「楽郎。そこのリモコン取って」
「ん」
「京極さん! 京極さん宛てにご実家から荷物が届いてます!」
「ありがとう紅音ちゃん。そこに置いておいてもらえるかい?」
「わかりました! あと楽郎さん宛てにも荷物が届いているので、楽郎さんもあとで確認お願いしますね!」
「りょーかい」
「ふぅ…、今年の新年は紅音ちゃんがいるお陰で、僕が悪戦苦闘する必要がなくてとても助かるね」
「ぬかしおる。お前の場合は悪戦苦闘云々の前に戦闘すら始まってないからな? 包丁の使い方どこの幕末に置いてきたんだよ」
「仕方ないじゃないか。自慢じゃないけど僕は学生時代のある日を境に、料理を作る際にはお湯を使うことしか出来なくなってしまったんだから」
「いやほんと自慢じゃねぇわ。自虐ネタにしてもなお酷い。つーかそこまでお前を貶めた奴誰なんだよ」
「鏡持ってくればいいかい?」
「笑えない冗談やめろ」
「僕を幕末狂いにさせた責任はしっかりとってもらうからね」
「クソゲー狂いの自覚がある俺が家事出来るんだから、そんな責任を取る必要なんてないんだよなぁ」
「楽郎のは表面的なモノでしょ? 僕の場合は魂に刻み込まれているからね。深度が違うよ深度が」
「その謎の自慢は一体どこから湧いてくんだよ……。お、そういや今日はこの前収録した番組の放送日か」
「あー、アレね。アレはなんというか……まさかシリーズ化するなんて未だに悪い夢だと思っているんだけど」
「斎賀さんのお祖父さんが出てきた時は全身の血の気が引いたよね。なんつーもんを呼び寄せやがったんだっていう」
「僕も凄く驚いたし、毎年来る國綱兄様も目を見開いてたね。ああ、こういうノリ大丈夫な人なんだって」
「あとは毎年やる『全一討伐チャレンジ』というもはや天丼ネタになった無理ゲー。お前がいつも変な所でくたばるから討伐出来ないんだよなぁ」
「いやいやいや。シルヴィアさんとアメリアさんとレオノーラさんに囲まれて一分保たせただけでも大健闘だよね? 最後の最後で仕留めきれなかった魚臣さんが悪いよ」
「そうだな。全部カッツォのせいだな。あの野郎シルヴィアからの攻撃を俺が身を挺して庇ってやったくせに、何を言われたか知らんが一瞬動きがフリーズしてその辺のMobにやられやがって」
「アレは酷かったよね…。今夜は焼き鰹が見れそうだ」
「ああ、たぶんトレンド入りすると思う。あとで公式垢で凸したろ」
「……あのー、京極さんと楽郎さんって、本当にお付き合いとか交際とかされていないんですか?」
「「急にどうした紅音(ちゃん)」」
「いえっ、そのとても息がピッタリというか、私実はお邪魔虫じゃないのかなぁって思う時がたまにありまして」
「なんてことを言うんだ紅音ちゃん。紅音ちゃんがお邪魔虫な訳ないじゃないか。僕は君がいないと満足に生活出来ないんだよ?」
「だから自慢気に語ることじゃねぇってお前」
「あはは…。実際楽郎さんは誰かとお付き合いというか、交際を考えたことはないんですか? 女性ファンの方々からの黄色い歓声も多いですし」
「俺? 今はゲームが恋人っつーか、学生時代もそういう事はあんまり意識したことはなかったしなぁ。あと応援されるのは嬉しいけど、『よく知らない相手に慕われたところでなぁ』って意識が先にくるからそういうのは多分ねぇと思う」
「なるほど…」
「そういう紅音はどうなんだ? そういう相手とかいたりすんの?」
「私ですか? そうですね、私も楽郎さんと同じ感じですかね」
「だよなぁ」
「あれ、僕には聞かないのかい楽郎?」
「いやお前の恋人『幕末』ってわかりきっている事を聞く意味よ」
「よくわかったね! 御礼にあとで天誅してあげるよ!」
「御礼参りはノーセンキュー。初詣なら一緒に出かけてやるよ。紅音、今日何か用事あったか? なけりゃ一緒にどうだ?」
「なにもないので行きましょう! 是非!」