転生先をミスった羽衣狐が居るらしい、まぁ妾なんじゃが… 作:山吹乙女
まさかお気に入りの数が500を超えるとは当初思ってもみませんでした…読者の皆様方には本当に感謝を申し上げます!
毎回の誤字報告大変痛み入ります!
無知な私は大変勉強になります
しとしとと雨が降る
傘を必要としないだけマシだが夏に差し掛かっているため雨は
ただ…今は雨のせいだけではなく、この場全体の空気は重く曇っていた。
「我々の窓が呪胎を確認したのが3時間前、避難誘導9割の時点で現場の判断により施設を閉鎖。受刑在院者第二宿舎、5名の在院者が現在もそこに呪胎と共に取り残されており呪胎が変態を遂げるタイプの場合
今日行う任務について説明をするのは高専所属の補助監督[
今までいくつか実地試験と題して任務をしてきて、そのどれもに五条先生が居たが今回はその代わりとしてこの伊地知さんが監督として来ている。ちなみに今回五条先生は出張らしい
伏黒くんと野薔薇ちゃんは伊地知さんが言った特級という単語に露骨な反応をしていたが虎杖くんは反応が鈍かった
「なぁなぁ、俺特級とかまだイマイチ分かってねぇんだけど」
実際私も強さという点ではピンと来ておらず、少なくともお狐様ほど強くはないだろうという考えである
なんとなくという塩梅でしか分かっておらず、わざわざ聞くほどでもないと思っている内容であったが虎杖くんが先んじて質問してくれたので正直助かった
ただ野薔薇ちゃんは「そんなことも知らないのか」という目で虎杖くんを見ていた…私も知らなかったよ
バカでも分かるようにと簡単な一覧表を伊地知さんが用意してくれた。
・特級
クラスター弾での絨毯爆撃でトントン
・1級(準1級)
戦車でも心細い
・2級(準2級)
散弾銃でギリ
・3級
拳銃があれば安心
・4級
木製バットで余裕
通常兵器が呪霊に通用するという前提の話だが、正直お狐様がクラスター弾の絨毯爆撃で倒される想像はできない
この表はあくまで目安で、特級の中でも上下の強さがあるのは明白であった。
「本来呪霊と同等級の術師が任務に当たるんだ、今日の場合だと五条先生とかな」
『そうか…あの男その特級であったのか、それならあの男の技他にも見たかったのぅ』
「え?妖子ちゃん五条先生が戦ってるところ見たことあるの」
『フフ…すぐ近くで見ておったぞ、あそこはまさに特等席じゃのぅ』
野薔薇ちゃんは「へぇ」と関心したようにしていたが、なにも間違ってないね。実際に対峙してその技を食らってるけど
伏黒くんがすごく気まずそうにしているけど
「あれ?そういえば私たちって何級なの?」
気を紛らわすために、少し距離が近づきつつあった伏黒くんに聞いてみる
お狐様が特級だとしても、少し力のある普通の人間として報告されているから実際私たちはどこに位置づけられているのか知らなかった
「え…五条先生から聞いてないんですか?」
『聞いておらんのぅ』
うん聞いてないね、こういうのって入学した当初に聞かされるものじゃないのかな?もう既に2週間は経ってるはずだけど
それとまだ私たちとの距離感がわからないのかいつものように伏黒くんは敬語を使っている。2週間は経ってるはずだけど…
「俺は4級って聞かされてたんですけど、はぁ…またあの人その辺適当にしてたな」
へぇ、私たちは4級に位置付けられていたのか
まぁ、呪術師って家系とか才能が直結しているらしいから一般家庭から出てきた私たちなら一番下の4級が怪しまれないのか
『フフ…一番下とは
お狐様の何年ぶりって重みが違うなぁ
その場の緊張感が軽くなり、おしゃべりが多くなってきた頃まだ説明の途中であることを知らせるように伊地知さんが咳払いを一つして注目を集める
「この業界は人手不足が常、身に余る任務を請け負うことは多々あります。ただ今回は異常事態です…絶対に戦わないこと、特級と会敵した時の選択肢は
改めて今回の任務の内容を知らせる伊地知さん
まるでその特級に会うことが
『フ…よいではないか、未知との遭遇…考えただけでも胸が躍るようじゃ』
特級との遭遇という最悪のもしもを考えていたであろう虎杖くん、伏黒くん、野薔薇ちゃんだが最悪の事態を想定した上で、その出来事をあまつさえ「楽しむ」と豪語するお狐様はとても頼もしく見えるかもしれない
もっとも戦闘場面をこのメンバーであれば伏黒くん以外に見せていないし(虎杖くんは[宿儺]と変わったので戦闘自体は知らない)、なんだかんだと理由をつけて今まで動くこと自体五条先生に止められていた現状虎の威を借る
「あの、あの‼︎
施設の入り口付近で任務の説明を受け終わったであろう時、立ち入り禁止のテープから身を乗り出す勢いで受刑者の親族から声をかけられる
伊地知さんは呪霊の被害に遭ったなどという一般向けでない返答ではなく、毒物が施設内へ撒かれたと伝えるとその親族は息子の安否を気にして泣き崩れてしまっている
母親が息子のことを想う、この光景を見た時私は言葉にできない悲愴感に囚われる。
もちろんこの歳で子供を産んだことがある訳がないし、母親が子供のことを想う気持ちも理解できるがまるで他人事ではないような自分が体験したことがあるような心臓の奥が締め付けられる想いになる。
恐らく…いや確実にこの気持ちはお狐様の感情なのだろう
1000年以上生きてきた人だ、その中で息子との別れなんて幾多もの経験があるのだろうことがその感情の一端が流れ込み伝わる
「伏黒、羽衣、釘崎…助けるぞ」
「「当然」」
野薔薇ちゃんと私は力強くしっかり前を見据えて応える。だが不思議と伏黒くんは乗り気がないとは言えないまでも、モチベーションは低く見えた
生存者が取り残されている宿舎の前まで行くと
「
-闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え-
伊地知さんが帳と呼ばれるものを張ると施設を中心として、黒いカーテンのような結界が展開される。
「夜になってく〜」
『ほう、空を覆う
「
伏黒くん曰くこの帳というものは様々な効果があるが今回の場合、隠蔽性のある帳とのこと。さながら遮光カーテンである
取り残された人がいる宿舎に突入する前、伏黒くんは[玉犬]という式神を影から出す
「呪いが近づいたらこいつが教えてくれる」
白いもふもふとした毛並みのオオカミに見える[玉犬]という式神はどうやら索敵に秀でているらしい
すごく愛くるしいけどお狐様の尻尾の方が毛並みがきれいだから私たちの勝ちですね
『ん?なんじゃ妾に気があるのか』
玉犬はこちらに近づき耳をぴょこぴょこさせ、見るからに人懐っこく頭部をなすりつける
お狐様も狐で見た目は同じイヌ科だからだろうか[玉犬]は私たちに寄り添い尻尾を振っている
『フフ…かわいいやつじゃのう、くるしゅうないぞ』
お狐様もまんざらではないようで、[玉犬]の頭を撫でているが虎杖くんと野薔薇ちゃんが羨ましそうにこちらを見ている
「いいな〜すげぇ懐いてるじゃん」
よほど羨ましかったのか虎杖くんもわしゃわしゃと[玉犬]の首元を撫でると嬉しそうにしているが、お狐様ほど懐かれていないようである
「おい、そろそろ行くぞ」
伏黒くんは五月蝿いなどの悪態をつけるかと思ったが反応は意外とドライである。思うに自身の手に余る任務と理解してからなのか緊張から構う暇がないのだろう
伏黒くんの言葉を皮切りに私達は生存者の待つ宿舎へと入っていく
一瞬視界が暗点したかと思うと目の前に広がるのは空も見えぬスチームパンクな蒸気ダクトやボイラーが群れをなす世界。あえて世界と表現したのはなまじ2階建ての宿舎に見えない作りになっており、
「扉は⁉︎」
伏黒くんが私達が入ってきた扉に振り返り、つられて私達も振り返るがそこにはダクトで敷き詰められた壁が羅列していた
入ってきた扉がないこの異常事態に虎杖くんと野薔薇ちゃんはもう踊るしかないと言わんばかりに慌てているが、伏黒くんの式神[玉犬]が出入り口の匂いを覚えているとのこと。イヌ科はやはり優秀ですね
『自分の世界に招待するとは、ここの
「ここがどういった場所か…あなたはわかるようですね」
『当然じゃろう…さぁ、ここの主人にアポイントはとっておらぬが妾が来たのじゃ、もてなしてもらおうかのぅ』
お狐様は軽口を交えながら裏路地のように出来上がっている一本道を進む
尚、お狐様の軽口に反応した虎杖くんの「みんなを助けるぞ」の意気込みに気を落とす伏黒くんであった
人間2人が横に並ぶほどしかなかった一本道をしばらく進むと、中学校のプールを思い出させるかなり広い空間へと抜ける
下まで伸びた梯子を降りるが、その長さは2
「
虎杖くんが何かを発見したのを確認し、近づくと取り残された受刑者5名のうち3名の遺体を発見した。上半身のみが残った死体と残りの2人はヒトの原型をとどめておらず無惨な光景が広がる
「この遺体は持って帰る、あの人の子供だ。顔はそんなにやられていない、遺体もなしで"死にました"じゃ納得できねぇだろ」
この虎杖くんの言葉を皮切りに、虎杖くんと伏黒くんの言い争いが始まってしまった。片や死体を持って帰りたい虎杖くん、片やそもそも助ける気のなかった伏黒くんとその問答を離れて見守る構図である
『死体を持って帰りたい意見には妾も賛成じゃ、だが問題を片付けた後の方がよいのぅ。それと伏黒、式神を下がらせたほうがよいぞ』
「は?」と伏黒くんが反抗的な聞き返しをした瞬間、[玉犬]がいなくなっていることに伏黒くんは気づき辺りを見ると壁から首だけを出して死に体となった[玉犬]がいることを確認する。尻尾を使えば間に合っていただけにあのもふもふは若干悔やまれる
◆◆◆
[玉犬]が周りを離れて死体になっていたことから羽衣狐を除く3人の警戒レベルが上がる
ぴちょんと水滴がどこかから落ちた音が聞こえた次の瞬間、音もなくぎょろぎょろとした4つはあるであろう目を近づけた呪霊と接敵する。その距離、虎杖と伏黒を挟んでの半歩ほど離れた位置である
『ほれ、
羽衣狐はいつも持っているスクール鞄から鉄扇を取り出しそれを広げて
『これは妾が"
鉄扇が巨大化したかと思うと普通のサイズに戻り、それを口元を隠すように羽衣狐は構える
『…未知の体験に胸を膨らませておったのじゃが、所詮はただの獣じゃな』
お疲れ様です
少年院の特級呪霊が終わるところまで書くつもりだったのですが、月末の忙しさゆえ羽衣狐様を綺麗に魅せれたと思った辺りで区切らせていただきました。本当に申し訳ないです…
最後の捨て台詞別の方が言ったら確実に死亡フラグですよね…
ところでぬら孫見返して気がついたのですが京都辺りの話大体10年くらい前なんですね………この話はやめておこう
本作での羽衣狐様のあなたのイメージをお聞かせくださいませ
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イメージと違う、こんなのお姉様ではない!
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ええと思うよ、羽衣狐可愛らしゅうて