アニメ・ギフター   作:サソリス

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覚醒と突撃

「これは!?」

 

 目が覚めると劇中に出て来ていた変身バンクの世界だった。世界その者が発光する魔法陣の様な模様で辺り一面が埋め尽くされていてその世界の真ん中で俺は佇んでいる。耳には歌の伴奏の様な音楽が響き続けていていかにもって感じだ。しかし、この光景は……

 

「私の記憶にない‥‥バンクだと!?」

 

 俺は一期から三期まではちゃんと見ていて、尚且つすべての奏者の変身バンクもちゃんと覚えているはなのだが今の空間には覚えはない。他の四、五期のバンクか? とも思ったけどそれにしちゃ作りが何と言うか……雑? っと感じる。それに一応内容自体は見ていないけれどバンクだけは見てしまって違うと確信できるしまさか……ゲーム版か? 

 

「ふむ……‥分からない事ばかりだが、ひとまずはどうやって変身が始まッ!?」

 

 マジ……か……突如体に電撃が走ったような感覚が走ったっと思えば体が思うように動かなくなった。あれだ、夢とかとで体験する。視界はクリアなのに体が勝手に動いてる感覚的な何かと同じ状態になってやがる。

 体はそのまま俺の言う事を聞かずにひとりでに動き出す。その直後突如として頭の上に出現した輪っかみたいなものを潜ると宝石を全身に身に着けたギアインナーの姿へと服装が変わった……ってかその前は全身光った全裸だったような気が‥‥‥‥気にしたら負けか? 

 

 その後宝石たちは辺り一面へと散らばり、光り出して鎖のような物が俺を縛る。見た目はかなり頑丈そうに見えるけれど何と言うか綿で包まれてる感覚に似ていて気持ち良い……‥‥っは! 落ちるとこだった。

 そんな俺を知らぬと体はそれを弾く様に千切った、ってえぇ!? それを千切るなんて勿体ない! 寝具に使え……ないね。世間体から見て鎖を寝具にするとか見た目が悪すぎる。

 見た目と裏腹に高級羽毛布団の様な感触の鎖は千切れると光の塊に変化。俺の足、太もも、腰、腕に頭、全身へと張り付くと姿を変えて光が晴れた。

 ギアインナーの上にアーマーが取り付けられて太ももからアームドギアを取り出し体は振り回し始める。まるで自分が手にした獲物の感触を確かめるように腰に当てると鞘から抜く様に抜き付け。流れるように切り上げてからの振り下ろし。そんな姿をぼーっと見るしかなかった俺だが手に付いたアーマーの形に見覚えが……あ、コレ一期の頃のギアだ。そんな事を考えながら──―

 

「ッは!」

 

 ──―最後のキメポーズをキメた事による謎の達成感に包まれながら俺はまた意識が途切れた。

 

 

※※※

 

「っは! 戻って来れたか」

 

 目が覚めると変身するために用意した部屋だった。戻って来れた事に安心感を覚えながら俺は床に座り込んでしまった。正確には腰が抜けたともいえるけど。

 しかしまさか変身バンクが全自動で体が動いてやっていただなんて‥‥‥‥ある意味五期に出て来た切歌の変身バンクルの謎のエロさの謎に説明がついたわ。

 

「と、とりあえずギアの姿を確認しなければ」

 

 俺はそう思い腰を上げて何か鏡が無いかと探しに行こうとするけど……

 

「そういえばギアを纏った状態だとハイヒールだったな……失念していた」

 

 このままだと他の部屋に入れない。それに加えてこの足に付いたブレード、これが邪魔で姿見を置いている部屋に入れないってマジか、このブレード考えた通りに動くんだけど。でも可動域的に難しいだろうし……困ったな。

 

「何かないか何か……む、携帯端末が丁度いい所に」

 

 変身する前になんとなく置いておいた携帯を発見! 電源を付ける! ダメだ! 駄目だ! だめだ! 大本営は電源切れを発表、即座に充電をされたし……ってふざけるのもここまで近くに充電器は無いので仕方なく画面に光の反射で映る自分を見てみる。

 

「これは……やはり初期のギアか」

 

 そこに映るのはやっぱり一期の頃のアメノハバキリ。感覚的には全身タイツを身に着けてる感覚と一緒で何と言うかこう……全身が引き締められますねぇ。あと過去なんで全身タイツを着る羽目になった理由を思い出して憂鬱になったりする……もう二度と罰ゲームアリの対戦ゲームなんてやってやるか。

 

 そんな苦い記憶を胸に……って誰が(つるぎ)の様な胸じゃ! ッゴッホン、取り乱したが胸の奥へと仕舞ってそのまま携帯を持ってリビングへと移動した。そのままソファーへと腰掛けるんだけども……‥

 

「ッゴホ! ッゴホ! 何だこれは!?」

 

 ソファーが埃だらけで座った事によりその埃が舞い、咽たでござる。ってかどういう事だよ、そんなに掃除サボってたっけ俺? 

 ってそんなことしてる場合じゃねぇ! こんな埃だらけの空気いつまででも吸ってられるか! 急いで窓を開けて空気の入れ替えを行うぞジョジョぉ! って風鳴翼の場合ジョジョじゃなくて奏ぇ! かもしれないが。

 

「すぅ~はぁ~」

 

 おぉ~くうきおいちぃ。やっぱり人間に必要なのは新鮮な空気と綺麗な真水ってどっかのエロイ、偉い学者が言ってたからそれが合ってたと実感できるよ、マジで。肺一杯に新鮮な外の空気を吸い込み窓の外を見る。

 

「これは一体!?」

 

 そこには俺の知らない光景が広がっていた。見覚えのない街並み、見覚えのない天高く聳え立つ建物、そして空中を浮遊する飛行船……どれもこれも俺の知らない景色。マジでどういう事なの!? 

 目の前の景色に俺がショックを受けていると突如後ろから爆音が聞こえた。

 

「!?」

 

 耳がキーンと鳴り正直耳が痛い。体が自然な動きでアームドギアを手にしながら玄関の方へと振り向いた。その直後。

 

「開けろ! デトロイト市警だ!」

 

 大きな声と共にドアがけ破られ、黒い集団が俺の部屋へとなだれ込んできた。この装備ミリオタをかじった俺でも分かる、M16にMP5に防弾使用の大盾装備。おいおい、何処の特殊部隊が俺の部屋になだれ込んだってんだコレ! 

 

「何者だ!」

 

 俺はアームドギアを構える。正直刀みたいな長物は昔剣道習ってた時に使った以来だから上手く扱えて戦えるかは分からないけど、なんとなくこの体が、この変化してしまった体が戦い方を知っているみたいで分かる。

 雪崩れ込んできた部隊は俺を囲い込むように並び揃って銃口をこちらへと向けている。そしてなんでか知らないけど背にしている窓の外にもスナイパーか何かが狙っていると感覚的に察知出来る。つまりは全周囲囲まれた状態な訳だけども不思議と危機感なんてもんは無かった。なんとなく相手取る事が出来ると分かるからだ。ってか、勝敗よりもまず他人を傷つけられるか否かそこが俺にとっての一番の問題点だったりするけど

 

 一触即発、まさに言葉の通りなんだけどもどちらも動けぬ状態。俺も動こうものなら銃弾の雨霰、あっちも多分その盾事一刀両断出来ると思うからどちらも動けぬ状態。そんな中──― 

 

「こらこら! 何勝手に突撃なんてかましてくれてんのよ!」

 

 陽気な声が響いた。何だとそちらの方へと目を向けるとそこには一人の男が立っていた。ボロボロの茶色のロングコートを身に纏い、同じ色のハット坊を被っていた。

 

「責任者何処よ!」

「責任者は私だが今は目標を目の前にしてるので後にしてもらえれば……「突撃は特ギ所属の公証人待ちだって上から命令来てたでしょうが!」それでは対象に逃げられる危険が「おたくの勝手な判断のせいで更に危険な状態に陥っていること分かる? あんたホントにエリートなのか!!」

 

 ……なんか内輪揉め始めたんだけど。突然の来訪者は突撃してきた部隊の責任者と思わしき人と口論を繰り広げていて気持ち周りを囲んでいる人たちもまたか……みたいな空気を出してる。あ、コートの人パイルドライバーかけた。

 

「ハイハイっと君達の責任者と話はついたから君達撤収! 撤収!」

 

 コートの人が手を何度か叩くと俺を囲んでいた人たちはいそいそと動き出す。

 

「ばいばぁ~い」

 

 拡げていた装備を手に突入してきた玄関から出ていく人たち。けど後ろから感じていたスナイパーらしき人からの視線も無くなり本当に撤収したのが分かった……あ、パイルドライバー食らった人引きずって持って行くんだ……ありゃ頭痛そうだ。

 

「助かった……しかしあの者達は一体?」

 

構えは解くけれど一応アームドギアはそのまま手に保持しておく。もしかしたらこの人が襲ってくる危険もあるからね。

 コートの人物は帽子を脱いで頭をかきながらなんとなくやっちまった的な表情を浮かべる。

 

「それに関しては正直すまんかったと思う。どうも上の連中が事を急いだみたいで俺の到着まで待てができなかったみたいでねぇ」

 

このとうりと手を合わせながら頭を下げるコートの人。さて‥‥‥‥どうしたものかね。俺は散乱した部屋を眺めながら問う。

 

「それで聞くがなんで押し入って来たりしたんだ?」

 

その問いに何か困ったような表情へと変わるとうん~うん~と少し唸り何か考えがまとまったようで手をポンっと打つ。……昭和アニメかよ。

 

「その理由は後々説明するとしてえぇ「風下翼」そうそう風下さんは今が何年だか分かる?」

 

何年? いきなりどんな質問をするかと思いきや……俺をバカにし過ぎだろう。でもその表情は真剣みたいだからなぁ~……えっと、確か最近年が明けて2020年が終わったはずだから……

 

「西暦2021年じゃないのか?」

 

俺の答えを聞いた途端手を顔に押し当て何か思いつめたような感じになる。ありゃ? 俺なんか間違えたか? 俺が内心混乱していると。

 

 

「違うぞ」

 

ん? 今なんて? 違う? そんなはずは……

 

「落ち着いて聞いてくれよ。今は西暦2097年、君が知ってる年から76年時が経っている世界だ」

 

コートの人はそんな非現実的な事を言い放つのであった。


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