「寒い…風呂入るか…」
「じゃあすぐお風呂沸かしますね!」
「こたつが僕を呼んでいる…!」
「おい待て京極。せめて足洗ってからこたつに入ってくれ」
「あまり僕を見縊らないでもらえるかな。最低限のマナーは守れるからね?」
「うがい手洗いもちゃんとするんだぞ」
「楽郎って時折僕の事を子供扱いしてない?」
「家事出来なくてゲームばっかやってる奴を子供以外になんと呼べと?」
「……、僕このシェアハウスで最年長なんだけど」
「最年長だから大人って認識がもう子供なんだよなぁ」
「お湯張りしてきました! 楽郎さん! コート預かりますね!」
「おー、助かる」
「京極さん! シワになるのでコートは出来ればすぐハンガーにかけてくださいね!」
「あ、うん、ごめん」
「……、最年少の紅音の方がよっぽど大人な気がするのは俺の気の所為か?」
「その哀れみの目やめて……!」
「? お二人共、どうかされました?」
「年齢で威張る奴はたいていろくでもないなぁって話」
「年齢は生きていれば誰でも勝手に増えますからね!」
「うっ」
「それな、ホントそれ」
「でも生きているのは凄いことなので、それで威張るのはちょっと違うと思いますけど、誇るのはいいと思います!」
「紅音ちゃん大好き…ッ!!」
「きょ、京極さん!?」
「甘やかすとロクなことにならんから、言う時はちゃんと言わないと駄目だぞ紅音」
「……前々から思ってたんだけど、楽郎は僕に対して敬意が足りてないよね? うん、足りてないと思う! だから敬って! もっと僕を敬って!」
「俺より高い勝率維持してたら敬ってやるんだけどなぁ。それと京極お前、新人の頃の勝率が紅音より低いの気づいてるか?」
「アー、アー、ナニモキコエナイナー」
「今季の勝率も新人の紅音とそんな差がな」
「バーカ! バーカ! 楽郎のバーカ!」
「ボキャブラリィ貧弱過ぎるだろ。イマドキ小学生でもそんな煽りしねぇよ」
「私はまだ一年目で対戦相手が持つデータが少ないお陰で運良く勝ててますけど、お二人は沢山研究されてますからね…。私は運がよかっただけです!」
「ゲームにおいてリアルラックが強いのはオンリーワンの才能なんだよなぁ」
「……んんっ、こほんっ。そういえば紅音ちゃん初詣に行った神社でしれっと大吉引き当ててたね」
「凶極センパイちーっす」
「ははは、そうやって簡単に越えたらいけないライン越えたね楽郎? 鯉口切るよ?」
「上等だ。返り討ちにしてご自慢の刀を質屋に叩き込んでやるよ」
「あー、いつものですね? じゃあ私は軽く夜食でおにぎりを作っておきますね!」
「「助かる(ありがとう)」」
◇◇◇◇
「レイドボスさんとログイン時間が被って死合いどころじゃなくなった件」
「僕と楽郎のプロゲーマー二人がかりでも未だに勝てないのは、何かもう謎の力が働いているとしか思えないなぁ…」
「チートにすら完勝する上位ランカー勢は人間やめてるから仕方ない」
「僕、風の噂で金色の彗星が刀の錆になったって聞いたことあるんだけど」
「奇遇だな俺も獅子の女王が三枚卸になったって聞いたことあるぞ」
「「HAHAHAHAHA」」
「お二人ともお疲れ様でした! お夜食のおにぎりです! あとごめんなさい! 先にお風呂頂いちゃいました…!」
「いや全然。あ、おにぎり助かる、ありがとな」
「紅音ちゃんの握るおにぎりはホント絶品。何か秘訣ってあるのかな?」
「そうですね、お婆ちゃ…祖母からは「食べる相手のことを思いながら真心込めて作れば、どんな料理も美味しくなるよ」って教わりました!」
「なるほど」
「まあどんなに真心込めたところで炭は食べられないんだけどな」
「僕を見ながら言うのやめてくれるかい? 事実だけれども」