Riddle name   作:Keisan

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5.最後の子

「・・・・アンジェラ。お前まだ・・・何を気にしてる。」

『 ・・・・・・! 』

 

気がつけば、ローの手の平が私の額の汗を拭っていた。

何も・・・とは言えない、酷く魘されてる所を彼に起されたばかりだ。

 

「・・・・当ててやろうか?」

 

いつもの落ち着いた口調にポーカーフェイス。

その表情に、憐れみが含まれてなかったのはせめてもの救いというもの。

彼は私が読み取るのを承知で、そう言いながら手首から脈を取っているのだ。

 

『 そう云った男…あれこそ獣だ。一緒にされては堪らない 』

 

他人から見れば大差ないかもしれない、けど・・・。

獣に"獣の烙印"を捺されるなんて______この私でさえ、穏やかでいられる筈がない。

 

『 それより、ロー。この島はやはり・・・・ 』

「あァ、偶然でもないってトコか・・・・。」

 

同盟を組んだとは言え・・・彼らを巻き込みたくはないな。

それはローには言わずにおいた。そう云えば彼は”自分がカタを付ける”と言いかねない。

本来、私の敵だ。私こそそうしたい。けれど、今回はフランキーも一緒に襲われてる。

 

『 やり易いようにしてくれていい 』

「・・・・。」

 

「何でもない」では彼らも納得すまい。

守秘義務なんて考えなくていい、私が傷つく事なんてないのだから。

彼はまだ__ 私のあの数字に疑念を抱き続けてるんだろうな。

案外分かりやすい男だから、その位読まなくたって解る。

メンタル的な部分で気を使っているのだ。”主治医”という事を理由にして・・・。

 

『 ・・・少し眠ってもいいか、何だか疲れた・・・ 』

「そうしろ。今どうこうって訳じゃない。」

『 すまない 』

「イチイチ謝るんじゃねぇ、いいから寝ろ・・・。」

 

手早くアオザイの一字ボタンをプチプチ外し始めると迷いもなく左右に開く。

すぐに晒を巻いた胸が露わになり毛布をその上から被せた。

彼の視線が、僅かに右肩に移ったのを見逃してはいない。

そしてスクリューの音が聞こえた。

 

『 移動するのか 』

「あぁ・・・、起きたらコレを使え。声を飛ばすな。」

 

そう言ってサイドテーブルの双蛇丸の下に置いて行く。

どこから持ってきたんだ、そんなの・・・。

 

そう思ってる内に彼はドアの向こうへ消えていった。

 

 

_________________

 

 

 

ロー達も仲間からの連絡を受け、血相を変えて戻って来ていた。

彼女の部屋に入るなり、「席を外してくれ」と人払い。

私はナミに目配せすると心配顔の皆を連れて部屋を出た。

 

ガチャ。ドアの音に間髪いれず詰め寄ったルフィは「あいつは?」と訊ねてた。

彼は疲れた様にドサリとソファに身を預けてる。

そして目の前の床に広げられた風呂敷の上の回収物を睨みつけるのだ。

 

「あぁ、少し疲れただけだろう。麦わら屋、いや・・・お前達に一つ云って置きたい。

アイツの手に触れるのは遠慮願う、特にニコ屋。昔CP9と色々あったらしいな。」

 

「 「「「  !?  」」」 」 

 

「・・・・アンジェラは恐らくお前の過去を見た。」

 

「・・・え!?」

 

「悪魔の実を食べる前から特殊な能力を持ってたアイツは

”ストレス”で極度に体を弱らせちまう。・・・覚えといてくれ。」

 

彼にとって、”色々あった”部分はどうでも良いのだ。

自覚があったのか一瞬、天井を見上げて溜息を隠してた。

 

「ロー、あの子は一体何者なの?」

 

この部屋に戻ってきてからの彼のその様子から

云いたくない何かを沢山抱えているのは良く解るのだが。

ナンバリングされた様な名前、あの掌の色と硬さ、

私の過去を見て彼女がストレスを感じた。そして”ルッチ”という言葉だ。

私が聞かない訳にはいかなかった・・・・。

 

「”ピッツ・バウンドの惨劇”の主人公さ。」

「!?」

 

何かイジワルな目を向けるロー。

まるで、あの事件そのものに恨みでも持っているかに思える。

 

あの事件は確か、今から5年前に起った。

政府関係者、海軍上層部、

そして七武海しか知り得ぬ内輪の話を彼は知っているのか。

 

「今のはココだけの話だ。アンジェラはあの事件でかなりのダメージを受けてる。」

「なんだか良くわかんないけど・・・言うなっていうなら言わないわよ?」

「それより、その残骸の事だが・・・アンジェラ目的だろう。」

「なんで嬢ちゃんが捕獲されなきゃならねぇんだ?」

 

フランキーが残骸から頭部を取り出し、アゴのパーツを外して見せる。

何体かの人形の口の中には網が仕込まれていたようだ。

___その事だが・・・と、ローはやや躊躇いがちに切りだした。

 

「嘗て・・・ワノ国付近の諸島に武器製造会社の研究所があった。

クローン技術では未だにベガパンクが追い付けない独自の高度な技術を持ってた。」

 

ルフィが何か聞こうとした時、ローは手を伸ばし

MISSINGと印刷された手配書をテーブルの上にヒラリと置いた。

 

「これ・・・・アンコか!?」

「あァ、アンジェラだ・・・。名前は違うがな。」

 

今よりもずっと幼い・・・アンジェラス。

見たはずだった。名前が違ったせいで思い出せなかったが

(あなたは何故、海軍なんかに探されているの・・・?)

以前どこかで見たこの手配書に、自分を重ねてしまった事があったのだ。

 

「アライブ・オンリーで2億だとォオオ!?マジか・・・!」

「探されてるだけなのに、ちょっと高すぎやしない?」

 

「アイツの存在でクローン技術の常識が根底から覆る。その価値はあるのさ。」

 

「  「「「 「 !? 」 」」」 」

 

「アンジェラはそこで培養されて生まれた”戦闘用デザイナー・ベビー”・・・。

18番目の”イヴの最後の子”だ。それが海軍唯一のMISSINGである理由でもある。」

 

「培養・・・!」

「クローンって・・・そんな・・・!」

「”イヴ”ってのは・・・試験管かなんかか?」

「デカい水槽だ・・・そこで育っていくらしい・・・。」

 

突拍子もない話、あまりに馴染みのなさすぎる単語が並ぶのだ。

騒然ともする。ただ、チョッパーとゾロだけは驚いていない様子だった。

 

「ある日、研究所は商品化を目前に村人の暴動に合い、何もかも焼かれた。だが

子供達の遺体の中に、改良品であるアンジェラがいない事に気付いたヤツがいる。」

 

「生き残りが・・・!?」

 

私の呟きに答えるかに彼は持っていた小びんを投げ渡す。

ノミくらいに小さなそれはカラカラと音を立ててる。

 

「ソイツは17年前からアイツの体に埋まってた発信機だ。

なんの根拠もねぇが、俺は<生き残り>の存在をずっと疑ってた・・・。」

 

____?

 

壁にもたれ、腕を組んだまま目を瞑ってるゾロを睨みつけた・・・?

 

「表向きが違うだけで海軍の科学班が探してるのと同じ理由だろう。

ベガパンクは保護、<生き残り>は回収・・・どっちにしろアイツはまたモルモット扱いだ。」

 

「”また”って・・・どういう事だ・・・!」

「オイ・・・!あの子の体をメスで弄り倒したっていうのか!?」

 

「平均寿命は12歳・・・短命の原因をアンジェラの体でかなり模索してた痕跡がある・・・

お陰で改良されてはいるがな。そうだろ?・・・ゾロ屋。」

 

「あぁ・・・そうだな。」

 

ローにしてみればそう考える他、救いがないのだ。

怒りの収まらないルフィもフランキーもこれには黙ってしまった。

 

 

___________________

 

 

 

俺はまた買い出しに出たもんだから事情は後でロビンちゃんから聞いた。

ムナクソ悪い話だぜ・・・・。

__夕食前にそんな話があった為か、ルフィでさえ黙々とメシを食ってやがる。

一旦、僅かに手を止めてはまたガツガツと食らいだす。あまり見ない光景だ。

 

「まるで尻尾を針で刺されたネズミだな。」

「なんだそりゃ?」

 

そんなルフィを見ていたトラ男が呟いた。

 

「ストレスの実験さ。尻尾を針で刺されたマウスは、

その痛さを紛わすかにエサにガツつくんだが・・そのうち食べるのを止めちまう。」

「ヘー・・・。」

「その点アイツは、心配なさそうだ。精神力の強さが伺える。」

「フフッ、食い意地が張ってるってだけだろ?」

 

こいつ・・・極悪そうな男に見えてそこは医者だな。

それなりの準備を整えてアンジーちゃんを攫いに行ったとか・・・男前じゃねぇか。

しかし、トラ男にとって彼女はどんな存在なんだろうな。妹と云うにはベポの話といい、

気絶した彼女の起こし方といい・・・ちょっと色気があり過ぎんだろ・・・・・・・あッ!

 

「そういやお前!! いつもアンジーちゃんにアンナコトしてんのかぁあああ!?」

「!? ドンナコトだ・・・・?」

「メモ!メモ! 白クマ手帳だよ!」

 

俺は周りを気にして途中からにはなったがヤツの耳元でヒソヒソと言った。

やっとピンとキタみたいで軽く頷きやがる。

 

「あァ・・・あの位しねェと起きねぇからな。」

「グヌヌ!羨ましすぎるぞオマエ!

大渦の時といい、俺にもなんかそういう美味い手を伝授しろぉオオ!!」

「ま、また今度な;」

 

「オイ、トラ男。こうしてる間に奇襲なんてねーだろーな?」

 

ウソップとチョッパー以外の野郎どもは一応の身構えはしている。

クソ剣士なんぞは食うだけ食って、”ごちそうさん”と小っこい声。

腰のものを携えてたった今席を立ちやがった。

 

「帰り際、妙な音がしてるって嬢ちゃんが気にしてたんだが・・・

発信機がない今、あの声の周波数を拾われたんじゃねぇのか?」

 

「あぁ。それはアンジェラにも伝えてある。____?」

「なんだ、騒がしい・・・?」

 

けたたましい足音にトラ男も俺もドアの方を見た___

アホ剣士はドアを開けるなり、このキッチンをグルリとを見回してる。

 

「アイツがいない・・・・!」

 

 

「 「 「「「  ・・・・・!?   」」」 」 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued

 

 

 

 

 

 

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