親の借金で素直じゃない幼馴染のペットになったけど、俺への好意が丸見えです   作:和鳳ハジメ

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第48話 グレート・ピンチ

 

 

 早乙女敦盛・脇部英雄包囲網はじわりじわりと縮まって。

 狭い、とは言わないがあくまで教室として普通のサイズである。

 一角に追い込まれてしまえば、もう逃げ場は無くて。

 

(いやぁ、久々に追いつめられちゃったなぁ。僕もまだまだ想定が甘い、――この場合は溝隠さんが上手だったってコトかな?)

 

(ふっ、先生。アタシはアンタを甘くみないわ。ええ、あっくんを覗けばこの学校一厄介な相手。――でも卒業生ってのが仇になったわね)

 

(この感じ……、もしかして脇部先生でもダメなのかッ!? いや信じろッ、先生と竜胆と円をッ!! まぁ正直言って盾にしかならなさそうだけどよッ!!)

 

 がるるとスマホ片手に威嚇する円、拳を握りしめる竜胆。

 包囲する生徒も鞄などや、ガムテープを構えて交戦の構え。

 何かの拍子に、大混乱が起こる。

 誰もがそう確信していたが――――。

 

「脇部英雄はッ!! 私の夫はここだなッ!!」

 

「あれっ!? フィリアってば何でココにっ!?」

 

 ドアがガララと開けば、登場するは金髪の美女。

 それも怒り狂った、と表現するのがピッタリの。

 どうやら脇部先生の知り合いらしいが、とても聞けるような感じではない。

 

「ほう? 良いご身分だな英雄……生徒に囲まれて実に楽しそうだ」

 

「うーんそう見える? でもちょっと修羅場ってるから後にして欲しいな」

 

「妻の頼みでもか?」

 

「今の僕は教師だからね」

 

「ところで話は変わるが、君が不倫しているという話が飛び込んできてな」

 

「それって話変わってるの?」

 

「君次第といった所だな、で? 私という者がありながらどういうつもりだ? 返答次第によっては血を見る事となるぞ?」

 

 あ、これアカン流れだ。

 脇部英雄のみならず、敦盛も、瑠璃姫を除いたクラス全員が確信した。

 この美女がやってきたのは、どう見ても彼女の仕業。

 

(うわああああ、色々聞きたいッ!! あの脇部先生の奥さんッ!! 在校生の時に超ラブラブトラブルメイカーとして校内を荒らしまくった伝説の二人が今ココにッ!! でもそういう場合じゃねぇッ!! というか危険度が上がってるよな絶対ッ!!)

 

 瑠璃姫はいったい何を目的としているのか、クラスの皆に敦盛と脇部先生を狙わせ。

 そして先生への刺客として、奥さんを呼び込んだ。

 

(――――――あッ!! あああああッ!?)

 

 敦盛は気づいてしまった、これは徹底的に彼を追いつめて捕縛する作戦だったのだと。

 彼は親友と担任教師を頼った、だが恐らくそれは一番の悪手。

 

(脇部先生と封殺されたッ!? そして竜胆と円は数の暴力で押さえられるッ!)

 

 だが一つだけ状況を打破出来る可能性が残っている、それは学内最強と言われる円の彼女――伊神火澄。

 彼女ならば円の頼みを聞いて、全てを粉砕してくれそうなものだが。

 

「――――? ところで英雄、君の浮気相手と名高い赤い髪の美少女とは何処に居る? 君の受け持ちの生徒じゃないのか?」

 

「何それ初耳だよっ!? 赤い髪の……? それって三年の伊神火澄さんじゃあ――――」

 

「――――私を呼びましたか? というかどんな状況なのこれ、聞いていたのと少し違うのだけれど」

 

「お前が英雄の浮気相手かッ!! ここで会ったが百年めッ!!」

 

「うわ何この美人っ!? どうして私に襲いかかってくるのっ!?」

 

(ですよねーー、チクショウッ!! これで伊神先輩は封じられたし脇部先生もソッチに専念するしかないよなァ!!)

 

 全ては計算されていたのだ、円が火澄をこのタイミングで呼ぶ事も。

 それに脇部英雄の奥さんが居合わせる事も、そして好感度メガネの為の敦盛争奪戦があるならば。

 

「今のウチだ早乙女を確保しろ!!」「竜胆は任せろ」「円は俺が」「俺は先生を」「アタシも先生を!」「よーし半分は三人に回せっ! 残りは敦盛だっ!!」

 

「ぬおおおおおおおおおおおッ、俺は逃げさせて貰うぜえええええええええ!!」

 

 敦盛は必死になって逃げ出す、そんな彼の背に。

 

「ごめんね早乙女君っ!! 必ず助けに行くから――はいはいフィリアも伊神さんもちょっと待ってね、今誤解を解くからっ!」

 

 脇部英雄、動けず。

 

「テメェらマジで妨害すんのかよ、少しは敦盛の味方しろってんだ!! ――――って奏!? テメェその手錠は何だ俺をどうするつもりだああああああッ!?」

 

 入屋見竜胆、むしろピンチ。

 

「ダメだ竜胆っ! 友情より裏切りの利益だよ! まぁ俺達も敦盛相手じゃなけりゃ裏切るしそんなもんだよね――――あ、はいはい押さえて押さえて火澄ちゃん、先生の奥さんは敵じゃないからっ!! いやまぁ他のヤツらは殴ってもいいけど」

 

 樹野円、愛する彼女を押さえるのに必死で。

 つまる所、敦盛が頼みの綱としていた者達が全員封殺されたという事であり。

 

「待て敦盛いいいいいいいい!」「俺のバラ色の学校生活の為の犠牲となるがいい!!」「抜け駆けすんじゃねぇあのメガネはオレが手に入れるんだ!!」「男子にメガネを渡すな!」「女子は協力するわよ!」「ええ、早乙女君を手に入れた時には報酬は順番で!!」

 

「どうしてこうなったんだよッ!! 俺に安住の地は無いのかよおおおおおおおおおおおッ!! マジで泣くぞッ!! ギャン泣きすっぞオラアアアアアアアア!!」

 

 学校を舞台に、敦盛のみを標的とした鬼ごっこが始まったのであった。

 

 

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