Riddle name   作:Keisan

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6.サウダーデ

____ あとでサンジが責められなきゃいいな

買い物から戻った彼を乗せる為に着岸、その隙を狙って降りたのだ。

 

私は今、どうしても行かなきゃいけない場所を目指して歩いてる。

( 聞こえるんだ、イヴの心音が・・・。)

眠っていた筈の私を優しく起こしたそれは、遥か昔の私たちの子守唄で。

胎児が中耳で聞くと云う、母親の心音と同じものではないだろうか。

 

コートの重みがまた、自身が刺客であった事を思い出させる。

複雑さを感じながら月夜の海岸を抜け、雑木林に足を踏み入れた。

一応の季節は春なのだろうがさすがに夜風は冷たい。

嗅いだ事のある赤杉の匂い・・・湿気た土を踏みしめる。

 

『・・・・・・・・・・!』

 

目が闇に慣れたてきた所で現れた左側の大木、

そして・・・この道の形に足を止めて逆を向くのだ。

 

”そんな格好で寒かろう。お前、何処から来た?”

”逃げろと云われた”

”その声___今なにを・・・!?”

”殺されるから逃げろって”

”・・・、盗賊か何かか。”

”ううん、村の人”

 

裸足にシュミーズ1枚の少女と大きな十字架を背負う男の幻が霞んだ

ここで私は・・・。

 

ハッとなる____

 

( 近い )

 

『 ・・・・・! 』

 

奇妙な。土から手が飛び出し、なぜか前から両足首を掴まれてた。

上から跳んでくる殺気に膝を折り、腕をクロスさせ即座にソレを掻き斬り地面を蹴る。

横へと回転しては意識を360度張り巡らした。

 

(・・・・・・・・・?)

 

ザ!ザザ!!

 

風を切る落下物が3体着地した。そいつらが串刺したのは枯れ葉と土のみ・・・。

遅い、いや鈍い。

どうやら私とは別の周波数で会話してるらしい。

シャリーン・・・と鳴った鈴の音に、顔を見合わせ全員がそちらに向きを変えたのだ。

 

(どっちだ・・・全員左か?)

 

耳を澄ませばどちら側に心臓があるかの見当はつく。

コートの内側に手をやると多少の遠心力を使った。

ドッ!ドッ、ドッ!

時間が惜しいので少し大き目のナイフを投げる。

 

(紛い品も甚だしい・・・・。)

 

汗をかく暇もなかった。雲が月から剥がれ、その正体を照らす。

なるほど、美少女ではある。後ろからグイと彼女らの襟をつかみ下ろして見た。

アザも左に咲いてるとはな・・・。

 

また現れた・・・・、!?

 

(さっきから・・・コイツか)

 

ビュ!上空に浮いたボール状のものに向かってまた一刀投げ放つ。

ゴギン!不自然な音がした。ボトリ落ちてきた物体は刃に貫かれた上に氷りついてる。

監視用のカメラらしいが・・・。

 

「なァんだ、心配する事なかったか・・・・!」

『 ・・・・・! 』

 

気を消すのが上手くなったようだ。

その男は太い枝から、私の目の前に”ヨッ”と云いながら降りてきた。

私はヤツの殺気を測りつつ、さっきローが置いていったそれを取り出した。

彼をジーと見据えながらまず、口でポンとキャップを外す。

キュキュキュ・・・!

 

【なんでココにいる!】

「ちょ!!!間が長い!

なんでマジックとスケッチブックで筆談!?いや、ソレでカオ隠さなくてもさァ!?」

【しかも3年前より更にムサクルシイぞ、クザン!】←2枚目

「次のセリフまであんのかいっ!」

 

私はこの男が嫌いだ。感情の30%のギリギリまで好きじゃない。

一瞬、服をハタこうとして手を止めると少し離れてからパンパンと叩き出してる。

気を使ったのか?そう云えば以前・・・姉が死んだと云い、

イヴの子が短命なのはリンパ球性の肺炎が原因だと私に教えたのもコイツだった。

 

「たまったま、トラファルガーの潜水艦を見つけたモンでね・・・

そしたらお前さんらしき女が出てきたんでツイ、懐かしくて着いてきちゃった訳だ。」

【絶対、ウソだな。】

「だーから!なんでソレ使うんだって!マァいいやもう。そういやお前さん知ってるか?

ここ最近、人間屋でそーいった類の女が持ち込まれてるって話をさ・・・。」

【・・・・・・!!】

「ソコはフツーでイイでしょうよ;」

 

シャボンディにあったと云う奴か____

だからローはその時の話をあまり私には聞かせないのか?

 

「謳い文句は”ワノ国、伝説の美少女アサシン・モデル”だとさ。」

【屈辱だな・・・、】

「まーそー、怒りなさんな。もう既に、」

【殺傷能力はウンコ以下じゃないか!】

「コラコラー!美少女はウ●コとか書かないよォ!?てか、そうキタ!?」

 

罠だと十分承知していたが、街のチンピラにも劣る戦闘力でソレはない。

あんな単純なトラップに引っかかる位なのだから。

 

「クオリティが低いのはしょうがねぇな、

<生き残り>は当時は研修生でクローンに関しちゃまるで素人だったのさ。

マァ・・・もう身元も割れて科学班の意向で手配されちゃってるんだけどな。」

 

何やらブツクサ云いながらヤツは草むらを棒で掻き分けだした。

何を探してるんだ・・・? そう思って見ていると急にしゃがみ込んでる。

 

「しかし、人間の記憶ってのは例えクローンであっても侮れないもんだな。」

 

スピーカーらしきものを手に振り向くとトントンそれを指で叩いてる。聞けと・・・?

高周波か。人間では聞き取れない音を私たちは水槽《イヴ》の中で聞いていたと云うのか。

 

「さっきの続きだけどね、ソイツを買った天竜人からの苦情が後を断たんらしいよ。

俺が心配なのは、お前さんに飛び火するんじゃないかって事だ・・・。」

 

彼はその場に胡坐をかき、一本のマッチを靴で磨って辺りを照らした。

クローンであっても人間だ。生々しい現場を眺めていた。

 

「大枚はたいて買ったその子たちが一年でダメになるって云うからな。」

【たったの一年か・・・?】

「そう・・・だから現物捕まえて当時の技術盗もうってワケだ。

そうなったら大変じゃない、両方に狙われて・・・ストレス溜めちまうだろ?」

 

なぜまだ私に構うのか、なぜそんな情報をリークするのか・・・解せない。

 

【トゥルーを解剖させた罪悪感でもあるのか】

「・・・・お前さんの為に、死んだ姉さんの体を開かせたと云ったらどうするね?」

 

そう云ったかと思うと横に立つ私の手を握った・・・正気か?

同じ能力があると知っている筈だ。

 

「読む読まないはお前さんの勝手だ。」

 

”・・・死に場所でも探してるつもりか?”

”・・・地獄でだって手を繋いで歩いて行ける仲間を見つけた”

”答えになってないんじゃないの・・・?”

 

それこそ・・・答えになっていない。これは3年前クザンと交わした会話じゃないか。

 

”お前を自由にしてやれたかもしれないポストを奪われちまった・・・、ゴメンな。”

 

( !? )

 

噂くらいは聞いてる。クザンが海軍を離れたと。しかしこれが本心とは信じがたい。

半ば振り払うかに、私はその手から逃れようとした。

だが、その手を離さずヤツはのっそりと立ち上がってしまったのだ。

 

「相変わらずロリロリはしちゃってるけど、想像以上にキレイになったな、リドル・・・!」

『 ・・・・・・! 』

 

ギュウ!と、背の高い、その体で抱き締められる、この感覚。

彼に久しいその名前で呼ばれるとなぜか一瞬、頭の中が白くなるのだ。

まただ・・・・、前にもあった様な感覚に襲われてる。

ヤツが以前、私を凍らせた時とは違う・・・もっと昔。

 

「お前さん今、あの船で治療を受けてるんだろうが・・・いいのか?

”死の外科医”は”イヴの子”を手放すツモりなんかありゃしないんだぜ?」

 

土足で私の中に入ってくる、こう云う所が嫌いだ。

思い切り覇気含みの拳打でヤツを引き離し、キ!と目を細める。

 

「帰りたいんだろ、あのイカツい王子様のトコへさ・・・。」

『 ・・・・ 』

 

___ローの、あの言葉は暗黙の了解だったと私は理解してた

 

私の体は並の医者では扱えない。

ローは何気に私の天敵である物の排除にも手を抜かないばかりか

アドレナリンの与え方から

オヤツのカロリー計算に至るまで彼は緻密な計算で私を管理しているのだ。

 

おまけに今は能力者・・・私が自分の力をコントロールできないせいで

戦闘時以外は海楼石製の指輪を小指に付けなきゃならなくなった。

イヴの子であった為かそれに触れられる位、”力を押さえられる”程度のもの。

それに・・・あの実を食べて目覚めて以来、何の副作用か

私の瞳の色はこんな紫へと変色してしまった・・・。

 

【いずれは戻る、大きなお世話だ】

「俺はお前さんがどっちに居るのも賛成しない。

前にも云ったろ・・・海賊辞めて、どっかの島で根を降ろしちゃくんないか。」

 

__クザン、海軍の資料にはそれが不可能だとは書いてなかったんだな。

 

俺の知り合いにイイ医者がいる、その島でほとぼりが冷めるまで暮らしちゃどうだ?

なんて・・・、半ば上の空で聞いてる。

ほとぼりなんて言葉を使うあたり、

科学班も<生き残り>に先を越されまいと本腰を入れ始めるとの示唆であろう。

 

【無理だ、否。御免被る】

 

私は足元の陰に気付いてた、夜が明け始めたのだ。

そしてクザンから、微量の殺気が漏れだしている・・・!

 

「・・・俺はね、前よりは優しくなったツモリなんだが__」

「!」

 

また伸びて来た手に、後ろへ弾き跳ぼうとほんの僅かに目を反らした時だ。

ガキン!!!!

間に入って阻止されたんで、ヤツは急ぎ体制を整え出した。

凍った手を阻んだのは突如現れたロロノアだったのだ。

 

「お前は_____。ほう、覇気が使えるとはね・・・!」

「あァ・・・!昔と一緒にして貰っちゃ困る・・・!」

「あーそうか!同盟か。フフ、リドル。お前さん、いい仲間を増やしたな。」

「アァ!?・・・・・・!?」

 

今思い出したみたいにサングラスを光らせニヤリと笑う。殺気が一気に消えた。

眉間にシワ寄せ殺気むんむんのロロノアの手首を取り、私は首を横に振る。

 

「俺は一応の事は云った。残念だが三度目はないから・・・安心しな。」

 

ヤツはそう言って彼の足だけを薄く凍らせ、足止めすると背中を見せた。

 

「チ!こんなもん・・・!!オイ待ちやがれ!」 

 

ロロノアがそれを脱するまで彼の手を握り続け、冷静さを取り戻させる。

直に氷をバリっと破壊すると、もやの中の姿も消えた事でやっと刀を納めてた。

 

「アイツとどういう関係だ・・・・!」

【トゥルー・・・、姉の知人だ。】

「・・・・・・・!?」

 

 

________________

 

 

 

 

青キジは微動だにせず、土と俺の脚元だけ凍らせて行きやがった。

俺が2年で変わった様にヤツも進化してるんだ。俺の油断でしかない。

それにしてもまさか知り合いとはな・・・。

 

「オイ・・・もういいだろ、解ったから手ェ放せ・・・。」

『・・・・。』

「アンジー!どこ行ってたんだよ!」

 

ぱっと手を放す・・・、彼女が見た先にはトラ男とベポが立っていやがった。

ベポは慌ててこっちに駆け寄り、彼女がケガをしてないか上から下まで確かめてる。

トラ男は慌てる様子もなく、怒るでもなく

スイと俺達を通り越したかと思うとそこに伏してる遺体を見物していた。

 

「もうソレは使わなくていい、出来はどうだった。」

『 ・・・、完全な偽物と言っていい 』

 

俺はこいつらの関係に疑問を持ってる。

ヤツめ。コイツの主治医を気どってる割に、こう云う時はソレだけかよ。

まるで殺って当然みたいじゃねぇか。

 

”一年程前から・・人を殺めた後は食欲が落ちて食べても直ぐ吐いてしまう”

昔そう言ってたな。出会った時にはもう、あの体は壊れ始めていたんだ。

 

"返り血を浴びないキレイ好き"とさえ噂された刺客は

”殺し”しか知らない世間知らずの小娘だった。

 

___"武士は食わねど高楊枝"か。お前の様な剣士もまた久しい

 

あの時、俺の腹のムシが鳴かなけりゃ

俺はずっとコイツのことを誤解したまんまだったろうにな・・・。

 

「ベポ、どれでもいい。一体だけ持って帰って保存だ。」

「アイアイ!」

 

死体を観察し終えて気が済んだかトラ男がそう云うと立ち上がった。

ベポは速ややかに一体担ぎ上げ帰って行く。

___さて、とヤツが小さく云った。

 

 

「アンジェラ、まだ動けるか。」

「!?」

『 問題ない 』

 

ますますこの男に不信感が募って行く。

アッサリ答えるコイツは仕方ないとして、その言い草は主治医としてどうなんだ。

良く見ればリドル・・・、

いやアンジェラは俺と出会った時と同じコートを身に付けている?

 

「ゾロ屋、この一本道を行けば麦わら屋と合流できるそうだ。」

「ア!?」

「これはウチの問題だ、こっちでカタをつける。」

「・・・お前な!」

 

どうやらトラ男だけに声を飛ばしてやがったか。

反論する寸前に俺にも声が飛んできた。

 

”ロロノア、相手は私と同じ様な生身の人間だが根絶やしにせねばならん。

お前達に要らぬ殺生はさせたくないんだ、解ってくれ・・・”

”お前は平気だってのか・・・!?”

”逆説だったんだ・・・私には血が不可欠・・・、いいから速く一緒に戻るんだ!”

”血だと・・・!?”

 

彼女は双蛇丸を、ヤツは鬼哭を・・・そして俺は3刀をまた剥き出し

辺りを囲む様な殺気を感じ取っていた・・・・!

 

「舐めるな・・・! 今更だろうが!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued

 

 

 

 

 

 

 

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