プロローグ2
とある屋敷の一室(日本の首都「東京」)
千冬は疲れが出たのかソファーに座った状態で眠っていた。その両隣りには千冬の弟、一夏と妹、マドカが千冬に寄りかかるように眠っていた。そのすぐそばで織斑兄弟たちの様子をじっと見ていた男がいた。彼の名は「鬼頭祐神」モンドグロッソで織斑兄弟の誘拐事件の協力者の一人だ。彼は今片手にコーヒーを持ちながらあることを考えていた。
「さてさてまた賑やかになるかな,でもまたすんげぇ出費になるなこれからは」
彼がそのように呟いたのは織斑兄弟誘拐事件が終わってのことだった。
数十時間前モンドグロッソIS指令室
そこでは千冬が一夏を抱きかかえてもう一人の家族、マドカを待っていた。その近くには祐神が椅子に座っていた。その片手にはやはりコーヒーが握られていた。
「本当にマドカは無事に帰ってくるのか…」
「おいおい信用ねぇな…まっ!あいつなら大丈夫だすぐに帰ってくるさ」
「本当にそうなのか…すぐに信用できない」
「じゃあなんで俺たちに頼んだんだ?藁にもすがる思いだったってのか」
祐神は少々不機嫌ながらそういうと指令室のドアが開く。千冬と祐神が振り向くとそこには、マドカを抱えたISがあった。
「!!マドカ!」
「やっと帰ってきたか」
千冬は近くにあるソファーに一夏を寝かせISが抱えているマドカに駆けよる。祐神はやっと帰ってきた我が息子の姿を見るなり呆れたと言わんばかりの言い方でISを迎える。
「遅くなってごめんなさい。ちょっと道が混んでて」
「何が道が混んでるだ?どうせ『空を飛ぶとき他の人間』に見つかるのが嫌だから屋根伝いに戻ってきたんだろ?まあいいや、それよりISを解除してもいいぞ」
「了解。んじゃ解除するよ」
そう言ってISは、腰部にある四角いクリスタルを外す。すると中から出てきたのは、千冬の弟たちと変わらない年齢くらいの少年だった。
「こっこんな子供が…ISに…しかも男が操縦しているだと」
「はじめまして。僕は八神優鬼『やがみ ゆうき』です。この男の人の息子ですが、正確には養子です」
「そしてこの子の義父である俺が、鬼頭祐神『きどう ゆうじ』という。よろしくな!」
千冬は、初めにISを操縦していたのが男だということに驚いていた。何せISは「女性しか扱えない」という条件があるからだ。そして次に驚いていたのは、まだ年端のいかない少年がこんな危険な仕事をしていることであった。そんな中、祐神は千冬にあることを伝える。
「ああそれとお前に話がある」
「なんですか?」
「お前これからどうするんだ?情報だとそこの弟さん、お前のためにいろいろバイトしているって聞いたけど?」
「それが何ですか。貴方達には関係ないことです」
「でも、そいつはまだ中学生だろ?その年で生活を支えるために働いているなんて正直大変じゃないのか?」
「そうだとしてもこれからも私たちは私たちなりに生きていく。貴方達にとやかく言われる筋合いはありません」
「そうかもしれないけどな、それに俺の友人が俺たちにちょっとした『頼みごとを』してきたんだ。それに俺も同じことを考えていたからちょうどよかった」
「?」
千冬は、この男が何を言っているのかわからなかった。自分たちが今まで味わって来た現実をまるで否定するような口ぶりではじめはバカにしているのか?とさえ考えた。だが、彼が言った言葉に千冬は言葉を出すことができなかった。
「俺たちの家族にならないか?」
「なっ!!なんだって?」
「だから俺たちの家族にならないかって聞いているんだよ。お前たちの境遇を聞いてすぐに頭によぎったのがそういう言葉だったからな」
「貴方達にそのよな心配される覚えはありません!!」
「だとしてもだ。考えてみ?お前がこれから何かの仕事に就いたとしても、お前の弟たちは本当にお前の力で守れるのか?ましてや弟のほうは何もなくても妹のほうは女だ。どんな男たちが寄り付くかわからんしましてや、また誘拐されるかもしれないんだぜ?」
「それでも私たちは私たちなりに生きていく。誰かがこいつらに手出しをしようもんならたたき切るまでだ!」
「いや、ただの同情に似た良心がこういうことをしている訳ではない。これはお前たちの『両親』からの遺言だからな」
「なっ!!なんだって…」
その言葉に千冬は信じられないと言った顔をしていた。彼女がまだ小学生の時に両親は生まれたばかりの一夏と自分を捨てて家を出ていたのだ。それからの生活はいろいろな人達に迷惑をかけながら生活してきたものだから、千冬はその両親に少なからずも恨みを持っていたのだ。
その両親が遺言?まるですでに死んでいるかのような言い方に少し疑問を感じた。
「両親の遺言とはどういうことですか?貴方は両親とどんな関係があるんですか?」
「そうだな、まず俺は織斑夫婦の友人だ。しかも長年ずっとな。そして遺言ということはあの二人は言葉の通り死んだんだ。どっかの誰かに暗殺されたということらしい、俺はその頃あの二人の近くに居なくてな、二人が死んだことをすごく悔やんだよ」
「暗殺?両親が殺される理由はなんですか?」
「そうだよなお前は知らなくて当然だ。あの二人はな戦争孤児並びに実験による被検体とされた子供たちの保護と救出をメインに動いている組織に所属している。つまりどっかの誰かがバカなことしているということの調査員だったのさ。組織のな」
「そっ!!そんな...じゃあ私たちを捨てたのは...」
「ああ、お前たちを守るためさ。そして遺言はな、「私たちの子供を頼む!絶対に守ってくれ!そして私たちの代わりに親になってくれないか?あの子たちは強いがまだ誰かに守られなくてはならない存在だ。これを読んでいる頃私たちはいないだろう、だが、あの子たちをまだ死なせるわけにはいかない、だからお前が親になってあの子たちを強くしてやってくれないか?」ってな...全く何を思ってこんな俺に頼んだんだか」
「っ!」
その言葉を聞いて千冬は感極まったか泣いていた。無理もない何年も恨んできた人間が実は自分たちのために命を落とし挙句の果てに友人にまで頼んで自分たちのことを心配してくれているのだ。嬉しくないわけがないとばかりに涙を流す千冬に祐神は先ほどの答えを促す。
「そんでさっきの提案の返事は?」
「父さん!いくらなんでも今の状況を見てよ」
「あのなぁ…いくらお前でもあまり口出しするものじゃないぜ」
「……お願いします」
「はい?」
「これから先は、『家族』としてよろしくお願いします」
「おいおい家族に敬語はいらないだろ」
「それも…そうだな」
「そういうこと。はぁ~にしてもやっとすることが終わったな」
「うんそうだね父さん」
「さてそろそろ日本に帰るか~」
「うん。そのほうがいいかもね」
「えっ!今帰るのか?」
「ああ。もう試合も終わってるだろうしそれに情報を提供してくれたドイツ軍には先にお前のことについての説明も聞いてあるから大丈夫だ。それに荷物もこっちの人間がやってくれたからお前らはただパスポートを持って飛行機に乗って帰ると言ったところだ」
「そうか…わかった」
「一応日本に着いたら俺の家で休もうぜ。何かするなら次の日だ」
「わかった世話になるな」
「だから家族にいらん気を回すな」
「ああそうだったな」
そうこうしている内に優鬼たちのもとに先ほど言っていた組織の人間がやってきて5人分のパスポートと手荷物を持ち空港に向かった。その際千冬と祐神は一夏とマドカを背負い殆どの荷物を優鬼に持たせていた。
そして冒頭へ
「にしてもよう寝てるな~こいつら」
「うんそうだね。あっ!それと今奴らの気配があったから行ってくる」
「おう!気をつけろよ」
そう言って優鬼は外へ出て行った。