双子に愛されてしまった男   作:主義

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………


選択

黒羽姉弟に生徒会入りを断られてから急いで次の生徒会の候補生を絞り出してリストにした。これが予想以上に時間が掛かってしまい帰るのが日が暮れてからとなってしまった。

 

 

 

そしてそれから四日後

 

新入生は順調に第四高校に慣れてきているようで今では初日の時に感じた緊張しているような雰囲気は感じなくなった。さすがに問題がまだ起こらずに穏やかな日常を過ごしていた。まあ、さすがに始まって四日で問題が起こるようならかなりヤバいけどね。

 

そんな感じで平和に過ごしていると昨日の晩に母上から端末に連絡がきていた。母親からの連絡なんて珍しくて端末に連絡をするぐらいなら会いに来てしまうような人だからね。

 

 

その連絡の内容は僕が思わず「はぁ?」と声を漏らしてしまうほどだった。この連絡を見たのが外とか学校じゃなくて家でよかった。そうじゃないと学校では絶対に見せないような顔をしてしまっていると思うから。

 

 

 

 

その内容は「明日、第一高校に行ってください」というたった一言だった。だけどその一言だけで僕が驚くには足りた。明日って言ったら平日の木曜日だ。普通に僕だって高校がある。なのに何故僕が第一高校に行かなければならないんだ。

 

それにこの時期は僕も暇じゃない。金曜日から四日連続で部活動の勧誘期間が待っている。この勧誘期間はいつも問題が激増する。これは去年も荒れに荒れた。

そんな日の一日前が忙しくない訳がない。それは母上も知っているはずだ。僕の学校の予定に関しては誰よりも詳しいあの人が....だとしたら何でこのタイミングでそれを言ったのだろうか。まるで理解が出来ない。

僕は一先ず埒が明かないので母上に連絡をしてみる事にした。

 

 

「母上ですか?」

 

 

「そうだけど急にどうしたんですか?」

 

 

「どうしたじゃありませんよ。さっきメッセージを見たんですけどあれはどういう意味ですか?」

 

 

「そのままの意味よ。あなたには明日第一高校に行ってほしいの」

 

 

「いや、それはメッセージを見てわかりますけど何で僕が第一高校に行く必要があるんですか?それに母上もご存じのはずですがこの時期は僕も忙しいという事を」

 

 

「それは重々承知しています。ですけどあなたは生徒会長になって新入部員勧誘週間を経験するのは初めてです。一度ぐらいは他の学校の運営方法を見ておいて損はないはずよ。それに第一高校と言えば九校の中で一位、二位を競うほどの優秀な者が揃っていると聞きます。その人たちの運営方法を見てそれを自分たちの時に活かせるでしょ」

確かに第一高校の新入部員の勧誘週間は僕たちよりも一日早い。

 

 

「.....確かにそれはそうですけど明日だって明後日のために用意がたくさんあるんです。ここで生徒会長の僕が抜ける訳にはいかないんですよ」

 

 

「それに関してはリモートでもどうにかなるでしょ。こんな機会、普通はないんだから経験しておくのも良いんじゃないの?」

 

 

「...どうせ母上の事ですからもう手をまわしてしまったんでしょ?」

 

 

「うん。もう手筈は全て整っているわ」

 

この人は人に選択肢を持たせているようで持たせていない。だってもう全ての手筈が整った後に聞いてくるんだから。

 

 

「はぁ~そういう事をするなら前々から連絡をしておいて欲しいです。次からは手筈を整えるより前に一度僕に言ってくださいね」

 

 

「分かったわ。次からはそうするわ」

 

 

 

僕はその後少し話して電話を切った。

 

「母上には「分かった」なんて言ったけど..本当にこれで良いのか?さすがに一日前に抜けるなんて考える必要もなくマズイはずだ。それにこれでも僕は生徒会長という肩書がある。この忙しい時に生徒会長が居ないと言うのは.....」

何でこんな選択を母上も僕に迫るんだか...。

 

僕は三十分ぐらい考え抜いてついに結論を出すことにした。これ以上に時間を費やしても多分朝方まで悩んでしまうだろう。だとしたらここで潔く決めておいた方が良い。それにどちらにするにせよ色々としなくてはならない事が多いし。

 

 

「......行くか」

 

行かない方が良かったかもしれないけど..この決断で人生が決まる訳でもないしな。それにこれで幻滅されて生徒会長を辞められるのなら辞めたいしな。僕だって何の策もなく「行く」を選んだわけじゃない。副会長は僕よりも優秀だと近くで見てきた僕が思うぐらいに優秀な人間だ。普通だったらこんな奴が生徒会長になるのが普通なのではないだろうかと思うほどにね。だけど副会長に全てを任せるのはさすがに難しいだろうから補佐としてあいつらを付ければ良いだろう。

 

でも、あいつらに苦労を掛けると後々僕が面倒な事になるかもしれないけど背に腹は代えられない。何を代償として要求されるか分かったもんじゃないけどな。

 

 

 

僕は急いで明日僕が諸事情でいないので全権限を副会長に託す事を連絡をした。副会長は案外、「何で来れないんだ?」とか聞いてくるかと思いきや素直に受け入れてくれた。何でと聞かれたら答える気でいたんだけどそんな事を聞いてくる人は僕が連絡をした人の中にはいなかった。

 

最後に僕は...助っ人を頼むためにある人に連絡をする。もしかしたらこの時間だったら出ないかもと思っていたけど四コール目ぐらいに出てくれた。

 

 

「二木先輩から電話なんてどうしたんですか?」

 

 

「..まあ、電話をかけておいて今更、君にお願いするのはどうなんだろうと考えてしまうけど今は時間もないし仕方ないか」

 

 

「僕に頼み事ですか?」

 

 

「うん。明日は明後日の部活動勧誘週間の用意とかで本当は僕が行かなくちゃならないんだけど、諸事情があって明日は行けなくなったんだ。それで副会長に僕の替わりを託すんだけど..さすがに全部の仕事を副会長がやるとなるとかなりの負担が掛かるのはいつも仕事をやっている僕が一番わかっている。過労で倒れられても困るし助っ人を用意しようと思って考えたんだけどその末に君たちならと思ったんだ。どうかな?」

 

 

「別に良いですよ」

 

 

「やっぱり君が簡単に良いよと言ってくれるわけ........って良いの!!!」

「はい。別に手伝うぐらいなら良いですよ」

 

 

「まさか君がこんな簡単にOKをくれるとは思っていなかった。もっとダメですとか無理ですとか言うかと想像していたんだけどね」

 

 

「僕はどんな人だと先輩は思っているんですか....でも、これを引き受ける代わりとしては何ですけど..」

 

 

「僕に試合をする前のルーティンをやって欲しいという事か...」

 

 

「はい!!やってくれませんか?」

 

 

「.良いよ」

 

これに関しては死ぬほど恥ずかしくなるからやりたくないんだけど..仕方がない。折角僕が留守中の間手伝ってもらんだから何も渡さない訳にはいかないだろう。

 

「じゃあ、次に会った時にでもやるよ...」

 

 

「え!!!!本当にやってくれるんですか!????だったら姉さんも手伝ってもらうので姉さんにもやってあげてくれないですか?」

 

 

あれを....女子の前でやるのか。それも一対一や二対一の状況でやるのか。

 

「それは...君的にはどう思う?あれを女子の前でやるというのは...」

 

 

「確かに普通の男子がやっていたらかなりマズイかもしれませんけど二木先輩なら大丈夫ですよ!それに姉さんも僕もファンなんですよ」

 

それは初耳.....それに普通、魔法師にファンなんて付くものなのか。そんな話あまり聞いた事がないけど。

 

 

「はあ....まあ別に手伝ってくれるならやっても良いけど......」

 

 

「本当ですか!????なら急いで姉さんに知らせないと」

 

 

 

そう言い残して電話は切れた。

 

 

 

疲れたけどこれで明日の事に関してはどうにかなるだろう。あの双子は予想以上に力になってくれるはずだ。それにまだ学校が始まって三日しか経っていないけどあの二人は新入生の中でも僕たちのような先輩の中でも話の話題に入ったりする。お互いに容姿端麗、眉目秀麗、文武両道。これだけ揃えば噂にならないはずがない。

二人はもう第四高校のアイドルのようなものになってきている。そんな二人が協力をもし、全校生徒にお願いをすればほとんどの生徒が手伝い、迅速に事を進められるだろう。

 

 

 

それにもしもの緊急事態が起こった場合は僕に連絡をするように副会長には言ってあるから大丈夫だろう。

 




新入生勧誘習慣のようなものは第四高校にもあるのだろうか………………ここまで書いてしまってから言うのもあれだけど

この中で一番出番を多くして欲しいのは誰ですか?

  • 七草香澄
  • 七草泉美
  • 黒羽文弥
  • 黒羽亜夜子
  • 司波達也
  • 司波深雪
  • 一条将暉
  • 七草真由美
  • 十文字克人

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