第9話
優鬼SIDE
今は放課後。生徒たちは勉強や部活、または友達と遊んだりと皆さまざまな形で放課後を過ごしている中、僕と鳳さんは千冬さんや山田先生の居る職員室に向かっていた。その間何の会話もなく僕たちは職員室に到着した。
「失礼します。織斑先生はいらっしゃいますか?」
「居るぞ。どうかしたのか?」
「織斑先生。少し話があるのですが、よろしいですか?」
「ふむ……わかった。生徒指導室にて話をしよう」
千冬さんがそう言うと僕たちは職員室から出て生徒指導室に移動する。途中で千冬さんと合流して生徒指導室に着くと千冬さん、鳳さん、僕の順番に座る。
「さて、話とは何なんだ?」
「千冬さんお久しぶりですね。1年ぶりです」
「ああ久しぶりだな。だが本当にただ久しいからと私を呼んだのか?」
「いえ、今からお話しするのは、隣に居る優鬼についての話ですよ」
鈴SIDE
私は正直に言ってコイツ《優鬼》と一緒に居たくない。コイツのせいで一夏達が危険にさらされるのではないか、と考えてしまうから。
「話を始めるより先に知っておいて欲しいことがあります」
「?なんだ」
「私は、ホラーという奴から人間を守る『魔戒騎士』のサポートをする『魔戒法師』という人間です。それも中学の時からずっと……」
「中学からだと?」
「小学校の時は学校の授業が終わった後、家に帰ったら『魔戒法師』修行をずっとしていました。それは日本に留学した時も同じです」
「では、お前がその『魔戒法師』になったのは中学のいつぐらいからだ?」
「中学に入ってすぐ……それから中国に帰ってからはISの訓練がほとんどでした」
「……ならば、お前がここに来たのは中国政府だけでなく……」
「番犬所からの指令でここに居るホラーを狩る者を支援しろとのことでした」
「そうか……」
「……なんでそんなに驚かないんですか?」
「ん?」
「私は千冬さんや一夏には知られていないとばかり思ってました。ですが、千冬さんの態度を見ていると、もう殆どの事情を知っているような顔をしています」
「事情も何もそこに居る八神と過ごしていると、面倒なことが多かったからな、色々と耐性が付いてしまったよ」
そんな……もうすでにコイツのせいで危険なことに巻きこまれているっていうの!それじゃあ一夏も……
「……千冬さん……」
「?どうしたのだ?」
「……私の指令は優鬼と……コイツと共にIS学園に現れるホラーを討伐することでした……」
「そうか、八神と共にな……」
「ですが、今回の指令は正直に言って受けたくなかったんです……」
「?何故受けたくなかったんだ?」
「……コイツは千冬さんや一夏を危険なことに巻きこんでしまう……その元凶と一緒に戦えなんて言われて素直に『はい』なんて言えるわけないわよ!!」
「何を言うのかと思いきや……そいつが居て救われた人間が何人いるのか知っているのか?」
「そんなことはどうでもいいわ!!私が言いたいのはコイツと一緒に居ると千冬さんも一夏も危険な目に会うのよ!!正直に言ってそんな奴と一緒に居てほしいなんて思わないわ!!」
「……お前が今何を言っているのかわかっているのか?」
「わかっているのかですって!!千冬さんこそわかっているの!!コイツのせいで今まで危険な目にあって来たんでしょ!!」
「いい加減にしないか小娘!!」
「!!」
「さっきから聞いていれば好き勝手言ってくれる。優鬼のせいで私たちが危険に晒されるだと……私も甘く見られたものだな……前に来た『魔戒騎士』は優鬼がどんな奴だったとしてもそれを受け入れたんだ。だがお前はどうなのだ?人のことを危険だと言って私たちから遠避けるようなことを言って、それで優鬼が傷つく事も考えないのか?それとも『魔戒法師』成る者は人を差別するような存在なのか?」
「!!……いくら千冬さんでもそれは言いすぎよ!それにコイツが危険なことに変わらないわ!!」
「なら……」
「「っ!」」
「君と僕とで手合わせしようよ。そうしたほうが手っ取り早いでしょ?」
コイツ!何を言ってるの!でもいいわ素人のアンタが小さい頃から訓練してきた私とどう違うのか見せてもらうわ!
千冬SIDE
ところ変わって今は剣道部の部室に入っている。全く優鬼も面倒なことをしてくれたものだな。手合わせを願うと言っているが本当のところ相当キレていたのだろう、全く鳳の馬鹿者めあいつを怒らせたらどうなるか、一度体で覚えなくてはならないぞ。
「なあ千冬姉何が始まるんだ?優鬼も鈴もなんで向かい合ってるんだ?」
「織斑先生だ馬鹿者。今は八神が鳳に手合わせをしたいと申し出てな」
「優鬼が?鈴の奴あいつになんか言ったのか?」
「まあ色々とな……それよりどうしてお前がここに居る」
「俺は箒に頼んで剣道をしてたんだ。ISだけじゃなくて剣《ブレイド》としても強くならないといけないから」
「……なあ一夏」
「?」
「お前がもし誰かをその力で助けたとする。だがそれを見ていた周りの者たちがお前の力は危険だと非難したらお前はどう思う?」
「……もし危険だとしても、それはその力を使う俺自身が決めることだと思う。それに危険だと言われても助けない理由にはならないと思うから」
「……そうだな」
鳳、一夏もお前が思っているほど弱い男ではないようだ。それでもお前はまだ優鬼を危険だというのか?
「そろそろ、合図をお願いします」
「こっちは準備ができたわ」
「よしならば行くぞ!いざ尋常に……」
「…」
「…」
「始め!」
三人称SIDE
「ハア!」
「っ!」
試合が開始された。最初に攻撃してきたのは鈴だった。右手の拳を握りしめ優鬼の顔面に殴りかかる。だが、優鬼は攻撃が当たる前に両腕をクロスして防ぐ、次に優鬼が鈴の足にめがけて蹴りを繰り出して当たる。だが鈴はそれに耐え優鬼に反撃を繰り出す。
そして試合が開始して30分
「ウォリャー!」
「ハアア!」
二人は全く引くことなく戦いあった。だが、鈴が優鬼の左わき腹にめがけて蹴りを繰り出した時、優鬼は左手を使い防御。鈴はその隙を見逃すことなく優鬼にめがけて左手の拳を出すが、優鬼はその体制から状態を反らし攻撃をかわす。鈴がその拍子にバランスを崩すと優鬼がすかさず鈴の腹部にめがけて両手の掌を当て自らの氣を一気に放出する。鈴はそのまま部室の壁まで吹き飛び気を失った。優鬼と鈴、二人の手合わせは最後に優鬼の勝利で幕を閉じるのであった