「……ひっく、……多人数との戦闘は……まず倒せる相手から仕留めるべしッ!」
「――させねぇんだよなぁ!」
「ぐっ!?」
「ヒュー! サンラク君カッコイイー!」
「動体視力に関して言えばホント並外れてるよねサンラク」
「それに即応出来る反射神経と身体能力もなかなかよね」
「くっ……この……!」
「盛り上がってるところ悪いんだけど、雑誌縛る紐が棚の中に入ってるから、それでこいつ縛ってく――ぐおっ!」
「うわぁ膝蹴り」
「アレは痛い」
「けど手は封じたままなのは流石というか」
「……京、極……! お前あとでマジで覚えておけよ……!」
「っ! 脚が……!」
「すかさず両足を踏んで足技使えないようにしてるね」
「実況解説してないでマジで誰か縛ってくれ……! 酒で力が抜けてくんだよ……!」
「ケイ、お願い」
「後輩の尻拭いをするのも先輩の務めか。サンラク、貸し一つね」
「どちらかというとペンシルゴンに貸しじゃねぇかなぁ!?」
◇◇◇◇
「……なあカッツォ」
「なんだいサンラク」
「確かに俺は縛れって言ったけどさ? 言ったけどさ?」
「何か言いたいことでも?」
「言いたいことしかねぇんだが?? なんで俺も一緒に縛り上げてんだ??」
「暴れる人間を縛り付けるなら柱に括り付けた方がいいと思ってね」
「人柱じゃねぇんだよなぁ!」
「むぐー! むぐー!」
「京極ちゃんの口はタオルで猿轡噛ませたけどまだ暴れるねぇ。……面白いから写真撮っとこ」
「天音さん、一応世間体もあるからSNSとかには掲載しないでもらえるかしら…?」
「大丈夫大丈夫、その辺りは流石に心得てるって。私も報復されたらたまったもんじゃないからねぇ」
「ならいいけど」
「いやいやナツメグ氏、よくねぇ、まったくよくねぇ」
「さーてと、レイドボスの処理は終わったから鍋再開しよっか!」
「処理されたか? 戦闘途中で放置してるよなコレ?」
「あれ蟹が…もうほぼない?」
「京極さんがかなり食べていたので…」
「抜け目ないのよねこの子…」
「むーっ! むーっ!」
「蟹がないならそろそろシメかな? 雑炊? ラーメン? 私は雑炊がいいんだけど」
「俺はどっちでもいいかな」
「右に同じく」
「私もどちらでもいいので雑炊にしちゃいますね! あ、あと笹原さんは私の部屋で寝かせてます!」
「ああ、ごめんね紅音ちゃん。あとで回収して帰るから」
「お構いなく! じゃあちょっと作ってきますね!」
「……カッツォ君、やっぱり紅音ちゃん頂戴?」
「だから俺に言われても困るって」
◆◆◆◆
「あいつら放置して鍋再開しやがった…」
「むむー」
「いや何言ってるかわからねぇよ。あと暴れんな、紐が喰い込んできて痛いんだわ」
「むむっ」
「あー、とりあえずアレだ京極」
「むー?」
「京極お前は二度と酒を飲むな」