番外編その1
???SIDE
とある高台にてボロボロの黒いコートを着た男がとある場所を見ながら周りに誰もいないのに突然喋り出す。
「そういえば最近ISで二人の男が入学していたな」
〈なーに『絶狼』。まさか全生徒が女の子だからって羨ましいとか思っているの?〉
「まさか。ただその二人の男に会ってみたいのさ。別にやましいことなんてないよ」
〈そうね。ISは女でしか扱えないのに男が二人もISを動かすなんて。不思議よね〉
「そうだな。でも、すぐに会うことになるさ」
その男は一人しかいないのにどこからか声が聞こえる。その声は男の手の甲についているアクセサリーから聞こてくるのだ。そして男は手に『赤い封筒』を取り出して意味深な笑みを浮かべながら後ろにあるバイクに向かって歩き出した。
優鬼SIDE
「一夏!相手が遠距離だからって回避してばかりだったらエネルギーが減るんだぞ!考えて動け!」
「んなこと言われても!斬りこめるタイミングがまだ掴めないんだよ!」
こんにちは。僕は八神優鬼。今は一夏のISの訓練を遠くから指示を出しながら付き合ってるんだけど……いくらなんでも動きが酷すぎる。ブレイドの時はほぼ生身と変わらない動きができるんだけど、ISになるとまあ酷い!オルコットさんに手伝ってもらっての訓練なんだけど遠距離からの攻撃に対して回避してばっかり。こういうのは相手の攻撃のタイミングを即座に見計らって攻撃を仕掛けるんだけど………一夏は避けてばっかり……いくらでもチャンスがあったのに……そして……
「一夏!エネルギーがゼロだ!何やってんの!」
「あんな遠距離から避け続けるのに精いっぱいなんだよ!無理言うな!」
「無理じゃない!例えばオルコットさんの狙撃には最初は正確だけどお前が動き続けてるときに少なからず照準がズレてきてるんだ!そこはチャンスだと思わないのか!」
「そっ!そんなズレがあったのですか?」
「優鬼!それはお前の観察する時間が早いってだけだろ!IS素人の俺には動きながら観察するのは無理に近いんだぞ!」
「ハアー……判ったよ。いい練習方法がある。これはオルコットさんもやってみて」
「なんだよ。その練習方法って?」
「一夏。観察する時に一番情報を収集するのは体の器官で言えばどこだ?」
「なんだよ。目じゃないのか?」
「確かに目もそうだけど他には?」
「耳と鼻とーーこれくらい?」
「後は肌と気配察知だよ。これができないと戦うものも戦えない」
「でもよ、ISはハイパーセンサーがあるんだぜ?」
「確かにハイパーセンサーによって視覚と聴覚といった『知覚』に関するものを補佐はできるそれにISじゃあ鼻も肌も使うのは難しい」
「じゃあどうするのですか?」
「そこで出てくるのは『気配察知』。これは人間の基本的な五感を働かせて気配や殺気といった人間の『氣』に関するものに敏感に反応できるんだ。オルコットさんもこれを取得できれば楽に戦えると思うよ」
「でも、どうやって練習するんだよ……」
「それは……」
そこからは一夏の今後の練習についていろいろ話しながら今日の訓練は終わった。でも疲れた―ただ教えるだけでこんな疲れるとは思わなかったよ。そんなことを考えながら廊下を歩くと視線の先からマドカがこっちに向かって走ってきた。
「優鬼君!こっちに居たんだ!ハアハア!」
「どうしたの?マドカそんなに走ってきて」
「優鬼君にお客さんが来ててすぐにお姉ちゃんの所に言って欲しいの!」
「お客さん?誰だろう?」
僕はマドカから来客のことを聞いてすぐに千冬さんの居る来客室に向かった。本当に誰だろう?そんなことを考えながら来客室の目の前に到着した。ドアの前に立ってノックをする。
「誰だ?」
「八神です。僕に来客が来ていると伺いました」
「よし入れ」
僕は入室の許可をもらい中に入る。そこにはいつもの黒のレディーススーツを着ている千冬さんと見知らぬ黒コートの男が中に居た。
「失礼します。こちらの方は?」
「紹介する。先程学園に訪れた『涼邑零』さんだ。お前に用があってこちらに来てもらった」
「自分に用事ってどんな?」
「そこから先は俺から話しますよ。お姉さん」
「気安くそんなことを口にするな!」
「ハイハイ。涼邑零だ。お前に用というのはホラーについてだ」
「っ!」
僕は目の前の男『涼邑零』さんからホラーのことに聞かれた時、驚愕と同時に攻撃態勢に入った。どうしてそんなことを?
「おいおい待ってくれよ。俺は別にお前と戦いに来た訳じゃない。ただ話をしに来ただけさ」
「僕はホラーのことなんて判りません。お引き取りください」
「そうはいかないね―、以前一回だけだけどホラーの気配を感じて番犬所から討伐命令が下されたんだ。でもそこの管轄に居る魔戒騎士が突然ホラーの気配が消えたことに驚いていたよ。それで俺が調査として学園に来たんだ」
「それでなんで僕なんですか?別の人かも知れないのに」
「それはこいつがお前から異質な気配を感じたからなんだ」
涼邑さんはそう言って手の甲を僕の方に向けて自分の胸に当てた。そこには上がオオカミで下が人間の口のような顔をしたアクセサリーがあった。
〈ええ、間違いないわその子から異質な感じがするわ〉
「っ!」
嘘!このアクセサリーが動いた!これが魔道具ってやつ!すごい!
「なんか……すごいキラキラ顔をし始めたぞ?」
「ハアーこいつはな珍しいものを見ると途端に興味を湧き始めるんだ」
「すごい!こんなアクセサリー初めて見た!えっどうやってできてるの?」
〈あらあら、こんな若い子に興味を持たれるなんて私もまだまだってところかしら?〉
シリアスな雰囲気が優鬼のせいでブレイクしてしまったのはさて置き僕たちは先程の話に戻っていくのであった。