最終回後はその後編としてピキピキのしのぶ以外の子との話やちょっと甘めの話を書いていく予定なので楽しみにしていただけたらなと。
陽葉祭が終わった三日後の夕方、俺は一人で商店街をぶらりと歩いていた。
「はぁ〜……。」
最近しのぶとろくに顔も合わせられなくなってしまった……。理由は明白で、三日前のあの夜、しのぶにこの気持ちを伝えられなかったことが影響している。幸いしのぶは俺が言おうとしてたことを理解してなさそうだったけど、それはそれで気まづい……。早くこの気持ちを伝えないと一生しのぶと話せない気がする。
「……て、ノアさん?」
「ぬ、ぬっこ……!」
どうしようかとため息をつきながら歩いていると、ノアさんと思われる人が道端にしゃがみ込んで何かを呟いている。
「どうしたんですか?こんなところで。」
「に"ゃぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!?」
不意に話しかけてしまったからか、身体がビクッ!と跳ねて猫のような奇声を上げた。
「……って、和くんじゃないですか。びっくりさせないでくださいよ。」
「ご、ごめんなさい。と言うかどうして道端でしゃがみ込んでるんですか?」
「へ?あぁ、猫がいたから眺めてただけだよ。そう言う和くんは何しにここへ?」
「い、いや特に理由は……。」
取り敢えず誤魔化しておこう。そう思い理由は無いと逃げの選択肢を取る。すると、猫が嘘は良く無いと言わんばかりに「にゃー」と鳴き俺の方へすり寄って来た。
「はわわ……!か、かわいい……!」
俺のズボンに顔を擦る猫に対して、ノアさんは無言でスマホのカメラのシャッターを切っている。と言うか今ここでノアさんに会えたのは案外ラッキーかも知れない。
「あの、ノアさん。ちょっと良いですか?」
「はっ!ごめんね、急に肖像権ガン無視して写真撮っちゃって。」
「いや、それは別に良いんですけど。今から少し相談に乗って欲しいって言ったら迷惑ですかね……?」
「そんな全然!むしろノアさんに任せて!」
胸に拳を掲げ、快く承諾してくれた。話がついた俺たちは、猫を元いた場所に置いていき近くにあったカフェで話の続きをすることにした。
「ようやく果たせたね!和くんと二人で話し合うって。それで?どんな相談?」
席に座り、「私、アイスティーで。」と手早く注文したノアさんは、俺の相談に興味津々で聞き返した。
「恋愛相談、って言ったらなんか気持ち悪いですかね……。」
「へぇ〜、和くん好きな人できたの?もしかして、しのぶちゃん?」
「エ"ッ!?なんで知ってるんですか。」
「この前乙和がさ、"和也くんには気になる子がいる気がする。乙和ちゃんの目はごまかせないぞ。"とか言ってたんだよね。確かにいそうだなぁって思ってたけどまさか正解だったとは。」
「俺の顔ってそんなわかりやすいんですかね……。」
「和くんって言うより乙和の異常な勘の鋭さのせいな気がするけどね。あの子普段はバカなのにこう言うことに関しては的確なんだから。」
バカって……はっきり言うなぁ。それほど仲がいいってことでもある……のか?
「な、なるほど……。えっと、話を戻すと、」
それから少し、陽葉祭の日の夜に何があったかを話した。
「ふむふむ……つまり、和くんは彼女が好きってことをしのぶちゃんが理解してくれなかったから、余計に恥ずかしさを感じて話し出すことが出来ないのね?」
「はい、ある程度はそれであってます。……俺はどうすればいいんですかね。このまま言わなくてこんな関係続けてたらいつか本当に嫌われちゃうかもしれない。」
「意外と簡単なことだと思うよ。」
「ほ、ほんとですか!?じゃあ俺はどうすれば。」
「勇気を出す!それだけ。」
「え……。」
予想外の答えを聞いてつい意味わかんないんだけど、と言わんばかりの返事をしてしまった。
「その悩み、自分だけだと思ってない?きっとしのぶちゃんも気にしてる。好きな子をずっと心配させるのはフラれた和くんよりかわいそうだと思う。特にしのぶちゃんは、そんなことあっても今までの関係を崩したりするほど和くんのこと一般人として見てないと思うし、しのぶちゃんにとって和くんは"特別"なんじゃ無いかな?」
「俺が……特別……。」
「そうだよ。しのぶちゃん、ピキピキとお昼食べてる時も前までずっとDJの話か響子ちゃんの話しかしてなかったのに最近は和くんのこといっぱい教えてくれる。それって特別に思ってないとできないことだと思わない?」
ノアさんは少し微笑み俺の顔を見る。そっか……俺、知らないうちにしのぶのこと心配させてたのか。自分のことで精一杯すぎて周りのこと見えなかったみたいだ。
「俺、伝えます。この気持ち……。」
「うん。しのぶちゃんを取られるのは少し嫉妬しちゃうけど、頑張ってね。」
俺の相談が終わると、今度はノアさんがしのぶの可愛さについて語り尽くしてくれた。所々頷ける点も多く、人のことよく見てるんだなって。
明日は都合よく休み、絶対に言うんだ"好き"だって。