次回は早く出せる、はず……。
「聞き慣れた声がすると思ったらやっぱりね。」
急に後ろから大人びた声が聞こえ、俺らは同時に後ろを振り向く。
「「ダリア!」」
「こんにちは、たまたま来たんだけどみんな居るみたいで良かったよ。」
(由香さん由香さん)
(どうしたの?)
(この女性、誰ですか?明らかに年上っぽいですけど……)
「あの……コソコソ喋ってるけど何について話してるかバレバレよ。」
コソコソとダリアさんと言う女性について誰なんだと話していると、それを察したのかダリアさんは苦笑いしながら俺の顔を覗く。
「ご、ごめんなさい!見たことない方だったから、誰なのか気になっちゃって……。」
「確かに。じゃあ、軽く自己紹介しようか。松山ダリア、Merm4idって言うグループでダンスをやってるよ。由香や衣舞紀とは、このジムでよく顔を合わせるから仲が良いんだ。」
「なるほど……そのMerm4idって言うのもDJユニットなんですか?」
「うん、今日はうちのDJの子も連れて来たんだけど、まだ着替えてるみたい。」
「な、なんか人増えてるんだけど。」
「あ、さおり!ようやく来た。」
ダリアさんの所属してるユニットのDJの話をしていると、タイミングよく、自信のなさげな声が聞こえてくる。
「見覚えある子しかいないと思ったら、男子も混ざってるし……どう言う集まりなのこれ?」
「和也も自己紹介した方がいいんじゃないかしら?」
「はい、衣舞紀さんの言う通りかもですね。えっと、藤原和也です。犬寄しのぶって子の幼馴染で、それ繋がりで由香さんとは仲良いです。衣舞紀さんは今日初めましてだけど前々から知ってたって感じですかね。」
「へぇ〜あの子の幼馴染なんだ。」
「さおりさん、しのぶのこと知ってるんですか?」
さおりさんはしのぶのことを"あの子"とあたかも知っているかのように言っていたので、つい気になって聞き返す。
「ん?あぁ、実際会ったことはあんまりないんだけど、渚から耳にタコが出来るぐらい聞いてるからさ。」
「な、渚……。」
「そこら辺も込み込みで私も自己紹介しなきゃか。日高さおり、大学生でDJやってます。さっきも言ったけど、渚とは同じ大学通ってるから割と仲良くしてる。だからしのぶのこともある程度は知ってるよ。」
「だから渚のことも知ってるんですね。」
大学生か……。やっぱり俺の見立て通り年上だったらしいけど、そこまで上の人だったとは。由香さんや衣舞紀さんは呼び捨てで呼び合っているし、本当に仲が良いんだろうなぁ。
「じゃあせっかくだし、ダリアとさおりも一緒にやる?」
「うん、お言葉に甘えてそうさせてもらおうかな。」
「急に人が増えた気がするわね。」
「ですね。」
二人から三人へ、三人から五人へと、たった数分でここまで増えたことに、衣舞紀さんは苦笑いしつつ、トレーニングを再開するのだった。
………………………………
「「……。」」
更に数時間後、俺とさおりさんは、彼女たちのありえない体力にただ放心していた。
「あの人たち、何分動き続けてるの……。」
「分かんないです……。ただ、分じゃなくて時間は経ってると思いますよ……。」
「マジか……元気すぎる人たちの見過ぎで時間感覚狂ってきたのかな……。」
そう言うのも無理はない。なんせあれから一度も休憩せずに動き続けてるのである。ダリアさんが混ざったこともあり、勝負心に火がついたのか、衣舞紀さんと筋トレしてた時よりも更に熱気を増している。
「私もう動けないのに、良くあんなに動けるね……。」
「ハハハ……ですよね。俺も一時間ぐらいは耐えれましたけど、これ以上は動ける気しないです……。」
「はぁ、和也が常識ある人でよかったよ。」
さおりさんは安堵したようなため息をつき、そう言う。
「なんですかそれ?」
「いやさ、最近何かと変に癖の強い人としか絡んでないからさ、和也みたいな常識の通じる人と話すの久しぶりだなって。」
「癖の強いって、俺もある方じゃないですかね?」
「Merm4idのメンバーに比べたら何倍もマシ。」
「あ、はい……。」
謎の圧力を感じてつい押し黙ってしまった。Merm4idのメンバーさんって、そんなに癖の塊なのだろうか……?
「はぁ……はぁ……やるわね!由香、衣舞紀。」
「「ダリアこそ……!」」
「あ、やっと終わった。」
勝負に一段落着いたのか、額に汗を浮かべ気持ち良さそうな顔をして、三人で見つめ合っていた。
「ふぅ〜!良い汗かいたよ〜!」
由香さんはタオルで汗を拭いながら、俺の横に座る。てかなんであれだけの運動量でこんな気持ちいい顔できるんだ……?俺だったら絶対、白目向いてると思う……。
「キリも良いし、日も暮れてきたから、ここで終わりでも良いと思うけど、和也とかは平気?」
「はい、全然良いですよ。むしろダリアさんたちがどうするかによります。」
「私、そろそろバイトがあるからここでお暇させてもらうけど……さおりは?」
「だ、大丈夫。て言うかしばらくジムは行かなくて良いや……。」
さおりさんはげっそりとした顔でそう言う。その時、俺は苦笑いしていたが、さおりさんの言ってることも一理ある……。
「じゃあ、今日はここでお開きにしましょうか。」
「由香さんはどうするんですか?」
「うん、和也くんを見送るだけして私も仕事に戻ろうかなって思うよ。」
それから、俺らは着替えを済ませ、由香さん以外の三人と別れた。
「今日はありがとね!わざわざうちのジムに来てもらっちゃって。」
「そんなことないですよ。俺も久しぶりに運動できて楽しかったですし。」
「でも、途中から私たちだけで燃え上がって、さおりも和也くんも置いてけぼりにしちゃったのは本当にごめんね……。」
「ちょっ!?そんな顔やめてください!由香さんらしく無いですよ!本当に楽しかったし、衣舞紀さんたちとも知り合えたのは由香さんのおかげだから、気にすることじゃ無いですよ。」
反省しているように、しゅん……と悲しそうな顔をする由香さんを励ます。
「和也くんはやっぱり優しいね。」
「由香さんはそうでなきゃ……っ!?」
由香さんはいつもの笑顔に戻り安堵したが、急に俺の頭を撫で出し、言葉が詰まってしまった。
「ちょ、ちょっと……恥ずかしいからやめてください……///」
「ふふ♪アメリカではこうやって友達のことを褒めるのよ?」
「しのぶから聞いてますけど、由香さん、ほぼ日本にしか住んで無いんですよね……。」
「そうだけど、パパが昔からこうやって褒めてくれてたからきっと正解デース!」
「う、う〜む……。」
由香さんの手、暖かくてすごく落ち着く。めっちゃ恥ずかしいけど、悪く無いかも……。
「由香〜?お母さんちょっと出掛けるから受付、任せても良いかな〜?」
悪く無いかもなどと感じ始めると、タイミングが良いのか悪いのか、由香さんのお母さんが彼女のことを呼ぶ。
「は、はーい!ごめんね?もう行かなくちゃ。」
「じゃあ、俺もこれでさようならで。」
「うん!また時間が空いた時、うちに寄ってね〜!」
俺らは手を振り合って、別れることになった。さおりさんも言ってたけど、ジムはしばらく行かなくて良いや……。でも、由香さんにあんな笑顔で言われちゃったらな〜……。
「ただいまーって、しのぶ?」
前回今回としのぶが全くで出来ませんでしたね。やっちゃった☆
次回「彼女と初デート」