「楽郎さん、テーブル空けてもらっていいですか?」
「了解。京極ほらお前いつまでこたつ占領してんだはよ出ろ」
「いたっ!? 蹴ったね!? 何も蹴ることないじゃないか!!」
「んなところで寝っ転がってテレビ見てる方が悪い。へいカッツォパイセン、そこの棚にガスボンベ入ってるから取ってくんね?」
「これか?」
「いやそれ機材掃除用のエアダスターなんだが。んなもん使ったら爆発するでしょうが。違うわその上の棚」
「ああ、こっちか。はい」
「サンキュー」
「ヘーイ陽務選手ー? ひとつ屋根の下で美女二人とシェアハウスはどんな気持ちかなぁー? ねぇどんな気持ちー?」
「とりあえずお前の鼻っ面にエアダスター吹き付けたい気持ちかな」
「ノンフロンでも人体に向けるのはやめようねぇー!?」
「プロゲーマーのシェアハウスだからもっとこう、VR機材が大量に置いてあるのかと勝手に想像してたんですけど、言われなければ普通のマンションとの違いがわからないですね」
「割り当てられた個室は機材が置かれているけど、共有スペースはあくまで生活がメインだから当然よ。まあちょっと生活感が溢れ過ぎてる子がいるみたいだけど…」
「京極さん! ちょっと手伝ってもらっていいですか! お湯を沸かして欲しいです!」
「任せて紅音ちゃん。それは僕の得意分野だ」
「それはも何もお前はそれしか取り柄がないんだよなぁ」
「僕の取り柄はこれしかないから、このあと楽郎に向けて熱湯溢したら許してくれるかい?」
「いいぜ。傷害罪で訴えてやるから覚悟の準備をしておいてくれよな」
◇◇◇◇
「蟹鍋、完成しました!」
「「「いえーい!!」」」
「はいはいはーい! じゃあ鍋奉行は司会進行を務めた私がやりまーす!」
「ごめんペンシルゴン待って、ホント待って。なんか君に任せたらいけない気がする」
「トワ先輩、お願いですからその真っ赤を通り越して黒に近いデスソースは絶対に鍋に入れないでくださいね?」
「なんつーもんを買ってきてんだお前」
「えー? 皆辛いの好きでしょ? 隠し味にピリッとして丁度いいと思ったんだけど?」
「いくら料理に関して壊滅的になった僕でも隠し味の概念くらいは知ってるよ。それどう考えても隠せないよね?」
「なんかドクロマークが見えるんだけど…」
「んー、じゃあ後でお酒飲んで酔い潰れたサンラクくんの鼻にでも塗りたくって遊ぼうっと」
「食べ物を粗末に扱うんじゃねぇ」
「というかそれは食べ物に分類していいのかい?」
「広義的な意味では摂取出来れば食べ物に分類されるとは思うけどね」
「辛いものが食べたい方には個別に小皿を用意しました! あとつけダレで『ピリ辛醤油ダレ』と『ねぎ塩レモンダレ』と『胡麻ダレ』もあるので希望があれば言ってくださいね!」
「圧倒的女子力」
「隠岐紅音の女子力は五三万あるぞ」
「ねぇカッツォ君、紅音ちゃん貰っていい?」
「俺に聞かれても困るんだよね…」
「ごめんね永遠さん、紅音ちゃんは僕のものだから」
「お前のものでもねーんだよなぁ」
「あ、あはは…」
「隠岐さんってとても出来た子なんですね」
「ウチの自慢の後輩よ。別の後輩に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいにね」
「楽郎言われてるよ」
「いやお前だお前。何食わぬ顔でキラーパスをスルーしてんじゃねぇ。そのまま刺されろ」
「僕あまりサッカー得意じゃないんだよね。迫りくるのは斬り伏せるか回避するかの二択だから」
「誰かこの頭幕末引き取ってくれねぇかなぁ…」