第7話
三人称
「皆ここに居たのか」
「ってことは、もう大体のことは聞いているね」
優鬼が話しているときに後ろから千冬とマドカがやってきた。二人とも仕方ないとはいえ皆を巻き込んでしまった(勝手にかかわった人1人)優鬼たちに対し「困った」というような顔をしている。
「ええ。巻き込んでしまったので、謝罪を兼ねて僕たちのことを少し知ってもらおうかなと思い話しました」
「いくらそうだとしても私の生徒を巻き込んだことには感心しないな、それに今はいつも通りでいいぞ」
「ああ、判ってるよ千冬姉。襲われたいる状況の中で千冬姉の生徒だ云々と考える暇がなかったんだ」
「それに、彼女たちが自ら僕たちの事情について聞きたいとも言っていたし、ましてや篠ノ乃さんは一夏の後ろからついてきて観ていたともいっていた。ここまで来て『秘密だよ。』とわ僕も言えなかったんだよ。千冬さん」
「でも、お兄ちゃんも優鬼君ももう少し気をつければどうにかなったんじゃない?変なところで自分たちの事情が漏れることだってあるんだよ?」
「もしそうだとしても、僕自身は学園内に2~3人ほど事情を知っている人がいてくれた方がいいかなと思ったんだ。そうなれば妖怪・怪異やホラーからこの学園の生徒たちの被害を予防できると思うから」
「妖怪?」
「怪異?」
「ホラー?」
「何だそれは?」
その話を聞いていた4人は上から本音・簪・セシリア・箒と順番に聞いてきた。
「あっ、そうだった。そっちのことについても話さないといけないんだった」
「うん、そうだね」
「そっちのこと?」
「僕たちの敵についてさ。さっき戦ったあいつら」
そういうと4人は目を見開き始めた。簪はその言葉から先ほどのホラーとの遭遇からか、体を震わせてしまったが、隣に居る本音に慰められ何とか持ち直した。
「続けるよ。まず最初に妖怪について。っていっても大体分かると思うけど日本古来に存在するモンスターだね。でも僕たちが戦うのはそういう奴らじゃなく、『機械化』した奴と戦うんだ」
「『機械化』?」
「妖怪は元々実体はない。だから妖怪が人を襲うことはまず無いんだ」
「妖怪なのに?」
「正確には、人を襲わないけど驚かすことが多いかな。で驚かした後は人間がその地その地に居る『土地神』に祈らせるんだ。それで妖怪たちは自分たちのご飯が食べられるんだよ。ちなみに妖怪たちにはちゃんと当主がいてそれで妖怪たちの治安を守っているんだ」
「へえ~そうなんだ~。ん?それじゃあさっき言っていた『機械化』って?」
「『機械化』は簡単にいえばその当主からはぐれた妖怪が自らの欲望を抑えることができず人間を襲うのに必要な体といった感じかな」
「なんか、怖い」
「ああ、正直に言ってあいつらは、人間を食うために動いているようなものだからな」
「出会ったら『逃げるが吉』ってやつだけどね」
「そして次に怪異についてだが、これは正直あまり関わらないほうがいい」
「どうしてですか?」
「こいつらは言わば『自然災害』のようなものだ。神様のような奴や幻獣といった奴らだが、そこまで私たちに害がある訳ではない」
「では、どうしてそのような存在を敵として観ているのですか?」
「正確には、偶然関わってしまった人間には害になることがある」
「偶然?ってことは滅多に会うことがないってことですか?」
「まあそうなるな。そしてその怪異が起こしてしまう現象を優鬼たちが対処しているという訳だ」
「ほえ~~。なんか霊媒師見たい~」
「そして次がホラーだね」
「それって、さっき私たちを襲った怪物のこと?」
「うん。このホラーは『魔戒』って呼ばれる世界からこっちの人間界にやってきて人間を餌にしているんだ」
「そんな奴らがこの世界に居るのか」
「そしてこのホラーは、厄介なことに人間に『寄生』するんだ」
「えっ!寄生!」
「うん!……どちらかというと『憑依』に近いけどね」
「それでその人たちをさっきのゆうゆうみたいに助けてあげるんだね~」
「………残念だけどそうじゃないんだ…」
「「「「えっ!」」」」
「本当はこのホラーに関してはそれを専門にする『魔戒騎士』っていう人たちが戦うんだけど」
「「「「だけど?」」」」
「……ホラーに取りつかれた人たちは……助けることができないんだ……」
「「「「なっ!」」」」
「でっ、でも優鬼君さっきの女の人を助けたよ?」
「だって僕は『魔戒騎士』じゃないもん」
「そっ、それじゃあさっきのあれは?」
「あれは僕の力の一つ『神の力』の能力で『異常状態からの浄化』っていうんだけど、それはあの女の人がホラーに取りつかれているという『異常』の状態から『浄化』。つまり回復に近いことをしたんだ」
「そっ、それではホラーに取りつかれた人たちはもしかして」
「……皆死んでいるよ。僕と違って『魔戒騎士』達は普通の人間だもん」
「なんだその言い方は、まるで自分は人では無いみたいじゃないか」
「人間じゃないよ、僕は」
「「「「えっ!」」」」
「僕は生まれつき『鬼の力』と『神の力』を使うことができるんだ。そして僕自身どういう人間の間に生まれたのか全く知らない」
「両親を知らないってこと?」
「そうなるね。でも今は義理の父さんがいるから寂しくないよ。それに一夏たちもいるしね「それに、今の家には他にもたくさんの弟たちがいるしな!」
「いろいろ大変だけど、皆と居ると私は安心する。お姉ちゃんや優鬼君、お兄ちゃんたちが家族だからそれだけで楽しいよ」
「それにな、優鬼はこんなことを言っているが私たちはこいつを人間だと思っているよ。ただ周りの人間には持っていない力があると言うだけで根は優しく強い奴だから私たちはこいつの家族になることにしたんだ」
話を聞いている4人は何故だか知らないが優鬼たちは家族という絆がすごく深いのだと思った。だからこそ、彼らは強いのだとも思った。
「それからもう一つだけ」
「えっ!なに?」
「ホラーにあったら絶対に攻撃しないでね」
「なぜだ?危険がそこに居るのに」
「ホラーを攻撃してしまうとホラーの返り血を浴びてしまうからさ」
「返り血を浴びるとどうなるんですの?」
「魔戒騎士に殺される」
「「「「えっ!」」」」
「ホラーの返り血を浴びて100日を迎えてしまうと異臭を放ちこの世とも思えない声を上げ苦しみながら死んでしまうんだ」
「そっそんな!」
「それにホラーも襲いやすくなるから危険でもあるんだ」
「なっなんか怖いよ~」
「だから皆気をつけて行動してね」
優鬼の忠告から4人は驚愕と不安に駆られながらも優鬼たちをしっかりサポートするために顔を引き締めて力強く頷くのであった。
おまけ
「あっそうだ!一夏。今度のクラス対抗戦は一夏がクラス代表ね」
「なっ!なんでだよ!お前が出ればいいだろ!」
「僕が出ると出来レースになりそうだから」
「そんで本音は?」
「面倒くさい」
「お前ーーーーーーー!」
「あっ!千冬さんに言ったら『フン!初めからそのつもりだ!』とか言ってたよ」
「千冬姉ーーーーーー!」
今宵も夜が更けていくのであった。