忠犬と飼い主の非日常   作:herz

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 ――このシリーズの赤井さんのスペック↓

 ・FBIの英雄
 ・オリ主の弟子
 ・残念なイケメン(たまにスパダリ)
 ・オリ主限定の犬気質
 ・忠犬
 ・狂犬
 ・執着犬←New!




・最後、赤井さんがプチヤンデレ&プチメンヘラになってます。


※pixivではこのお話のおまけ(ボツ案)も一緒に投稿しています。内容が気になる方はhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14262675の4ページ目をご覧ください!





「――お前の"ハウス"は俺の隣だ」

 ――現在。俺と秀一は公安の面子の見送りで空港に来ていた。場所はもちろん。ターミナルから離れた場所にある、人目につかない格納庫だ。降谷と風見以外の3人は、既にキラーをつれて先に行っている。

 

 

「……荒垣さん。先日は、大変申し訳ありませんでした」

 

「本当に、申し訳ありません!」

 

「あー……頭を上げてくれ。それはもう終わった話だろう?」

 

「いえ。やはり、部下の不手際は上司である僕の責任です」

 

「降谷さんのせいではないです!彼らを同行者に選んだ私にこそ責任が、」

 

「もういいからやめろって……」

 

 

 横目で秀一を見ると、俺に謝罪する降谷と風見を冷たい目で見下ろしている。……どうやら、まだ怒っているらしい。

 

 ため息をつき、先日の彼らの失態を思い出す。

 

 

 

 

━━━

━━━━━━

━━━━━━━━━

 

 

 それは、ジンとの面会を終えた後に起きた。

 

 先に看守と共にジンが退出。その後に降谷と風見が廊下で待機していた公安の3人に、キラーを引き渡した――瞬間、

 

 

「――があぁぁっ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

「何!?」

 

「っ――荒垣さん!!」

 

 

 キラーが突然暴れ出し、公安の3人と降谷と風見を振り切って俺に迫って来たのだ。手錠を嵌められたまま、その腕を思い切り俺に向かって振り被り――

 

 

「――馬鹿野郎が」

 

 

 ――俺のすぐ隣にいた秀一によって、取り押さえられる。……秀一が動こうとしたのは見えていたから、俺はその邪魔にならないようにあえて動かなかった。

 そのせいで、キラーは調子に乗ったんだろうな。俺が全く動かなかった事に疑問を持たなかった。

 

 

「離せぇっ!!僕の"美しいもの"は僕の物にするんだぁっ!!」

 

「――あ"?」

 

 

 あ、狂犬スイッチが入った。

 

 

「てめぇの物、だと?寝言は寝てからいいやがれ狂人野郎!俺の唯一無二はてめぇの所有物じゃねぇぞ!!大体てめぇは――おっと」

 

 

 おや、珍しい。俺に止められる前に自分でスイッチを切った。

 

 

「……おい。こいつを押さえておけ」

 

「りょ、了解!!」

 

 

 公安の3人と同様に待機していた、うちの捜査官3名にキラーを任せて……秀一は降谷達の下へ歩み寄る。降谷達は全員、頭を下げていた。

 

 

「今のは完全に、こちらのミスだ。すまなかった」

 

「……あぁ、全くだ。まさか君達がこんな致命的なミスをやらかすとは思わなかったよ、降谷君。君達ならそんな事にはならないと信じていたんだがな」

 

「っ……すまない」

 

「申し訳、ありませんでした」

 

「ふー…………和哉さん」

 

「なん、だ?」

 

「今から俺がやる事を、絶対に止めないでください」

 

 

 秀一から、剣呑な空気を感じる。これは駄目だな。おそらく、無理やり止めたら後で爆発してしまう。……降谷達には悪いが、仕方ないか。

 

 俺は秀一に背を向けて、片手をヒラヒラ振った。

 

 

「俺は何も見てない。というわけで、止められない」

 

「ありがとうございます」

 

「あ、荒垣君?」

 

「ちょっと、いいの!?」

 

「あの、何が起こるんですか!?」

 

「さぁ?俺には何も見えないよ」

 

 

 ジェイムズ達が焦っている中――鈍い音が聞こえた。これは……殴られたな。

 

 

「シュウ!?」

 

「何をしているんだ赤井君!?」

 

「あ、あ、荒垣さん!あの人を止めてください!!」

 

「無理だ。俺は何も見てない」

 

 

 ……その後。俺が振り返ると、そこには片頬が真っ赤に腫れた公安の5人がいた。秀一に一発ずつ殴られたようだ。

 

 

 

 

━━━

━━━━━━

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 ――というわけで。先に行った3人と降谷と風見は、みんな仲良く頬に湿布を貼っているわけだが。……秀一は未だに冷たい視線を送っている。

 

 

「……秀一。そろそろ許してやれ。彼らはちゃんと反省している。……それに、FBIとしては得したようなものだろう?今回の件を上に報告しない代わりに、2年前にうちが日本で勝手に捜査した件をチャラにしてくれるようだし?」

 

「うっ……はい。上の説得は、頑張らせてもらいます……」

 

 

 がっくりと肩を落とす、降谷と風見。……ちょっと可哀想になって来たな。

 

 

「……ま、俺はお前達と今後も友好的な関係を築き上げたいし、今回みたいな事が二度と起きなければ何も言わないさ。……無理をしないでくれ。お前達が体を壊したら元も子も無い」

 

「荒垣さん……!!」

 

「ご心配、ありがとうございます!僕も部下達も、自分を鍛え直して二度と同じ過ちを繰り返さないようにしますから!!」

 

 

 そんなキラキラした目で敬礼しないでくれ。ちょっと恥ずかしくなる。

 

 

「和哉さん、あなたは一度懐に入れた相手に対して甘過ぎです」

 

「そう言われてもな……実際、降谷達は何度も頭を下げてくれたし、ちゃんと反省してるし」

 

「絶交してもいいと思います」

 

「ガキか、お前は」

 

 

 秀一の言葉に呆れていると、視線を感じた。

 

 

「……風見?」

 

「えっ」

 

「どうした?……何か言いたい事がありそうだな?」

 

 

 風見が物言いたげな様子で俺を見つめていたので、聞いてみた。風見は慌てている。

 

 

「な、何でもないです!」

 

「……遠慮するな。次はいつ直接会えるのかも分からないし、気になる事があるならこの場で聞け」

 

「しかし……」

 

「風見。荒垣さんがそう言ってるんだから、言ってみろ」

 

「う……それでは……」

 

 

 降谷に促され、風見が口を開く。

 

 

「荒垣さんは――怖く、ないんですか?赤井さんの事……」

 

「秀一の事……?」

 

「風見、お前……赤井が目の前にいるのに、よくそんな事が聞けたな」

 

「言ってみろと言ったのは降谷さんなんですが……」

 

 

 怖くないのか、だって?……まさか、

 

 

「――秀一の、心の闇の事か?」

 

「…………はい」

 

「そう、か」

 

 

 赤井秀一が抱え込んでいる、心の闇。……俺がその存在を知った時、真っ先に思った事は――

 

 

「――それはむしろ、秀一の方が怖いと思っているだろうな」

 

「!」

 

 

 そう言って、俺は秀一を見る。秀一は目を逸らした。……そう。俺が最初に思ったのはその事だった。

 

 秀一はFBI捜査官だ。一線を越えてしまったキラーとは違い、それはやってはいけない事だという事をしっかり理解している。だからこそ、もしも万が一自分が心の闇に負けてしまったら?……そんな不安を抱いたのは一度や二度ではないだろう。

 自分の手で俺を傷つけてしまうかもしれない……そんな恐怖を感じたはずだ。今もそうなのかは、分からないが。

 

 

「……だが、俺は怖くない。こいつなら心の闇に負けないと信じている。……それに、もしも怖いならそんな事態が最初から起こらないようにすればいい」

 

「どういう事ですか?」

 

「こいつは俺との繋がりが断たれるか、俺自身に何かがあった時に暴走する可能性が高い。闇に呑み込まれるとしたらおそらくその時だろう。

 だったら、俺が秀一との繋がりを強めればいいし、俺自身が強くなって何が起こっても対処できるようにすればいい。だが、俺だけじゃない。秀一もそうするんだ」

 

「……っ!!」

 

 

 はっと顔を上げた秀一が、俺の目を凝視する。――思い出したか。

 

 

「――2年前のあの日。お前が自分で言った言葉をもう忘れたのか?秀一」

 

 

 ……俺がジンに人質として捕らわれた時、秀一が降谷達と共に助けに来てくれた。それから数日後にジンの取り調べを行った後。……俺は、秀一との師弟関係を解消しようとした。

 

 

 当時の俺は冷静ではなかった。俺がジンに人質にされた時の秀一の反応から、俺の存在が秀一の足枷になってしまうのだと思い込んだ。

 今後も秀一を狙う奴らが現れて、俺がその時にまた人質にされたら……秀一はきっと抵抗できない。俺を見捨てる事ができない。自分のせいで秀一を失う事になるかもしれない。

 

 そう思ったら、我慢できなかった。

 

 みっともなく取り乱して、秀一のために自分から離れようとした。しかし――

 

 

 

 

 ――それは和哉さんが人質に取られたらの話ですよね?……俺を甘く見ないでくれ。

 

 ――この俺が、同じ失態を繰り返すとでも?

 

 ――まぁそれでも安心できないのなら、俺も和哉さんもさらに自身を磨けばいいんですよ。何が起こってもすぐに対処できるように。

 

 ――それとも和哉さん。あなたはもう能力的に限界に達しているんですか?――その程度の男なんですか?

 

 

 

 

 ……秀一が、そう言った。実に生意気な発言だが、それのおかげで俺の心に火がついたのだ。

 

 ――その日以降。俺は自分を卑下する事をやめた。ただひたすら、自身を磨く事だけに集中する。そのおかげで、今まで以上に強くなれた。

 

 

「俺も秀一も、2年前よりも強くなっている。……1人じゃない。2人なんだ。――俺達なら何があっても怖くねぇよ」

 

「――――」

 

 

 そう、笑って見せた。……しかし、何も反応が返って来ない。風見と降谷は俺の事を食い入るように見ている。

 

 

「……な、何だよお前ら」

 

「…………いえ――赤井の事が心底、非常に、切実に……羨ましくなりました」

 

「私も、です」

 

「くく……これが、俺が敬愛する師匠であり崇拝してやまない飼い主。――俺だけの唯一無二だ。……欲しくなったか?だが残念。この人は俺のだ」

 

「そんな事は言われずとも分かってる!!そのドヤ顔潰してやろうか!?」

 

「やれるものなら、やってみろ」

 

「潰す!!」

 

 

 秀一が降谷を煽り、軽いじゃれあい(殴り合い)が始まった。全くこいつらは……

 

 

「荒垣さん」

 

「何だ?」

 

「失礼な事を言ってしまって、すみませんでした。私が聞いた事はあなたにも、赤井さんにも失礼な話でした」

 

「いや。お前が聞いた事は良いきっかけになった。失礼だとは思っていない」

 

「きっかけ?」

 

「あぁ……秀一はまだ本調子じゃなかった。キラーに言われた事がかなりショックだったらしい。……だが、お前から聞かれた事に俺が答えて、あいつは2年前に自分で俺に言った事を思い出してくれた。そのおかげであの通り、本調子に戻ったようだ」

 

「赤井さんは、何と言ったんですか?」

 

「……秘密だ。――この思い出は俺と秀一だけの、大切な宝物だからな」

 

 

 

 

━━━

━━━━━━

━━━━━━━━━

 

 

 秀一と降谷のじゃれあいを止めて、降谷達を見送った後。俺の車を停めた駐車場まで戻って来た。俺が運転席に座り、秀一が助手席に座る。

 

 

「さて、それじゃあ本部に戻るか」

 

「和哉さん」

 

「ん?」

 

「もしも、何らかの理由であなたが死んでしまったら――俺もすぐにその後を追ってもいいですか?」

 

「――は?」

 

 

 思わず秀一の顔を見れば、真顔でこちらを見つめていた。……と思いきや、にっこりと笑う。

 

 

「冗談ですよ。――今は」

 

 

 ――今は!?

 

 

「とりあえず和哉さんの死因は老衰で決定です。それ以外は認めません」

 

「病気の場合は、」

 

「規則正しい健康的な生活をしてください。何なら俺がその生活を管理しますよ」

 

「しなくていい」

 

「大丈夫です。その場合は俺が和哉さんの家に住むか、和哉さんが俺の家に住めばいいので」

 

「全然良くない。……そんなの、お前の恋人か嫁に言え。お前ならそのうち良い人に出会えるだろ」

 

「和哉さんが女性になってくれないと無理です。それが俺の理想ですから」

 

「冗談は顔だけに――って、おい……なんだ、その真顔は」

 

 

 しかし。すぐにまたにっこりと笑った。

 

 

「冗談ですよ。――こればかりは、和哉さんが生まれ変わってくれないと恋人にも嫁にもできません」

 

 

 いや、おい!?

 

 

「もしくは、俺が女に生まれ変わって和哉さんの恋人か嫁に、」

 

「待て。待て!お前どうした!?今までそんな事言わなかっただろ!?」

 

「それは、言ってませんから。和哉さんが知らなくて当然ですよ。……あなたが俺の心の闇に気づいているなら、それをもっとオープンにしてもいいのではないかと思いまして」

 

「はぁ?」

 

「さすがに人前の時は今まで通りにしますが……2人きりの時はもう遠慮しません。もっとはっきりと言葉にします。あなたへの執着心も隠しません」

 

「お……おう……」

 

「――これからも、俺をあなたの側に置いてくれませんか?」

 

「――――」

 

 

 そんな、捨てられる一歩手前の子犬みたいな目で見るなよ…………しょうがねぇな。

 

 

 

 

 

 

「――お前の"ハウス"は俺の隣だ」

 

 

 

 

 

 

 ――だから、好きにしろ。

 

 ――つまり俺が帰る場所はあなたの隣ですね?Yes,master(はい、ご主人様)!ついでに同居しましょう。

 

 ――しない。調子に乗るなよ馬鹿犬。

 

 ――和哉さんは人前では割りと素直になってくれるのに、何故俺と2人きりになると高確率で天の邪鬼かツンデレになるんですか?

 

 ――知るか。

 

 

 

 

 

 




・忠犬と一緒なら何も怖くない飼い主

 面会後に襲い掛かって来たキラーが赤井にあっさりと制圧され、哀れみの目を向ける。馬鹿だな……これでまた罪が重ねられたぞ。
 キラーを逃がしてしまった降谷達に謝罪され、あっさりと許した。二度目はさすがに許さないけどな。

 風見に赤井の心の闇が怖くないのかと聞かれ、むしろ赤井の方が怖いだろうと心配する。
 怖かったとしても、俺と秀一がどちらも強くなって何が起こっても対処できるようにすればいい……と、2年前に赤井に言われた事を思い出す。そうだ。俺達2人なら何が起きても怖くない!

 本部へ帰る前に、赤井の爆弾発言を聞いてフリーズする。俺が死んだら秀一も後を追う?俺が生まれ変わらないと恋人にも嫁にもできない?――はぁ!?
 今まで以上にオープンセサミされた赤井の執着心に面を食らうも、捨てられそうな子犬の目で見てくる赤井に負けた。

 ――お前の"ハウス"は俺の隣だ。……だから、好きにしろ。


・居心地の良い"ハウス"を確保した忠犬

 面会後にオリ主を襲おうとしたキラーをあっさり制圧。キラーに対して狂犬モードを発動したが、それよりも公安に制裁を加える事を優先した。一発殴るだけにしてやる。感謝しろ。
 降谷達が日本に帰る日になってもまだ怒っていたが、オリ主に宥められたので仕方なく許した。

 風見の疑問に対するオリ主の言葉に、ドキッとする。見抜かれていたか……
 オリ主に言われて、2年前に自分がオリ主に言った言葉を思い出した。そのおかげでようやく本調子になった。……欲しくなったか?だが残念。この人は俺のだ(ドヤァ)

 本部へ帰る前に、今までオリ主に隠してきた執着まみれの爆弾を落とす。
 オリ主が先に死んだら後を追う可能性大。オリ主が女だったら全力で口説いていた可能性大。自分が女でも全力で言い寄ってた可能性大。プチヤンデレ&プチメンヘラ。

 和哉さんの隣は誰にも譲らない!俺だけの"ハウス"、俺の縄張りだ!


・殴られた、元トリプルフェイス

 今回ばかりは殴られても文句は言えない……!大失態だ!!

 オリ主が寛容過ぎて泣きそうになった。二度と期待を裏切らないようにしなければ。
 風見の疑問に対するオリ主の答えに、唖然。ここまで部下想いの上司、弟子想いの師匠はなかなかいないだろう。赤井が羨まし過ぎる……!!

 そのドヤ顔、潰す!※本気の殴り合いはしない。


・殴られた、元トリプルフェイスの部下

 頬痛い……降谷さんが東都水族館であの拳を何発も受けて平気だった事が信じられない……( ; ゜Д゜)

 オリ主から後光が差しているように見えた。赤井さんが崇拝する気持ちが分かった気がします……!
 降谷も良い上司だが、オリ主も良い上司。公安に欲しかったなぁ……赤井さんに荒垣さんを譲って欲しいと言いたいが、怖くて言えない。


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