忠犬と飼い主の非日常   作:herz

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 以下は本作のエピローグ的なもの(オリキャラ兄弟達の会話)

「……ぐす……っ」

「……もう泣き止んだか?リアン」

「兄ちゃんだってさっきまで泣いてたくせに……」

「うるせー!」

「……ウィル兄ちゃん」

「ん?」

「カズヤ兄ちゃんに、また会いたいね」

「……そうだな。また会いたいな」

「うん……」

「……そういえば、お前さっきカズヤ兄ちゃんに言ってたよな?
 お前を見る時のカズヤ兄ちゃんの目が、たまにシュウ兄ちゃんを見ている時と同じ目になるって。……それって、どんな目だ?」

「――お父さんとお母さんがボクを見る時とか、兄ちゃんがボクを見る時みたいな、凄く優しい目!
 カズヤ兄ちゃんはきっと、シュウ兄ちゃんの事が凄く大切なんだね!」




飼い主のお気に入り【後編】

 秀一が書いた犯人の似顔絵を元に、4件の殺人事件が起きた現場周辺で聞き込みを行った結果――犯人を発見し、逮捕するまでに至った。

 

 犯人は無職の40代の男。犯行の動機は……うるさい子供が嫌いだったから、だそうだ。

 

 "近所のうるさい子供を1人殺した時にすっきりした。2人目を殺した時も3人目を殺した時も、殺した瞬間に子供がピタリと静かになった時……とても清々しい気分になった"

 "その時の感覚が忘れられなくて4人目と5人目を狙ったが、その間に母親が割って入り……それを誤って殺してしまった"

 "母親を刺すつもりはなかった。母親を刺してしまったのは自分のせいじゃない。子供達のせいだ。だから子供達を殺そうとしたが、他の人間に見つかったので逃げた"

 

 "自宅に戻って……子供ではなく、刺すつもりがなかった人間を刺してしまった事で急に怖くなった"

 "ニュースで母親が亡くなったと聞き、さらに怖くなって……子供を殺す気も失せてしまった。だから4件で終わりにした"

 

 

 ……というのが、犯人の自供だった。クレアさんを殺した事は後悔しているが、子供を殺した事への罪悪感はまるで無いらしい。

 

 

(――ふざけんなよ、このクソ野郎……!!)

 

 

 犯人の聴取を担当したのが俺じゃなくて良かった。その場にいたら犯人を殴る……のは我慢して、殺気をぶつけるぐらいはやってしまったかもしれない。

 てめぇの身勝手な感情のせいで大切な子供を失った被害者家族や――母親を失った子供達がどんなに苦しい思いをしたのか、それが理解できないのか!?

 

 あぁ、腹立たしい!

 

 

 ……しかし、どうやら聴取を担当した捜査官……新人のカイルが激怒して犯人を一発ぶん殴ったらしい。

 ジェイムズや教育係のキャメルには注意されたようだが、俺は後にこっそりとカイルに感謝を伝えた。よくやってくれた!

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 犯人が逮捕されてから1ヶ月後。俺は秀一と共に空港に来ていた。……リアン君とウィル君を見送るために。

 

 彼ら兄弟は退院後、母方の親戚に引き取られる事になった。しかし、この親戚が住んでいる場所はワシントンから遠く離れた田舎で、2人は親戚と暮らすためにそこへ引っ越すという。……それが、今日だった。

 田舎から迎えに来た親戚の人と共にワシントンから去るという彼らを、秀一と共に見送りに来たのだ。

 

 これは、本人達たっての希望だった。俺は言わずもがな、秀一は俺の次に兄弟達に懐かれていた事もあり、その希望に応えるために2人で見送りに来た。

 4人でしばらく会話を楽しんだ後、2人が寂しげな表情を浮かべて口を開く。

 

 

「……カズヤ兄ちゃん。……これ、ありがとう。返すよ」

 

「……ボクも……」

 

 

 そう言って、2人が俺に差し出したのは深緑色のワークキャップに黒縁の眼鏡……俺が2人に預けた変装道具だった。

 

 

「……オレ達はもう、大丈夫だから」

 

「ウィル兄ちゃんと2人で頑張れるから……」

 

「…………確かに、受け取った」

 

 

 俺はそれらを受け取ると――再び、彼らに差し出した。

 

 

「では餞別として、君達にこれをあげよう」

 

「「……えっ?」」

 

 

 ぎょっと目を丸くして、俺と差し出された物を交互に見る。……これは、彼らが引っ越すと聞いた時から決めていた事だ。

 

 彼らとの約束では俺から離れる時が来るまで預かってもらうという話だったから、きっと返してくるだろうと思った。

 しかし、端から見ても俺の変装道具を大事にしていた彼らからそれを返してもらうというのは……かなり気が引けた。

 

 だから一度返してもらった後に、今度は餞別として渡す事にした。"預ける"のではなく、"あげる"事にしたのだ。

 

 

「…………いい、の?」

 

「あぁ。……これは君達と"ソーマ"が出会い、さらに俺と出会った事の証だ。餞別にはぴったりだろう」

 

「でも、大事な物なんじゃ……」

 

「それだけ、俺もまた君達との別れを惜しんでいると思ってくれ。――寂しいのは、君達だけじゃない」

 

「あ……」

 

「っ、」

 

 

 リアン君は涙目になり、ウィル君は俯く。……俺はまずウィル君に持っていたキャップを被せ、次にリアン君の前に跪いた。

 

 ……俺の後ろにいる愛弟子のそれと似ている、緑の瞳。その丸い2つの目が俺を見つめる。

 

 

「……リアン君。初めて会った時から思っていたが、君の目の色は――俺がよく知っている奴の目と、少し似ている」

 

「それって――シュウ兄ちゃん?」

 

「っ!?」

 

 

 思わず固まった。馬鹿な。何故気づかれた!?……背後から感じる視線が痛い!

 

 

「…………どうして、そう思った?」

 

「だって――カズヤ兄ちゃん、たまにボクの目を見た時にシュウ兄ちゃんを見ている時の目と同じ目になるから、きっとそうだと思って」

 

「――――」

 

「……カズヤ兄ちゃん?」

 

 

 その時。彼らの親戚が2人の名前を呼んだ。どうやら時間切れらしい。

 

 俺はリアン君に黒縁眼鏡を掛けてやり、立ち上がった。そして最後に2人の頭を撫でる。

 

 

「……さぁ、時間だぞ2人共」

 

「…………カズヤ兄ちゃん、」

 

「うん?」

 

「――また、会えるよね?」

 

「――あぁ。きっと、また会える」

 

「本当か?」

 

「嘘なんてつかないさ。……もちろん、先の事はまだ分からないが――俺はまた会えるはずだと、信じているよ。……君達はどう思う?」

 

 

 そう問い掛けると、2人は笑う。

 

 

「オレもそう思う!」

 

「ボクも!」

 

「よしよし。それじゃあ――またな、リアン。ウィル」

 

「っ――うん!」

 

「またな!カズヤ兄ちゃん!シュウ兄ちゃんも!」

 

「またね!」

 

「あぁ。また会おう」

 

 

 リアンとウィルは俺達に背を向けて走り出し、親戚と合流した後に振り向いて、俺達に手を振る。

 それに俺達が振り返すと、嬉しそうに笑って……立ち去った。

 

 

「……さて。俺達も帰るぞ」

 

「……はい」

 

 

 秀一から物言いたげな視線を感じる。……が、俺からは絶対に触れない。

 

 

「……良い子達でしたね、彼ら」

 

「そうだな。……俺は1人っ子だが、弟がいたらあんな感じなのかもしれない」

 

「特に、リアン君の方でしょうか?」

 

「いいや?どっちもだな。リアンもウィルも本当に弟に欲しいぐらいだ。ガキの頃は兄弟を欲しがった事もあった。

 そういえば、お前も弟がいたよな?あと妹も」

 

「……えぇ。いますよ。……ところで先ほどリアン君が、」

 

「妹さんには一度だけ会ったけどあまり話せなかったし、弟君に至っては一度も会えてない。それと母親にも。……いつか会ってみたいな」

 

「……はぁ……」

 

 

 話を逸らすために悪あがきしていると、ため息をつかれた。そのまま諦めてくれ。

 

 

「……そうですね。俺も和哉さんには家族と会ってもらいたいです。俺の唯一無二だと自慢します」

 

「自慢するな。それは止めろ」

 

 

 よし。このまま忘れてくれよ!……と、思っていたのだが、

 

 

「――では和哉さん。先ほどリアン君が言っていた事について、詳しく話してもらいましょうか?話さないと車はいつまで経っても動きません」

 

「…………そうきたか……」

 

 

 秀一の車に乗った瞬間にそう言われ、俺は唸る。……こいつは本気だ。本気で俺が話さないと車を発進させないつもりだ。

 なんでこういう時に限って秀一の車で来てしまったんだ!

 

 

「たまにリアン君を見る時の目が、俺を見ている時の目と同じ目になる……と言っていましたね、彼は」

 

「…………」

 

「それは、どういう事ですか?」

 

「…………」

 

「……なるほど。まだ話すつもりになれませんか。……では、あなたのリアン君に対する心境について俺の推測を話します」

 

「は?」

 

 

 推測だと?

 

 

「あなたはどうやら、リアン君と初めて会った時から彼の目と俺の目が似ていると思っていたようですね?」

 

「彼と目が似ているのは違う誰かかもしれないぞ?俺はその誰かがお前だとは断言していない」

 

「確かに断言はしていませんが、リアン君の言葉を聞いた後のあなたの反応からしてそうだとしか思えません。そこは確信しています」

 

「ぐっ……」

 

 

 苦し紛れに言った言葉は全く意味を為さなかった。

 

 

「……和哉さんは、最初にリアン君と出会った時から彼の事を気に入っていたのでは?俺の目と似た目を持つ、彼の事を。

 俺にあの兄弟達の事を話す時。ウィル君よりもリアン君の話題を出す事が多かったり、彼ら2人を呼ぶ時は必ずリアン君から先に呼んでいたり……

 それにリアン君を見る時、たまに俺を見ている時の目と同じ目になるというのは――その度に、俺の事を思い出していたのでは?

 

 総じて――リアン君の事を気に入った理由は、ほんの少しでも俺との共通点があったから」

 

「――――」

 

「……なんて、全ては俺がそうだったらいいなと妄想した結果なのですが……」

 

「…………っ、」

 

「……おや?――何故そんなにも真っ赤になっているんですか?」

 

 

 今の俺は、秀一が言ったように顔が真っ赤に染まっている。それを両手で隠しながら再び唸る。

 

 

「……どうやら俺の妄想は現実だったらしい」

 

「…………っ、あぁそうだよそもそも俺も半分無自覚だったけどな!いいからさっさと車出せよっ!!」

 

「くくっ……!Yes, master(はい、ご主人様)

 

 

 そう言って、秀一が車を動かす。

 

 

「和哉さん」

 

「あ"?何だよ!」

 

「そう怒らなくてもいいじゃないですか……」

 

「…………何だよ」

 

「――あの子達は、名前の由来通り守護者になれますかね?互いを守り合う守護者に」

 

「――なれるさ。……何と言ってもあの子達は、この俺のお気に入りだからな」

 

 

 

 

 

 

飼い主のお気に入り

 

 

 

 

 

 

 ――それにしても……ふふ……

 

 ――何だよ。

 

 ――いえ……まさか、初対面の子供の目を見て真っ先に俺と結びつけるとは……

 

 ――っ、

 

 ――それほど俺の目が印象に残っていた、という事ですか?

 

 ――…………。

 

 ――もしくは、それほど俺の存在があなたに影響を及ぼしている?

 

 ――…………。

 

 ――……勝手ながら、無言は肯定と取らせてもらいます。

 

 ――…………好きにしろ。

 

 

 

 

 

 




・学生時代は音楽A評価の飼い主

 美術はBだろうがCだろうが何でもいいんだよ!それにデフォルメなら書ける!

 兄弟達に容疑者の写真を見せた。兄弟達が怖がるようなら誠心誠意謝罪して本気で日を改めるつもりだったが、彼らが勇気を出した事に内心で感動。
 しかし、容疑者達が全て外れだったのでやはり日を改めようとして……彼らの覚悟を目の当たりにして再び感動。成長したな……!!
 赤井の思わぬ能力にびっくり。似顔絵プロ級なんて聞いてない!聞いてないぞ!!リアルな絵を書くのが苦手で、絵がプロ級な赤井が羨ましい。

 兄弟達との別れを惜しむ。預けていた変装道具……彼らと出会った証を餞別として渡す事にした。変装道具ならまた新しく買えるが、"出会った証"は代えのきく物じゃないからな。
 弟君のまさかの言葉がきっかけで赤井に問い詰められる。そして自分でも半分無自覚だった心境を見事に見抜かれて赤面。いいからさっさと車出せ!(逆ギレ)


・学生時代は美術A評価の忠犬

 美術どころかほとんどの教科がAでしたが、何か?(真顔)

 兄弟達に容疑者の写真を見てもらい、それが外れでも驚かなかった。別の人間である可能性もゼロではなかったからな。
 似顔絵を書く事を申し出たら驚かれた。そういえば言った事はなかったか。そんな事よりも和哉さんが絵を書くのが苦手という方が衝撃的だ!意外過ぎる……

 オリ主と兄弟達を見守っていたら、思わぬ言葉を聞いてオリ主の背中をガン見。
 リアン君を見る時に俺を見ている時の目と同じ目になる!?これは問い詰めなければ!

 兄弟達との別れの後。話を切り出そうとしたら悪あがきされた。……ホー。あなたがその気なら俺にも考えがありますよ?
 車という密室に閉じ込めて尋問。しかし黙秘を続けるので推測という名の妄想を話すと、それが的を射る。どうやら俺の妄想は現実だったらしい(ニヤニヤ)


・お別れした兄弟

 カズヤ兄ちゃん、シュウ兄ちゃん、またね!

 飼い主のお気に入りである兄弟。飛行機の中で兄弟揃ってこっそり泣いた。
 今後もオリ主から餞別にもらった変装道具は今までと同様、肌身離さず持ち続ける。





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