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放課後、響子たちと別れてアタシはいつもは通らないはずの商店街を一人で歩いていた。響子も由香も自分で気付くべきって……どう言うことなのか未だにわからない。絵空も「しのぶはこう言うの、やっぱり疎いのね♪」と半ば楽しそうに言ってて頼れそうに無いし、どうしたものか。
「あれ?和……。」
和と……あれはノアか。珍しい組み合わせだな。なんで二人でいるのだろうか……?
「っ!」
二人で微笑みながら何か話しているだけなのに、なんだこのモヤモヤした気持ち……。
「しのぶさん?」
和とノアを見て立ち尽くしていると、見知った声の少女が話しかけてくる。
「咲姫か、こんなところでどうしたの?」
「なんだかしのぶさん、怒ってた気がしたから話しかけてみたんですけど。」
そう言いながらアタシの肩からひょこっと顔を出し、アタシが向いていた方に視線をやる。
「和也さんがいますね。彼と何かあったんですか?」
「いや、それがアタシにも分からないんだよ。」
「分からない、ですか……。」
「うん、なんか和が別の女の子と楽しそうにしてるの見てるとモヤモヤすると言うか。」
「それは恐らく"恋"じゃないでしょうか?」
しばらく咲姫は顎に手を当て、何かを思い出すような仕草をとると急にそのような事を口にした。
「こ、恋?アタシ、別に和のこと好きなんて思ってないんだが……?」
「いえ、間違いなく恋だと思います。この間、乙和さんが教えてくれました。"胸がぽっかりと空いた気分になるのは恋してるって証拠なんだよ"って。」
「乙和の言葉にそこまで自信持てるのすごいな……。」
恋、か……。考えたこともなかった。確かに最近和を見てると妙に胸がざわついたり、響子たちと話してるとき、不意に和のことを話題に出してしまっている気がする。これも恋してるってことなのか?
そう感じた途端、数日前に和が言っていた言葉の意味が少しづつわかったような気がする。
「ど、どうしたんですか!?急に顔が赤く……早く病院に……。」
「い、いや大丈夫、風邪じゃないから。ちょっと恥ずかしかったこと思い出しただけ。」
「そうですか……ならいいんですけど。」
「ちょっと用事思い出したから先行くね。」
そう言い、咲姫の返事を聞く前にその場から逃げるように去った。その途中でスマホの通知音が鳴り、手に取って送信されたメールの内容を見る。
"明日、休みだろ?どっか出かけないか?"
そこにはたった一行の短い文が届いていた。何故呼び出されているのか何となくわかってしまった私は少し動揺してしまい、
"いいよ"
と少し返事で済ませてしまった。うぅ……顔が熱い。和、アタシのこと好きだったってことでいいんだよな……響子たちもこの事を知ってて自分で考えろって言ってたのか。こんな恥ずかしくなったのはハロウィンライブ以来かもしれない。
そうなるってことは、アタシも和のことを……。
………………………………………………
翌日、朝早く起きてしまった俺は目を覚ますべく洗面台へ顔を洗いに行く。いつもなら"めんどくさい"と返されていたメールも昨日は珍しく肯定的な返事をされて余計にドキドキしてあまり眠れなかったのだ。顔を洗ってからしばらく、服を着替えて家を出る準備を進めていた。告白すると考えると無意識のうちに少し周りの目を気にして柄にもなくおしゃれしてしまう。
「あれ、和也どっか行くの?」
「ちょっとしのぶと出かける。」
「へぇ〜珍しいね、気をつけなよ。」
「そんな遠出する気ないし大丈夫だと思う。じゃあ行ってきます。」
姉ちゃんと軽い会話をして俺は家を出た。
ピンポーン
しのぶの家の前に着き、インターホンを鳴らすとしばらくしないうちにしのぶが出てきた。
「……おはよう。」
「おはよ。」
しのぶは相変わらず眠そうに答えた。
「そ、それじゃあ行こうか。」
少しの沈黙が生まれ気まずくなったので、話題を変えるべくそう言った。しのぶは何も言わずにコクッとうなずき俺の横にくっつくように歩いた。
それからしばらく歩き、目的地が何となくわかったのかしのぶが不思議そうな顔をして俺に聞いてきた。
「もしかしてあの公園行くの?」
「うん、あそこなら人も少ないしちょうどいいかなって。」
あの公園とは、俺やしのぶ、渚がまだ小学生とかの頃によく来ていた公園なのだ。ここは公園として珍しく、人通りも少ないし一日通して何故か人が全くと言っていいほどいない。だから俺らはここを「秘密の公園」と呼んで度々遊びに来ていた。
「相変わらず全く人いないな。」
しのぶが誰もいない公園に目線をやりそう言う。
「昔から変わってないって考えるとどうしてここ潰れないんだろうな。」
俺も少しディスリ混じりの言い方で呟き、子供の頃よく座っていたドーム状の遊具の上に座る。
「懐かしい……。」
しのぶは俺が座ってる光景を見て言葉をこぼし、俺の隣に座った。目的の場所にも着けたし、話すか。
「なぁ、しのぶ。」
「ん?」
「この前の続き、今話そうかなって。いいかな……?」
「……。」
俺がそう言うとコクッと静かに頷いた。
「単刀直入に言う、」
「俺、しのぶのことが好きだ。」
しのぶは俺が言おうとしていたことを知っていたかのように俺の目を見つめる。
「……驚かないんだな。知ってたのか?」
「まぁね、つい昨日だけど。」
しばらくしのぶは俺を見つめ、俺は恥ずかしくなってしまい顔を逸らしたまま聞く。
「で、答えは……?」
「……いいよ。」
しのぶは下を向きながら少し顔を赤くしてそう返事をした。
「えっ?マジで?」
「和から聞いてきたのにその反応なんなの……。」
「いや、まさかOK出るとは思わなくて。てっきりDJが忙しいからとかの理由で断られるのかと。」
「アタシもさ、昨日色んな人と話したんだよ。和が他の女の子と話してると心臓が締め付けられるような感じがするって。最初はこの気持ち、さっぱり分からなかったけど、最後に咲姫と話して分かったんだ。アタシも和のこと好きなんだなって。」
「そう……なのか。」
お互い恥ずかしくなり、沈黙になる。俺らしかいないこの公園で鳥のさえずりだけが響き渡る。
「その代わり条件がある。」
しのぶはこの沈黙を破り声を出した。
「じ、条件……?」
「アタシと関わりのある人以外に付き合ってるってこと教えるのやめて。もし知られたりしたら、ピキピキとしての活動もしにくくなっちゃうでしょ。」
「元より言いふらす気ないっての……。」
「それはそうか、和にそんなこと言いふらす勇気ないだろうしね。」
「はぁ!?んなことないし!」
ふん!と鼻で笑うしのぶに対してそう声を荒らげた。そうするとしのぶは楽しそうに笑う。
ようやく仲直り出来たみたいだ。
「ねぇ和。」
公園からの帰り道、付き合えたと言う事実をまだ理解しきれず戸惑っていると、しのぶが話しかけてくる
「なに?」
「これからもさ、彼女としてじゃなくて"幼馴染"として付き合ってよ。」
「当たり前だ。しのぶはしのぶだから、付き合い方を変えることはしない。」
「……っ、ありがと。」
改めて二人で見つめ合い笑いあった。
俺はこの時、幼馴染を好きになると言う漫画でしかないと思っていた感覚を初めて知った。