犬寄しのぶと幼馴染くん   作:水城伊鈴

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約2ヶ月ぶりの投稿が番外編で申し訳ないです。
本編は書いてますがまだ少し先になりそうなのでもうしばらく待っていてください。


【番外編】九月九日、絵空の誕生日

9月9日、たまたま学校が休校となり、暇だなと俺はベッドの上でスマホを触っていた。

 

ピロン♪

 

「こんな昼間にメール?誰だろ……」

 

いきなり通知音が鳴り、不思議に思いながら通知欄を開くと、どうやら送り主は絵空さんだったらしい。今日、彼女らは学校だろうと言うのになぜ今メールをよこすのだろうか?それだけ大事な話ってことかな。

 

"今日、和也くんの学校お休みってしのぶちゃんに聞いたのだけど、今大丈夫?"

 

"はい、全然平気ですよ"

 

"それと、この後暇かしら?"

 

"まぁ、やることは無いですけど"

 

"それなら家に遊びに来ない?"

 

"なんで急に……?"

 

また何か企んでるのか?ついつい俺は絵空さんの言葉を勘ぐってしまう。

 

"実は今日、私の誕生日なのよね。だから和也くんにもお祝いしてもらいたいなって"

 

"そう言うことですか。なら是非行きたいです"

 

"良かったわ♪じゃあ、今日の放課後に和也くんのお家まで迎えに行くから待っててね"

 

"了解です"

 

俺の一言に既読が付くのを最後に、絵空さんとのやりとりは終わった。ってか今日、絵空さんの誕生日だったのか。響子さんの時もそうだったけどお世話になってる人たちの誕生日知らないってのは失礼だよな……。後でしのぶに由香さんの誕生日聞いとこうかな。

 

放課後までまだ時間あるし、今のうちに誕生日プレゼント買ってこよ。そう思い、俺は誕生日プレゼントを求めて、商店街まで足を運んだ。

 

……………………………………

 

「お待たせしました」

 

「良いのよ、そんな急ぎでもないし。さ、行きましょう♪」

 

日が若干傾き始めた頃、絵空さんが送迎の車と共に俺の家までやって来た。そこでの会話はそれだけで車に乗り込み、絵空さん宅まで向かう。

 

「あの、一ついいですか」

 

「えぇ、何かしら?」

 

「しのぶたちは?絵空さんの誕生日なら彼女らも来ると思ったんですけど……。」

 

「ピキピキの子とはまた別日に誕生日会をしようって決めてあるのよね。でもせっかくなら和也くんにも祝ってもらいたかったし、みんなに内緒で誘っちゃった♪」

 

「は、はぁ……」

 

しのぶたち、俺が絵空さん家に行くこと知らないってわけか。てことは完全に絵空さんと二人きり……。お祝いするだけってか分かってはいるけど、なんか緊張して来た……。

 

「もしかして緊張してる?」

 

「っ!」

 

「図星みたいね♪」

 

心を読まれたのか、絵空さんは俺の顔を覗き込み、「ふふ♪」っと小さく笑う。

 

「異性の家に遊びに行くって初めてなので……」

 

「しのぶちゃんの家に行ってるじゃない」

 

「しのぶは……一応幼馴染ですし」

 

「そう言うことね。まぁ、あまり緊張しなくてもいいわよ」

 

そう言うと、車は急ブレーキで止まり、俺は少しよろける。

 

「ど、どうしたんですか?なんかトラブルでも……」

 

「着いたから止まったのよ?」

 

え、着いたって絵空さんの家?窓の外に目線を向けるとめちゃくちゃ広い庭園が広がっている。

 

「まさかここが絵空さん家……?」

 

「えぇ♪びっくりした?」

 

「そりゃあ、もう」

 

家の庭に噴水がある時点で俺からしたらもう信じられない。てっきり行き先を公園に変えたのかと思っていたが……さすがお嬢様……スケールが違うな。

 

「庭に感動するのもいいけれど、早く中へ入りましょう?私のお部屋、案内するわ。」

 

庭を見渡し、空いた口が塞がらないでいると、絵空さんはそう告げ俺の手を取り、家?屋敷?にグイグイと連れて行かれた。

 

……………………………………

 

「お邪魔します」

 

「いらっしゃい♪」

 

うへ〜、ここが絵空さんの部屋か……。庭から気付いてはいたけど、部屋が広いのももはや当たり前な環境なんだな。絵空さんの部屋だけでパーティー出来ちゃうぞこれ。

 

「じゃあ早速だけどお祝いしてもらっちゃおうかな♪」

 

私服に着替え終わった絵空さんは両手を合わせ、ニコニコと可愛く笑う。

 

「俺に出来ることならなんでもやりますよ。あ、後これ誕生日プレゼントです。」

 

「これは……アロマキャンドル?」

 

「絵空さんの趣味とかよく知らなかったんで好きそうなもの買ってみました。……合ってますかね?」

 

「えぇ!とっても嬉しいわ♪今度お風呂に入る時使ってみるわね。」

 

俺からのプレゼントを目の前にし、パーッと明るい顔をする。喜んでもらえたみたいで良かった。

 

「それで?俺は何をしたら……」

 

「そうねぇ……せっかく二人きりなのだから二人で出来ること……っあ!あれ良いかも♪」

 

「なんですか?」

 

「膝枕、させてくれないかしら?」

 

「……へ?」

 

脈絡の無さに、俺は思わず腑抜けた声を上げる。

 

「出来る範囲でお願い事を叶えるって話ですけど……そんなことで良いんですか?」

 

「えぇ♪」

 

「ま、まぁ出来なくはないですけど……」

 

「決まりね!じゃあ……」

 

そう言うと、絵空はカーペットの上にちょこんと正座し俺を誘うように膝をトントンと優しく叩く。

 

「ほら、早く♪」

 

「……し、失礼します」

 

承諾した以上、もう断ることはできないよな……。俺は諦めて絵空さんの膝上にそーっと頭を乗せる。

 

「……///」

 

暖かい……。絵空さんの体温が直に伝わるのを感じる。そして絵空さんにこれほど近づいたのはこれが初めてだ。女の子特有の甘い匂いが至近距離で鼻腔を攻撃し、段々と瞼を重くする。

 

「よしよし……♪」

 

絵空さんは追い討ちをするかの如く俺の頭をぽんぽんと撫でる。あぁ、やばこれ寝ちゃ……う……。

 

………………………………………

 

「う〜ん……」

 

「あら?お目覚め?」

 

あれ……俺いつの間に寝て……。てかなんで絵空さんの声が上から聞こえてくるんだ?しかも暖かく柔らかいものが俺の顔を包んでいる。何してたんだっけ?確か、絵空さんのお願い事で……ひ……ざ……!?

 

「うわぁぁぁ!!ご、ごめんなさい!俺つい寝ちゃって」

 

俺は大声を上げ、絵空さんから急いで数メートル離れる。

 

「おはよう、良く眠れた?」

 

「そりゃあもう……ってそうじゃなくて!」

 

パニックになりすぎてついノリツッコミみたいなことをしてしまう。そんな顔を真っ赤にした俺を見て、絵空さんは「ふふ♪」と可笑しそうに笑う。

 

「と言うか起こしてくれても良かったのに……」

 

「あまりにも気持ち良さそうに寝てたから起こそうにも起こせなかったのよねぇ」

 

「だからって……」

 

「まぁまぁ、日も暮れて来たしそろそろお開きにしましょうか。」

 

「え、寝ちゃったせいで俺全然お祝い出来てないですけど……。」

 

「良いのよ、やりたいことはやらせてくれたもの。十分すぎるほど色々貰ったわ。」

 

「そう……ですか。なら良いんですけど。」

 

「それじゃあ家まで送ってあげるから行きましょうか。」

 

喜んでくれたなら良いんだけど、こちらとしてはただ膝枕して貰っただけなんだよなぁ。どっちかと言うと俺のご褒美になってないか?う〜ん複雑な気分だ。

 

……………………………………

 

「今日はありがとうございました。わざわざ家に上がらせてもらっちゃって」

 

「良いのよ。こちらこそありがとう!楽しかったわ♪」

 

俺の家の前に到着し、俺は送ってくれた絵空さんと運転手さんにお礼を告げる。わお、急に庶民的な家が並んでいて現実に帰って来た感じする。感覚狂って来たなこれ。

 

「じゃあ、また何かで会う時はよろしくね♪」

 

「はい、こちらこそ」

 

絵空さんを乗せた送迎の車はその場を後にした。ふ〜、短いようで長い1日だったなぁ。なんか膝枕してもらったおかげかちょっと元気出て来た。久しぶりに勉強でもしようかな。などと考え、俺も家に入るのだった。

 

……………………………………

 

「ふふ♪和也くんの寝顔、後でしのぶちゃんに送ってあげなくっちゃね♪」

 




ガチャ石?知らない子ですね(血涙)
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