犬寄しのぶと幼馴染くん   作:水城伊鈴

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一度投稿するとモチベが出てきて投稿が早くなる人間です。多分そろそろまた無くなってきます。次回辺りは由香がメイン、その中に何人かゲストキャラを織り交ぜたものを投稿すると思います。ぜひお楽しみに〜


はぐれたの子猫たち

旅館を出た俺たちは、バスに揺られショッピングモールへとやって来る。まぁショッピングモールでの話はこの前もあったから以下省略……。お昼も食べ、ひと休憩を終えると俺が昨日提案した神社に行こうと少し歩いた。

 

「結構混んでんな……。」

 

「うん、はぐれないようにみんな出来るだけくっついて移動しましょ?」

 

由香さんの言葉に従い、夏休み特有の人混みの波に逆らって神社の鳥居を潜る。ここの神社、有名故に夏休みにもなると人で溢れかえってしまうのだ。

 

「うおぁ!?」

 

「し、しのぶ!」

 

少し人にぶつかり、よろけた瞬間にしのぶは人混みの波へと呑まれてしまう。俺は腕を伸ばし、手を繋ぐよう促すと俺もそれに巻き込まれて響子さんたちと離れ離れになってしまった。

 

…………………………

 

「大変なことになったな……。」

 

「……か、和。」

 

人混みから抜け出して、響子さんたちとはぐれたことに頭を抱えていると、しのぶは顔を赤くし俺に何かを訴えてくる。

 

「なに?」

 

「手、いつまで繋いでんの?」

 

「へ?あぁ!!」

 

さっきしのぶが呑まれた時に離れないように繋いだ手を今の今まで繋ぎっぱなしで行動していたことを思い出し、ついびっくりしてパッと手を離す。

 

「ご、ごめん……。」

 

「……別にいいよ減るものでもないし。それより響子たちと連絡取ろう?」

 

「そ、そうだね。」

 

なんともないような顔しているけど、結構動揺してるなこれ……。ま、まぁそれはさて置いて俺は携帯を取り、響子さんへメールを送った。

 

"大丈夫ですか?"

 

"和也、しのぶと一緒にいる?"

 

"俺らは無事ですよ。ただちょっと結構奥の方に入っちゃったみたいで……合流するのは少し難しそうです。"

 

"そっか……。じゃあ二人で回ったら?"

 

"でも響子さんたちは……?"

 

……

 

"絵空も由香も二人で行けだってさ。"

 

"な、なんでですか。"

 

"せっかくの旅行なんだからしのぶと二人っきりで楽しんできなよ。それに、ここの神社のご利益恋愛成就でしょ?"

 

"あぁー、そう言うことですか。"

 

"そう、なおさら二人でね。私たちは別で回るから夕方くらいには空いてくるだろうし、その時合流しよう。"

 

"わかりました。何から何までほんとになんて言ったらいいか……。"

 

"問題ないよ。その代わり、しのぶのことよろしくね。"

 

"もちろんです!"

 

「話ついた?」

 

メールを終わらせ、携帯の画面を切るとしのぶは待ちかねたかのように聞いてくる。

 

「まぁ大体のことは。てかしのぶが連絡すれば良かったのに……。」

 

「アタシがしようとした時にはもう和がスマホ開いてたんだろ?だからもう良いかなって。」

 

「そう言うことか。」

 

「んで?響子、なんて言ってた?」

 

「あぁ、まだ入り口の方でもたついてるらしくて先に二人で回っといてってさ。」

 

「マジか……面倒なことになったな。」

 

「こうなったからには仕方ないよ、先に行こう。夕方くらいには合流できるはずだから。」

 

響子さんたちにここまでお膳立てしてもらったんだ。勇気を出せ……!そう思い俺はしのぶの一歩前に出て手を差し出した。

 

「な、なに?」

 

「ま、まだ全然人多いし、俺らがはぐれたら余計厄介なことになるからさ……もうちょっとだけ手繋いで行かないか?」

 

うぅ〜恥ずかしすぎる!なんだこの臭い台詞……言わなきゃ良かったかも。しのぶも無言だし……。

 

「嫌なら別に良いんだぞ。い、嫌だよな俺と手繋ぐなん……」

 

俺が言いかけると、キュッと手に温かい感触を感じた。

 

「し、しのぶ……?」

 

「和とはぐれたら響子たちとも合流するの遅くなるだろうし、仕方ないから繋いであげる……。」

 

しのぶは顔が赤くなったのを見せたくないのか、そっぽを向きながら俺の手を握る。

 

「……じゃあ行こうか。」

 

俺の言葉にコクッと頷き、歩き出した。周りからの視線が痛い……絶対ラブラブカップルみたいな目で見られてんだろうなぁ……。あんま悪い気はしないけど、恥ずかしい……。てかしのぶの手、温かいし柔らかい。まるで子供の手を握ってるみたいだ。

 

「和の手、でかいな。」

 

しばらく本堂への道を並んでいると、しのぶがふとそう呟いた。

 

「そりゃあ男だし、こんなもんじゃないか?」

 

「そっか、和と手繋ぐの幼稚園以来だからそう感じるのかも。」

 

「なんだそれ?」

 

「さぁね、アタシにも分からない。」

 

他愛もない話でもやっぱりしのぶと二人でいる時がなによりも心が落ち着く。だんだん手を繋ぐことにも慣れてきたし、ちょうど良いタイミングで本堂に到着した。

 

カランカラン……

 

「しのぶ、なんてお願いした?」

 

「教えるわけないっつーの。そう言う和は?」

 

「しのぶが教えてくれないなら俺も秘密。」

 

お参りも済ませて俺らは人混みのない脇の方へと抜けると、どんなお願いをしたかについて話し合う。……まぁこんなお願い、しのぶに聞かせられるわけないんだけど。もし知られたら恥ずかしすぎて死んでしまうかもしれない。

 

"これからもしのぶ(和)とずっと一緒にいたい"なんてお願いを……。

 

………………………………

 

夕暮れ時、俺らはあれから適当に辺りを散歩しているとまだ何人か残ってはいるが、あれだけいた人の束があっという間に少なくなっていた。そうすると、向こうから手を振ってこちらに向かってくる人影が見えた。響子さんたちだ。

 

「おーい!」

 

「ふぅ……やっと合流できた。」

 

しのぶは響子さんたちの顔を見ると疲れたように息をつく。

 

「色々アクシデント続きだったからな。しのぶが疲れるのも分かるよ……。」

 

できることなら早く帰って寝たいくらい今日は疲れた。体力的にも精神的にも。ん?精神的って俺、まだしのぶと……!!左手に残る柔らかい感触に俺は冷や汗が止まらない。これ、響子さんたちに見られたら……。

 

「あら〜♪しのぶちゃんたち大胆ねぇ♪」

 

「ほんとだ!いつにも増してラブラブだね!」

 

と思った時にはもう手遅れで、絵空さんたちは目をハートにしたように見惚れていた。

 

「っ!?」

 

しのぶはようやく気づいたのか、顔を若干赤くしてパッと手を離す。

 

「良いのよカップルなんだし、もっとイチャイチャしていても♪なんならここからキスまでやっちゃう?」

 

「うがー!やるわけないだろ!特にお前らの前では絶対しないからな!!」

 

パシャ!

 

顔を真っ赤にしたしのぶが、怒りに任せ絵空の頬をグニグニ引っ張っているとどこからともなくシャッター音が聞こえる。

 

「ゆ、由香……!?」

 

「いや〜良い絵が撮れたよ!まさに思い出の一枚だね!」

 

「なぁ、それってアタシと和が手繋いでる写真もあるのか……?」

 

「もちろんあるに決まってるじゃない!あんな最高のシャッターチャンス、私が逃すわけないでしょ?」

 

「今すぐ消せー!!」

 

そう声を荒げるとしのぶは、由香さんのカメラを奪い取ろうと二人で格闘し始めた。身長差のせいで一向に取れる気配がないけど……。絵空さんは絵空さんで、しのぶの引っ張られた頬をさすりながら涙目を浮かべている。まさにカオスと言うべきか……。

 

「あはは……もうめちゃくちゃだね。」

 

「は、ははは……。」

 

響子さんと俺は額に汗を浮かべながら笑うことしかできなかった。

 

と言うか手繋いでた写真撮られてたのか。ちょっと欲しいけど俺が言ったらまたカオスになりそうだし……。

 

「私が貰っといて後で渡そうか?」

 

言い出すべきかどうかを悩んでいると、響子さんが心を読んだかのように俺に微笑みかける。

 

「やっぱり分かっちゃうんですね。」

 

「和也のことは顔を見てるだけでなんとなく分かるんだよね。」

 

「さ、さすがカリスマ……。」

 

「褒め言葉として受け取っとくよ。それで?どうするの?」

 

「はい、できればお願いします。」

 

「オーケー、じゃあ貰ったらまた教えるよ。」

 

俺と響子さんがコソコソ話をしていると、争いが終わった様子でしのぶが息をあげる。

 

「はぁ……はぁ、もう限界……。」

 

「しのぶバテるの早いすぎ〜。私と体力勝負なんて百年早いんだから!」

 

「こ、この体力お化けめ……。」  

 

「争いは終わったっぽいね。じゃあ、日暮れも近いし帰ろうか。」

 

しのぶの体力限界を見兼ねて、響子さんがそう言い旅館へ戻ることを決めた。

 

帰りのバスではみんな(俺としのぶ)疲れて旅館に着くまでたっぷりと寝てしまった。その時の寝顔を撮られて俺も加わり、由香さんのカメラを奪いに行くのはまた後の話。




あんま!って自分で書いてて思っちゃうほどのものになってしまった……。しのぶは赤面させると可愛いと思うんですよね。だから赤面多めで書きました。


【次回】初のジム通い?
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