転生先をミスった羽衣狐が居るらしい、まぁ妾なんじゃが… 作:山吹乙女
前回お気に入り数500に驚いておりましたが現時点で800を超え、あろうことか総合評価も4桁台を突破しており恐悦至極でございます。いやもうめちゃくちゃ嬉しくてニヤニヤが止まりません。本当にありがとうございます!これからも何卒よろしくお願いいたします!
そして毎度ながら誤字報告助かっております。ありがとう…ありがとう…(藤岡弘並感)
何が起こった?…混乱した頭で弾き出されたのは疑問である
突如として現れた特級に相当する呪霊、二級呪術師である自分が敵うわけがない相手
その呪霊を羽衣の術式であろう巨大化した鉄扇で叩き飛ばす。目を開けづらくなるほどの風圧で髪は大きく揺れ呪霊は土煙を立てながら壁に激突する。当の本人は
反して自分は肌も触れ合いそうな位置にいながら圧迫感から身動きひとつ出来ず、額から脂汗を流すしか出来ずにいた
『…未知の体験に胸を膨らませておったが、所詮ただの獣じゃのぅ』
ただの獣?
呪霊の頂点に位置する特級相手にただの獣だと⁉︎…宿儺や五条先生を軽くいなしていたことから尋常ではない強さであることは理解していたがここまで次元の違う人物。全くもって敵でないことを幸と思うか、このような存在が自分の近くにいることを不幸と思うか
ただ今回に至っては羽衣が近くにいなければ、それこそ俺たちでは命の危機であることを考えると幸運であったことを認めるしかないだろう
『ふむ…ただ吹き飛ばしたつもりだったのじゃが、四肢が千切れかかっておるではないか』
巨大化した鉄扇をまるで物理法則を無視したように軽く振るう圧倒的なまでの膂力をもってしたら、その衝撃で手足が千切れるのは当然のことのように感じるが完全に千切れていないのは特級故だろう
「妖子ちゃん…ちょっと!めちゃくちゃ強いじゃない!」
「すげぇよ羽衣!」
『ふふ…可愛い奴らじゃのう、じゃが敵から目を逸らすのはご法度じゃ、まずはそこから教えんとのぅ』
羽衣から目を逸らすなと言われた虎杖と釘崎はハッとした顔をした後、壁にめり込みまだぐったりしている特級呪霊に向き直る
よろよろと立ち上がる特級呪霊、千切れかかっていた手足は断面から泡のように皮膚がせり出て何事もなかったように顔に笑みを浮かべ口を吊り上げる。「この程度か」とでも言いたげに特級呪霊は威圧的にこちらを
『力の差もわからぬような
「「「は?」」」
『心配せずともただの余興じゃ、危ういなら妾が手を貸してやる。だが…今後あやつのような存在に出会っても、無力にただ逃げるだけなんかえ?』
言ってることは無茶苦茶だ。特級呪霊なんて対峙するものでもないし、それこそ交通事故に遭うようなものである
「俺は…やるぜ、伏黒、釘崎」
「バカじゃないの!?特級よ特級」
「じゃあなんだよ、釘崎は羽衣だけ戦わせてそれでいいってのかよ」
ただ、虎杖の言っていることは一理ある
今後[宿儺の指]を回収することを考えれば特級と対峙することなんて一度や二度では済まないだろう
今回は羽衣がいたからよかったものの特級と出会えば俺たち個人の力では全滅すら視野に入るほどだ
レベルアップは必ずしなければいけない課題、その機会もしくは切っ掛けが今あるとなればやってみる価値は確かにある
「俺も、やってみようと思う」
「伏黒まで…あーもう!やってやるわよ!」
『決まりじゃな、それ…開始じゃ』
羽衣は俺たちが横に並んで構えている一歩引いた位置でパンッと手を叩き開始の合図をした
特級には理解できない行動なのでこの合図は完全に俺たちに対してである
先制攻撃として俺が選んだのは式神の一つ[
射程にも優れ、拘束させるという点は連携戦で有利が取れる
大蛇が特級を下半身を呑み込むような形で噛みつき、身動きが取れなくなったのを確認してさらに畳み掛ける形で追加の式神を呼ぶ
「
仮面をつけた大型の
鵺はその体に帯電性を持ち、触れるだけで通常の術師であれば身体の痺れがしばらく取れないほど強力である
こちらも連携戦として考えた時、味方のアシストとしても追い討ちとしても重宝する
「虎杖、釘崎、特級はしばらく動けない、一気に攻めるぞ!」
「よっし!こんなやつさっさと祓って親御さんに遺体届けるわよ」
「おう、当然だ!」
◆◆◆
「それにしてもすごい猛攻ですね。格上相手とは思えない押しっぷり」
『ふふ…別に珍しくもないのぅ、あやつらは目の前の存在に
"
つまり強大な敵と対峙しても怖気付かなかったということか
『それにしても鵺か…何の因果かのぅ』
「お狐様はあの鵺をご存知なんですか?」
『フフ…そうじゃのう、あえて言うならあの鵺は知らぬな』
あの鵺ということは別の鵺は知っていると言うことか、あえて返答をぼかしたということはあまり言いたくないことかいまは関係がないことってことだから詮索するにしてもまた今度にしようかな
特級は伏黒くんの式神だと思う大蛇を衝撃波のようなバリアを展開してその自身に噛みついた顎ごと消し去る
それまで特級の拘束中に野薔薇ちゃんは金槌で釘を飛ばして刺さった腕の肉を抉るように吹き飛ばし、虎杖くんに至っては人間離れした身体能力で縦横無尽に動き呪具[
だが…それは拘束され電撃で痺れて身動きのできない相手であったが故の戦果であり、拘束を解き身軽となった状態では話が別である
それならまた同じように拘束すれば良いと考えられるかもしれないが、繰り返し大蛇を使っていない点から見て一度破壊された式神は再度使用は不可能となってしまうのだろう
既に野薔薇ちゃんと虎杖くんが落とした特級の両腕は、断面から新たに腕が生えた形となって再生している
先程まで攻勢であったが途端劣勢に…いや、特級側は腕の再生を行いエネルギーを使っているから五分かやっぱり伏黒くんの式神一体分の劣勢のように見て思う
「小僧、俺に代われ、あんな虫ケラすぐに終わらせられるぞ」
久々に虎杖くんの頬に口が現れ、宿儺が口を開く
一応危なくなった時、すぐに助けれるよう近くで観戦していたから左頬に出来た口がよく見える
「嫌だよ、それだと俺が強くなれねぇし、お前に代わったらどうせ羽衣を襲うだろ」
「当然だろう、あの生意気な
うわぁ…殺すっておっかないですね
前に気絶させたのまだ根に持ってるんですかね
「お前には代わんねぇ、そこで大人しく見とけ」
「虚勢を張るのは構わんが、いいのか?このままではお前死ぬぞ」
ニヤァと口角を吊り上げたい理由は、宿儺との会話に気を逸らしてしまった虎杖くんに向かって放たれようとしていた特級の攻撃。野薔薇ちゃんと伏黒くんが虎杖くんに声をかける間もなくその右ストレートが虎杖くんを襲おうとしていた
『まったく…敵から目を逸らすなとさっき教えたはずじゃが、おぬしには本格的な教育が必要なんかえ?』
「すんません!羽衣様、勘弁してください!」
お狐様は鉄扇で、特級の振り抜いた拳を虎杖くんの間に割って入り受け止める。並の呪具ならすぐに壊れてしまうような衝撃が伝わってくるが鉄扇もその拳を受け止める私たちも全くの無傷である
「チッ…女狐如きが、余計なことをするでない」
『フン…余計かどうかは妾が決めることじゃ、おぬしに言われる筋合いはないのぅ』
お狐様が特級を受け止めている間、野薔薇ちゃんが切り落とした特級の腕を使い術式を行使するのが見える
取り出した藁人形を切り落とした特級の腕に置き、釘を撃ち込むと受け止めている鉄扇が軽くなったことを感じる
この時私たちは知らなかったがこの術は[
ただ対象との実力差や欠損部位の希少価値によって効果が変わるようなので、この場合だと腕という希少価値はあっても特級との実力差が離れている為決定打とはいかない
特級は見てわかるように苦悶の表情を浮かべ心臓部を押える。決定打にならなければ何度も打ち込めばいいという解決策のもと二度、三度と繰り返すがその
「決めるぞ!伏黒」
「タイミング合わせろよ」
その隙を見逃さなかった虎杖くんと伏黒くんは接近戦で勝負を決める。伏黒くんは呪力の籠った拳を、虎杖くんは[屠坐魔]を突き出す。二人のタイミングに合わせ四度目の釘を撃ち込む野薔薇ちゃん
全ての攻撃が同時に通る…ぐったりと倒れ伏せ、蒸発するように特級呪霊は消え失せる
幾たびの斬り付けに耐えきれなくなったようで、虎杖くんの手にあった[屠坐魔]は刀身にヒビが入り綺麗に砕け散る
特級が消えたと同時に歪んでいた空間が元に戻り、辺りは通常通り学生寮のような見た目の通路へと戻っていた
「…終わったな」
「あー疲れたわ、今日はもう動きたくないわね」
伏黒くんは先程の戦闘を噛みしめるように自分の手を見ながら俯き、野薔薇ちゃんは廊下の壁に肩を寄り添わせてぐったりとしている
戦闘時間そのものは意外にも短く方がついたようにも思うがその短い中、命の危機に晒され集中状態を維持していたのだから精神の摩耗は想像以上だろう
ただ虎杖くんも疲れているはずなのに遺体を探していた
辺りを見るに展開されていた特級の領域ごと消えたと思うが「もしかしたら」と、一抹の希望を持って探していたけど発見したのは特級が取り込んでいた[宿儺の指]だけであった
心残りを感じるなんとも言えない表情の後、帰りに自分であの親御さんに報告をすると意気込み切り替えている。前々から思っていたいたが虎杖くんの他人に対する思いやりは尋常ではないことを改めて気付かされた
ちなみに虎杖くんが拾い上げようと手に取った[宿儺の指]は掌にできた口に吸い込まれていき、取り込まれた形となった。掌にもあの口出来るんですね
◆◆◆
特級が発生して数日後、ビルの立ち並ぶスクランブル交差点に一人と三体の一向が街を歩く
あえて三体と呼称したのは二重の意味で普通の人に見えない
肌の色は白を混ぜた青色の一つ目の異形、頭部は活火山よろしくグツグツと煮立っている
「わざわざ貴重な指を1本使ってまで、確かめる必要があったかね…宿儺の実力」
その異形の存在と会話をするのはどこかの寺の住職を思わせる風貌の青年。だが長い髪をオールバックで後ろに留め、針で縫った跡のある額を見せていた
「中途半端な当て馬じゃダメだからね、それに予想外の収穫もあったさ」
「フンッ、言い訳でないことを祈るぞ」
人の行き交う駅付近から外れ、カフェテリアが立ち並ぶ落ち着きのある通りへと出る
「情報ではこの辺りだったけど…あー居た居た。そこの店でお茶をしてる彼女がその予想外の収穫だよ」
青年が指を刺す先には黒き髪と黒きまなこ、そして黒き
「あの女が、か?ただの学生に見えるが、それのどこが予想外なんだ」
「彼女は恐らく仮想特級怨霊、"九尾の妖狐"その進化体が受肉した存在だよ」
「恐らく?なんとも不確定な情報なのだな」
情報自体は不明瞭でシコリを残した回答に苛立ちを覚える一つ目の異形
「仕方がないよ、私の情報網でも彼女の存在は謎ばかりなんだ。彼女の経歴は宿儺が受肉したタイミングで高専関係者と関わる以前はどこにもめぼしい点がない。呪術師や呪いの関係が全くない一般家庭から生まれたと来れば尚更さ」
「だから生まれたそのタイミングで既に受肉体だったのではないか、と言いたいわけだな」
「話が早くて助かるよ」
一つ目は青年の話に興味が出てきたと言わんばかりの表情を出す
通常で考えても呪いが受肉する例は稀で、まず起こらない事態と考えるのが妥当である。だが、"宿儺の器"虎杖悠二の例もあり可能性そのものは存在するがそれは宿儺の指という特級呪物を前もって用意していたがための可能性である。では何の前触れもなくただの突然変異で、生まれたその瞬間から呪いの受肉体として生きてきた彼女はどうなるのか…その事象そのものが一つ目の興味を引き出す
「それで、あの女は強いのか?予想外というのだから実力はあるのだろう?」
「そうだね…あれは完全に両面宿儺クラスの化け物だと思っておいたほうがいいよ。君たちの目的ならこれほどの存在は他にいないんじゃないかな?」
「それほどの存在には見えんが…それが本当なら仲間に引き込めるのならありがた…」
一つ目が青年に対して返答している途中であったが、青年は最後まで聞いておらず少し歩いた先にいる
その行動に一つ目は怒りの感情を見せ、頭部の活火山をグツグツと煮えたぎらせる
お疲れ様でした
宿儺ファンの方には喧嘩を売りっぱなしですね…でも今回に限っては虎杖、伏黒、釘崎の3人が揃って特級倒す熱い展開が欲しかったんです!ごめんなさい許してください
本作での羽衣狐様のあなたのイメージをお聞かせくださいませ
-
イメージと違う、こんなのお姉様ではない!
-
ええと思うよ、羽衣狐可愛らしゅうて