行く人、見る人は存分に楽しみましょー!
「ただいまーって、しのぶ?」
「やっと帰ってきた。」
俺がジムから帰ってくると、リビングのソファに腰をかけ、若干ソワソワとした様子を見せるしのぶがいた。
「珍しいな、しのぶがうちに来るって。何か用事?」
「ん、まぁそんなとこ。」
しのぶは、小さく頷き、隣に座ってくれと促すように、手をトントンと叩く。
「よいしょ。んで、用事ってなに?」
「う、うん。その……明日暇?」
「あぁ、暇だけど。どうしたんだよ?そんな恥ずかしそうにして。」
「だから……その……暇ならデ、デート行かないか……?」
「っ!?」
ま、まさかしのぶからそう言う誘いを受けるとは……。初めは俺から誘いたかったものだけど、言い出すのが遅かったか。
「嫌ならいいんだけど、どうすんの?」
「嫌なんてことないよ。俺もしのぶとデートしてみたかったし。」
「じゃあ決まり。明日、とりあえずうちまで来てよ。行先はその時考えよう。」
「おっけー。」
しのぶはそれを伝えると、そそくさと家へ帰っていった。
「……。し、しのぶとデート……!!めっちゃ楽しみなんだが!?」
「和〜うるさい。」
俺は部屋に戻って、今の気持ちを純粋に叫び、姉に叱られた。しかし、そんな声は聞こえることも無く、しばらくニヤけた口を戻すことが出来なかった。
〜翌日〜
「おはよ。」
「うん、おはよう。寝不足か?」
「うっ……」
図星である。昨日、デートが楽しみすぎてなかなか眠れなかったのだ。
「まぁ、いいや。どこ行こっか。」
「そうだな〜……とりあえずこの前のショッピングモール行くか。」
「それもそうだね。」
そう話をつけ、俺らは響子さんたちと初めて出会った時に行ったショッピングモールへと足を運んだ。
………………………………
「相変わらず人多いな。」
夏休みだからってのもあるんだろうが、いつ来ても一定以上混んでるのは、さすが大型ショッピングモールって感じだな。
「まぁ、この前の旅行と違って割と道は空いてるし、迷子になることは無いだろ。」
しのぶはそう言うと、俺の手を引き、行きたい所へと連れていく。平然と俺としのぶは手を繋いでいるが、迷子になったあの日が理由か、手を繋ぐことに少し抵抗が無くなったのである。まだちょっと恥ずかしいけど……。
「って、ゲーセンかい。」
「べ、別に良いだろ!和と一緒にゲーセン行く機会なんて滅多に無いから……。」
そ、そう言うことか。学校帰りにいつも行ってるって聞いてたから、行くとこは変わらんのかと思ったけど、俺と行きたかったのか……。な、なら付き合ってやっても良いかな。
「和、何一人でニヤニヤしてんの……。」
「んんっ、なんでもない。じゃあ何からやろうか?」
ジトーっとした表情で俺の顔を見てきたので、咳払いをし、話を逸らすようになんのゲームからやるか聞いてみる。
「んーなんでもいいけど、せっかくなら対戦ゲーやりたいよな。」
「だね。まぁ、最初は無難に音ゲーからやるか。勝負もスコアで決められるし。」
「おっけー、やってやろうじゃん。」
急にゲーマーの目するなぁ……。まぁ、いつも負け続きだし、今日は勝たせてもらうぞ!
………………………………
「やっぱり負けた……。」
「当たり前だろ?和がアタシに勝つなんて百年早いっつーの。」
あの後音ゲーの他に、格ゲー、シューティングゲーと色々やり漁ったが、結果格ゲー以外全敗と言う惨敗具合……。でも、しのぶは楽しそうだったし、今日のところは許してやる。い、言い訳してるわけではない。
「ゲーセンはもう良いか。次どこ行く?」
「うーん、そうだなぁ……って」
俺が答えようとすると、目先のお店に見慣れたツインテールの少女、絵空さんの姿が見えた。しかも今、完全に目があってしった。
「っ!?ちょ、和!?」
何故かは俺にもわからない。絵空さんと合流して一緒に回ることもできたのに、気づいたら俺は、しのぶの手を取り、絵空さんから見えないところへと逃げていた。
「むぐー///!?」
「ちょっとだけ我慢して。」
自動販売機と曲がり角にある絶妙な隙間に隠れ、姿がバレないように、背中を向けながらしのぶを抱きしめる。
「こっちにしのぶと和也くんがいた気がしたのだけど……気のせいだったかしら?」
背後から絵空さんの声が聞こえ、横目で見ると、来た道と逆方向に歩いていくのが見える。
「ご、ごめん。急にこんなことして。」
「平気だけど、絵空なら話をつければ別行動してくれたんじゃないのか?」
「そ、そうかもしれないけど、今日は俺としのぶのデートだからさ、他の人と会いたくないなって。」
「……。」
なんでこんななろう系主人公みたいなこと言ってんだろ……。しのぶも黙りっぱなしだし、絶対キモがられてるよな、これ……。
「なにボサッとしてんの?」
「……?」
「あ、会いたくないなら早く行かないと絵空、また戻ってくるぞ。」
「わ、わかってる。」
お互い顔を赤らめ、若干ぎこちなくも俺らはその場を後にした。
今回は甘々、ベタベタな恋愛小説です。