繋ぎ目の光陰   作:蛙野 心

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6.お土産を

 そんな風にして夜が更けて、朝日が昇って。十二人の旅行は、順調に終わりに近づいていっていた。一泊二日と、短い日程ではあるが書き切れないほどに盛沢山だった旅行。長いか短いかは、人によって意見が分かれる所であろう。

 

 

 

 朝食を食べ、チェックアウトを済ませた一行は、車で『道の駅』に寄っていた。田舎によくある、コンビニとお土産屋をごっちゃにした様な店だ。目的は勿論、お土産を買う為である。

 

「なぁなぁ梨香、これ面白くね?」

 

 が、何故か梨香の方についてきたチャドは、謎のキーホルダーで一人盛り上がっていた。お土産屋にしか売っていないが、日本全国にあるあれである。さっきまで眠そうな顔で欠伸を噛み殺していたのにと、梨香は呆れた様な表情でそれを見ていた。

 

「好きねぇ、そう言うの」

 

 その腕に下げられたカゴには、既に二箱ほどご当地クッキーが入れられている。値段と量が釣り合った、我ながらベストチョイスのお土産だ。

 

「てーか、そんなに買ってどーするつもりだよ?」

 

「お土産。職場の人にあげるのよ。ま、人付き合いの一環だしね」

 

「お土産かぁ、俺も買おっかな~」

 

「誰に買うのよ、誰に」

 

 そんな話をしながら、二人は地酒コーナーへ歩いていく。昨晩の目論見通り、美味しかった地酒を買い込むようだ。

 

「でもさぁ、これとか結構いいと思うんだよな」

 

 そう言って、チャドが手に持ったキーホルダーを幾つか見せて来る。いつの間にかあのコーナーから取って来ていた様だ。が、何故かどれも……なんと言うか、キモカワ系である。相変わらずこいつのセンスはちょっとおかしいなと、梨香は思わず苦笑した。あ、でも。

 

「これは、まぁ、結構可愛いかもね」

 

 そう言って梨香が指さしたのは、ゆるいウサギのキーホルダーだった。どこかで見た事のあるキャラクターである。思い出せはしないけど。そう言いながら、梨香は缶を手に取ってカゴに入れた。

 

 

 

 一通りお土産を物色し終わった梨香は、カゴを持ってレジに並んだ。それについてきていた筈のチャドは、いつの間にか姿を消している。まぁ、チャドが出先でフラフラするのは、今に始まった事じゃない。多分出発する事には戻って来るだろうと、梨香は特に気に留めず、会計を済ませて車に向かった。

 

 どうやら、他の住人は殆ど戻ってきている様である。最後になってしまったのかと少し思ったが、後ろから近づいてくる足音に、そうでは無いと気付いた。

 

「どこ行ってたのよ?」

 

 振り向いて、そこに居たチャドにそう声を掛ける。しかしチャドはそれには答えず、へへ、と笑って言った。

 

「なぁ、手、出してみて」

 

 何だろう、と思いながら、右手を差し出す。その手の上に載せられたのは、一つのストラップだった。ゆるいデザインのウサギが、ゆるい表情で笑っている。いつの間に、と梨香は少し目を見開いた。

 

「どうしたの? これ」

 

「お土産! さっき話しただろ?」

 

 満面の笑みで言われて、思わず梨香は呆れた表情をしてしまう。これじゃあ、お土産じゃなくて、ただのプレゼントになるんじゃないだろうか? 

 

「あのねぇ、私に渡してどうするのよ?」

 

「いーじゃん、俺が渡したかったんだしさ~」

 

 けれど、いっそ能天気ともいえる調子で言われて、梨香はそう言う物かと少し笑ってしまう。相変わらず、妙な所で素直な奴だ。そういう事なら、素直に受け取って置こう。そう心の中だけで呟いて、二人で車に戻った。

 




うちの子回!にしては字数が無いですね
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