開くと学校からのメールが一通。開くとどうやらこの緊急事態の影響で学校もお休みに……でもこれは……

 

「|消化待ちのアニメを見るチャンスなのでは……? 《溜まっていたアニメを鑑賞するいい機会なのでは?》」

 

 そうと決まれば俺の行動は早い。すぐさまネットサービスのアニメンのアプリを開く。そしてあるアニメのタイトルを入力してそれを選択……

 

「|この特徴的な作画が最高なんだよなぁ《この味のある作画が最高な作品だ……これは良いものだ》」

 

 そうして俺はヘルシングのOVAをぶっとうしで全話見ていたのであった。……ってか今気づいたけど俺の言葉変なフィルターかかってねぇ? ってか少佐最高過ぎだろ。


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