しのぶが一番だけどたまに由香って可愛くね?って思ってしまう……。お互い声優も可愛いってずるいよね。
翌日日曜日、俺はしのぶの家の前に来てインターホンを鳴らしていた。
「……でねぇ。」
はぁ、とため息をつき鞄から鍵を取り出して自分で家の玄関を開けた。
なんでしのぶの家の鍵なんて持ってんだよって思うかもしれない。まぁしのぶのお母さんに「これからもちょくちょく来るだろうから渡しておくね。」と合鍵を渡されたのだ。
少しは警戒しろよ……と思う俺はドアをくぐる。
「ん?あぁごめん。自分で入ってきたのか……ふわぁ。」
玄関を開けると眠そうに欠伸をしながら目を擦るしのぶの姿があった。
「また夜更かししたのか?昨日あれだけ言ったろうに……。」
「ピキピキのセットリストを考えてたら遅くなっちゃったんだよ。仕方ないだろ?」
「まぁそれなら良いかもしれないけど10時から来るんだろ。準備はしておきな。」
「はーい。」と今だに眠そうな顔をして洗面所へ入って行った。
その後朝ごはんを作り、雑談をしているとインターホンが鳴り、しのぶが応答しに行く。
「「「お邪魔しまーす。」」」と言う声と同時に三人ほど家に入ってきた気配を感じる。その人たちがきっとピキピキのメンバーさんなのだろう。
彼女らがリビングの前を通り過ぎようとした瞬間、一人の少女と目があってしまった。
「しのぶー誰あの子?」
「ん?あぁーアタシのご飯とか作りに来てくれる幼馴染だよ。お昼もあいつに作ってもらうし……まぁ世話役だな。」
そう言うと他三人が驚いた表情をしながら声を上げた。
「え、しのぶ幼馴染いたの?」
「あれ言ってなかったっけ?」
「それにお世話係をやらせてるだなんてしのぶちゃん大胆ね〜♪」
「?。何言ってるんだ絵空。ただ親がいないと栄養偏るから料理が得意なこいつに任せてるだけだぞ?」
……あんまりこっちを見ないでいただきたい。なんか恥ずかしい。
「じゃあ今日のお昼も彼に作って貰うの?」
「うん。了承は取ってある。」
「そっか。じゃあ自己紹介しないとね。」とこっちを振り返り、帽子を被った少女が口を開いた。
「私、山手響子よろしくね。」
響子さんがそう言うと続いて二人も自己紹介を始めた。
「はーい私笹子・ジャニファー・由香デース!気軽に由香で良いよ。」
「最後は私ね。清水絵空と申します♪よろしくね。」
写真、及びライブ会場で観てた人が今目の前で会話してる……。アイドルに会う時ってこう言う感情なのかな?
「あっ、俺も名乗らなきゃだね。えっと藤原和也。俺も和也で良いよ。」
「よろしく、和也。ところで料理得意なの?」
「あぁ、小学生の頃から趣味でやってるんだ。まぁでもしのぶのご飯を作るようになったのは高校入ってからだけどね。」
「へぇ〜自炊できるようにしてるなんて偉いね。」
「いや、それほどでも……。」
笹子さんに褒められてつい照れてしまった。写真で見てたけど実際目の前で見ると……やっぱ可愛い。
「ほら、早くしないと時間なくなっちゃうぞー。アタシの部屋上だから早く行く。」
「それもそうだね。じゃあ和也お昼、よろしくね。」
そう言い残し、上の階へと上がっていった。
ふぅ、と改めてソファーに腰を下ろすとしのぶの愛犬であるハンゾウが隣にやってくる。
「ハンゾウ、お前も一人なのか……。」
ワフと一言鳴いて俺の横に包まった。あの僅か数分だけでめちゃくちゃ濃い時間を過ごした気がする。
「ふわぁ……。眠い。」
しのぶに夜更かしするなとか言ってたけどそんなこと言えないな。少し横になろうかと俺はソファーに寝転がる。ハンゾウの体温もあってか、そのまま意識を落としてしまった。