それでも見ていってくださる方は暇潰し程度に読んでください。
それでは、どうぞ。
四年前、異世界からの侵略者が現れ、街を蹂躙した大災害。
当時、小学六年生だった少年には行き過ぎたトラウマを植え付けたであろう惨劇が窓の外側に広がっていた。
「……はっ?」
反射的に口から絞り出された無意識の言葉。
人は目の前の状況を飲み込むために何かしらアクションを起こすという条件反射がある。
そのため今しがた少年がした行為も何かを理解する為であったと言えるだろう。
目の前では自室のベットの上で目覚めたはずが曇り淀んだ空が確かに見える。
意識が覚醒し周りの状況がよく知覚できるように、否できるようになってしまったがためか悲鳴が鼓膜を揺らす。
首はぎこちなさを残しつつそちらへと向く。
それが忘れもしない初めて見た
「………。」
珍しく朝早く目が覚めたはいいものの決して目覚めの良いものではなく、むしろ強制的に起こされたような感覚を感じていた。
「…………ケッ。まじで最悪だな。神とやらが居るならをブン殴りてぇな。」
まさに地獄と呼べるような出来事を夢とはいえまた体験してしまった。
朝というのはその後一日に影響する時間であるため、当然彼のテンションは駄々下がり真っ只中。
ただでさえ朝は低血圧であり、その為友人たちからも朝はあまり話しかけてこない程機嫌が悪いのだが今の状態はさらに上をゆく。
部屋にかけられた時計を見るとまだ五時半を過ぎていない二度寝をするには半端な時間であった。
とりあえず味噌汁に目玉焼きそしてコーヒーという和風と洋風のミスマッチの朝食を作る。
いつもより量を増やし食べ終わる頃にちょうど良い時間になっていた。
「……行ってきます。」
その声は無人のリビングに響いた。
彼の家族構成は父、母、妹からなる。
四年前の侵攻を機に全てが変わってしまった。
母は
当時は怪我人も多く、病院は野戦病院のように満足に治療できないでいたため、後頭部を強く打った母は治療を受けられないでいた。
しかしやっと順番が回ってきた時に金持ちの息子が腕を骨折したのだろう、親子が担当の医師に多額の金を渡し先に治療を受けさせた。
そのため、母は重症化してしまいそれからは寝たきりになり、父は金に執着した。
家族のことは後回しにし、自身が経営している大手の企業の経営を優先するように。
毎月金だけを振り込むようになり声すら聞くことがなくなってしまった。
それから何事にも妹と2人で過ごしてゆくようになってしまった。
嫌なことを思い出し頭を切り替えるように歩きながらスケジュールを思い出す。
「防衛任務に静奈の迎えか。」
毎回部活関係で夜遅くなる妹、静奈を迎えに行くのが日の終わりである。
気付いたら正門をくぐり下駄箱についていた。
「ん、おはよ。」
後ろから声をかけれそちらを向くと一つ上の学年の熊谷友子がいた。
「……………あぁ。」
先輩に対していかがな返事であるが朝に声を返すことは珍しいことである。
「ねぇ、先輩に対して……、ん?目つきがいつも以上に悪いけど何かあった?」
八つ当たり気味に返事をしてしまったが逆に心配されてしまい顔を逸らす。
「なんでもねぇよ。」
一言を吐き捨てるように教室へと向かい始める。
「あそ。ま、無理はだめよ。」
そういうと熊谷はさっさと教室へ向かった。
むず痒さから思わず舌打ちが漏れる。
他人から心配されるのにあまり慣れていない故の反応だった。
いつもより明るくない?瀬荻君、ほんとだ。目元柔らかいかも、と後ろから聞こえてきた話し声に居た堪れなく教室へと逃げるように階段を上がった。
「悠貴、おはよう。」
教室のドアを開け、席に着くと前からモサモサした男前こと烏丸京介が挨拶をしてくる。
「……あぁ、京介。」
窓際の列の前後という席であるため悠貴と烏丸は仲が良い。
「今日は防衛任務何時からだ?」
「……17時半から。お前はバイト入ってんのか?」
「まあ、俺は今日は飯番なんだ。だから今日は19時までだけど。」
「お、じゃあ妹も連れてっていいか?俺も遅くなるし。飯作ると夜遅くなっちまう。」
「わかった。玉狛で待ってる。いつぐらいになる?」
血圧がってきたのか饒舌になった悠貴は世間話を始業時間まで鳥丸とした。
ソレは突然訪れた。
烏丸はバイトのため学校で別れ1人で本部へ向かっているとスパーク音ともに黒い
「おいおい今日は厄日かなんかか?」
警報が鳴り響くなか穴から這い出るように出てきた見慣れた白一色の
「クッソタレが…!トリガー
悪態をつきながらトリガーを起動。
換装されている時間さえ惜しいと走りながら状況を把握すべく街へと目を向ける。
「あの新型……周回爆撃しているのか。」
街は川を挟んだ対岸に位置しているため、グラスホッパーを起動し、移動を開始する。
「…あ?木虎か?」
川の上を跳ねながら
「おい前髪右。気をつけろよ。弱点ゆえに対策してあるかもしれないからな。」
無線で木虎に独特なネーミングセンスのあだ名で呼ぶ。
「…その声は瀬荻先輩?ていうか言われなくてもわかっています。先輩は街に行って三雲くんのサポートしてください。」
生意気な口調と高いプライドを窺わせる返答を返す。
「……あとで覚えとけよ。」
「なんならメモしときましょうか?」
「………」
イラつきを表すように無言で通信を切り悠貴は街へ向かった。
(………確かに瀬荻先輩の言うことは正しい。てかああいう人は普通馬鹿なんじゃないの?なんであんなに頭の回転が早いのよ!ムカつく!!)
心の中で瀬荻への八つ当たりを済ました木虎が
忠告を受けていた木虎は慌てることなくシールドを周囲に展開した。
張り終わった瞬間に先の電球のようなものが激しく発光し、連続的に爆発を始める。
爆発が終わると同時に手の中に生成したブレードで装甲を剥がす。
発砲、発砲、発砲。
もう片方の手で腰のベルトのホルスターに収められていた拳銃で内部を破壊する。
ボンッ!と小気味いい音と共に新型はその高度を落とし始めた。
しかし変化は他にも起きた。
高密度な突起物が木虎の周囲に生成された。
「……!?何!?」
明らかに普通ではない変形に困惑が隠せない。
「なんなのこれ!?。これ……。!!まさかこいつ……このまま街に落ちるつもり!?」
混乱が全身を巡り冷静な判断を奪い去る。
冷や汗が止まらない。
呼吸も荒くなる。
「止まって!止まりなさい!」
声を聞く機能がないトリオン兵にも関わらず呼びかける。
(駄目… …!!止められない…!!)
諦めかけた時、大きくその巨体が揺れ動き、空中に取り残されるように飛ばされる。
強大な力に引っ張られ川に落ちたトリオン兵は、轟音を立て川の中で吹き飛んだ。
修と合流し街の避難誘導を行いながら人より優れた感覚を使い木虎の戦闘を確認する。
(……ただ爆撃するだけじゃ無いハズだ。一体だけっつうのも気になる。…何かこう大打撃を与えるような秘密がありそうだな。)
2人でしていても所詮2人だけ。
避難はいずれもまだまだ完了していない。
「……オイ。メガネ。役割分担だ。お前は崩落した建物内に残されている奴らを助けてこい。」
「わかりました。しかし先輩の方が正規隊員なので瓦礫の除去は「めんどい。それに俺の方が従わせれる。」……わかりました。終わり次第戻って来ます。」
そういった修に返事をし何気なく戦闘している方角に目を向けると。
「ヤベェな。やっぱ何か仕組みあったか。地下へ急げ!!!」
逃げ惑う人たちはこちらへ向かって落ちてくるトリオン兵に気付きさらに混乱が加速した。
「チッ!!間に合わねぇ!!!」
避難している人たちに最後尾につき、シールドを張り始める。
しかしまだ広がりきっていないシールドをよそにその巨体は川へと引っ張られるように落ちていった。
「あ?なんかケツに付いてたなァ…。」
土手を上り川へと近づく。
対岸の河川敷を見るとそこには白い髪の毛の見慣れない黒服に身を纏った外見は小学生に見える者がいた。
奇しくも悠貴とそのその少年は目があう。
これがその後の未来に変化をもたらすものであるのは1人の男を除いてまだ誰も知らない。
「……お?未来が変わった?」
数十体のトリオン兵の残骸の上に無傷で座っていた男がつぶやく。
未だそこら一帯の戦闘特有の緊張感が漂う中、それを感じさせない口調の男は感慨深げにため息をつく。
耳につけている通信機から呼び出しの声がかかった。
「はいはいもしもし?」
どうやら召集の命令がかかったらしい。
男は軽口を叩きながらその腰を上げる。
「ほう。本部司令直々に……この実力派エリートをお呼びとは。」
薄く笑うその長身痩躯の青年はボーダーきっての実力者、迅悠一が動き出す。
いかがだったでしょうか?
また次の文面で。